毎年2月上旬になると、札幌市内に巨大な雪や氷の像があらわれ、まるで街が美術館のように、アートでいっぱいになります。

「さっぽろ雪まつり」という名称で呼ばれるこのイベントは、自治体単位で開催された国内最初のイベントであるだけでなく、今やカナダのケベック・ウィンター・カーニバルと中国のハルビン氷祭りと並んで、世界三大雪まつりのひとつにも数えられています。

この雪と氷の祭典は、札幌の中心を東西に走る大通公園や歓楽街のすすきの、市街地からシャトルバスで50分ほどのつどーむ会場(札幌市スポーツ交流施設)の3ヶ所で行われます。

3会場であわせて200基以上の雪や氷の像がつくられ、集客数は1週間あたり約250万人と言われています。

雪の作品は、その年の干支にちなんだものから中華民国の台北市にある国立故宮博物院、春日大社などの世界的に有名な建築物などさまざま。

近年ではスターウォーズやファイナルファンタジーといったエンタメ界の人気者も登場しており、幅広い年代で楽しめる内容になっています。

更に夜になると、ライトアップはもちろん、光で色づいた幻想的な雪像に変わり、日中とはまた違う表情で観光客を魅了します。

また、真っ白な雪像をキャンパスに映像が映し出され、音響とともに映画やゲームの世界が再現される雪像もあるので、動きと立体感あふれる不思議な世界を味わうこともできます。

そして、オススメは大通会場から歩くこと7分。すすきの会場(すすきのアイスワールド)には、雪像だけでなく、約60基の繊細な氷のオブジェが並ぶ「クリスタルストリート」があります。

魚が氷の中に埋め込まれた「竜宮城」など繊細で美しい彫刻が並ぶこの会場では、初日に氷像のコンクールが開かれるだけでなく、彫刻の実演が連日行われています。

氷の塊が作品になっていく様を間近で見ることができるのも、醍醐味のひとつです。

そして、すすきの会場で、氷の像に劣らず人気なのが、「イルミネーションロード」です。

すすきの歓楽街のネオンに負けないほどの輝きは、夜でもまぶしいほど。

幻想的な雰囲気のなかでの写真撮影がおすすめなのはもちろん、「かぼちゃの馬車」など、中に入って撮影できるイルミネーションもあるので、インスタ映えにも最適です。

雪像ができるまで

雪や氷の像は、小さいもので2mほどですが、このサイズでも10tトラック1台分の雪が必要です。

15m(5階建てビルほどの高さ)ほどの比較的大きな雪像を造ろうとすると、10tトラックで250台分が必要となります。

ちなみに過去最大の雪の像は、ドイツのフラウエン教会で、25mほどだったというので、莫大な量の雪が使われていたことが分かります。

そして、雪まつり全体で必要な雪の量は、毎年、3万2500tほど。札幌の山間部や近郊からトラックで運ばれてきます。

強度の問題から、不純物のない真っ白な雪でなくてはならず、選ばれて運ばれてきた雪は山のように高く積まれて押し固められます。

そして、その周りに建築現場のように足場が組まれ、スコップなどで荒削りしてだいたいの形をつくって、細部を整えていきます。

最後に「雪化粧」と呼ばれる新雪を張り付けて完成です。

毎年、自衛隊や札幌市の職員、市民グループによって約1ヶ月かけてつくられますが、ボランティアも募集しています。

 また、雪まつり後は倒壊事故が起きないよう、雪の像はすぐに解体され、午前中には雪山になります。

離れた場所から作業風景を見るのも、毎年静かな人気を集めています。

さっぽろ雪まつりのみどころやイベント

祭りの期間中は、毎日ステージイベントが開催され、見て楽しめるだけでなく、実際に体験できる魅力的なアクティビティも充実しています。

 例えば、大通会場には、屋外スケートリンクがあり、日没後はイルミネーションの中で滑ることができます。

また、北海道で親しまれている「歩くスキー」が体験できるコーナーでは、用具レンタル無料、ボランティアスタッフが丁寧に教えてくれるので初心者や年齢問わず、安心して楽しむことができます。

そして、子ども連れに嬉しいのが「カップヌードルすべり台」。

残念ながら子ども限定ですが、カップヌードルで装飾された大きな雪の滑り台は休日に長い行列ができるほどの人気です。

 また、最近注目されているのが、全長65m、高さ24mのジャンプ台「白い恋人 PARK AIR」。

巨大ジャンプ台にスノーボーダー、スキーヤーがストレートジャンプやモーグルスキーの華麗なパフォーマンスを繰り広げる迫力満点のステージは、ライブ会場のような熱気に包まれます。

 そして、アトラクションものが充実しているのは、何と言ってもつどーむ会場。

スノーモービルに曳かれたラフティングボードに乗り込んで雪斜面を疾走する「スノーラフト」、約5mの高さからワイヤーロープに吊るされて降りる「スノージップライン」はまるで空を飛んでいるかのよう。

また、雪だるまの形をした発砲スチロールに雪をつめて送るサービスがあったり、ミニ新幹線や観覧車などのアトラクションやキャラクターショーが開催される「あったかキッズランド」もある会場なので、ファミリーには特におすすめです。

さっぽろ雪まつりを“食”でも楽しむ

「さっぽろ雪まつり」は、屋外でリアルな氷像を楽しむものなので、もちろんそれなりの寒さを感じるイベントです。

東京の2月の平均気温が10℃くらいなのに対して、札幌はなんと0℃!しかし、来たからには寒さに負けてはいられません。

寒さを吹き飛ばす、あったかグルメを楽しみましょう。

 「さっぽろ雪まつり」の3つの会場にはそれぞれ飲食ブースが点在しています。

メインの大通会場には、規模の大きなグルメーコーナーがあり、味噌ラーメンやかに汁、北海道の冬の味覚、マダラの卵を使った「たち汁」などが、屋根つきの立食ブースで楽しめます。

また、「食の国際交流コーナー」というブースもあり、ロシアのボルシチやスペインのホットサングリアなど世界の名物グルメを味わうこともできます。

また、すすきの会場には氷のブロックが積み上げられたアイスバーがあり、横には氷のソファーもあります。

もちろん寒いお店なので、具だくさんスープや甘酒、唐揚げをだしに入れたユニークな「だし唐揚げ」で、温まりながらの見物がオススメです。

そして、つどーむ会場では北海道グルメの屋台村、「北海道グルメランド」があります。

熱々のラーメンや道産チーズを使ったチーズフォンデュ、グラノーラとはくちょうもちが入ったおしるこなど、ご当地グルメを満喫できます。

おわりに

札幌冬季オリンピックをきっかけに、海外からの観光客も増えてすっかり大きくなった「さっぽろ雪まつり」ですが、もともとは戦後の暗いムードや冬の厳しい寒さを吹き飛ばす市民イベントとしてはじまったものです。

そういう意味では、与えられた環境でいかに楽しく過ごすかというアイデアを形にしていった、エネルギッシュで、とても熱い冬のお祭りです。