秋田竿燈まつりとは
竿灯まつりとは、秋田県秋田市で8月3日から6日にかけて行われるまつりです。
青森のねぶた祭りと同じく、七夕の行事である「眠り流し」が元となって発展しました。
「眠り流し」とは、願い事を書いた短冊や提灯を笹竹や合歓の木に飾って、それを持って町を練り歩き、最後に川に流す行事でした。
笹竹を神様が依りつく依り代と見立て、そこに睡魔や邪気を依りつかせて、それらを払ってよく働けるよう、また豊作になるよう願いをこめて水に流したのです。
そして、江戸時代になると庶民にもろうそくが普及し、秋田の久保田城下でもお盆の際に横に渡した木の棒に、燈籠をつけた物を門前に立てるようになりました。
この燈籠と竹が組み合わされたのが竿燈であり、竿燈を持ち歩くようになり、それが巨大化して竿燈まつりになっていったと考えられています。
ちなみに、「竿燈」という呼び名になったのは明治の頃で、秋田出身の衆議院議員で秋田市長も務めた大久保鉄作が、中国の書物のなかの、「百尺竿頭すべからく歩を歩むべし」の頭を燈に変えて名付けたものと言われています。
その心は、「百尺の長い竿の先まで行ってもそこで止まらずに、さらに先へ進みなさい」という思いを込めたものなのだそうです。
秋田竿燈まつりの見どころ
竿燈とは、長い竹竿に9本の横竹をつけ、それにたくさんの提灯をつけたものです。
竿燈全体で稲穂を表し、提灯一つひとつは米俵を表します。中心を通る竹は「御幣」といい、祭りの翌日には川に流して、ついた災いを祓います。
そして、秋田竿燈まつりには280本もの竿燈が集まり、提灯はすべてあわせると約1万個にもなります。
250本の竿燈が通りに繰り出すと、観衆がおおいに沸き立ちます。
そして、最も大きい竿燈には提灯が46個もついており、高さが約12m、重さが約50kgにもなります。
それらを、「ドッコイショ、オエタサ」の掛け声と太鼓や笛の囃子に合わせ、額や腰の上でバランスをとって支えます。
ちなみに提灯の中の灯りは電球ではなく、なんと本物のろうそくの火。
それだけでもバランスをとることがいかに難しいかが分かりますが、大人から子供まで、手のひらや額、肩、腰などに竿燈を乗せて難しい演技が次々と披露されます。
この技の披露が、「差し手」と呼ばれる竿燈をあげる人たちの日頃の練習の集大成でもあり、見物客にとっても一番のみどころです。
そして、祭りを通して次の世代へ技が受け継がれていくことを思うと、さらに感慨深い思いがします。
また、祭りを終えた後は、各町内へ笛や太鼓を伴って、賑やかに帰っていく「もどり竿燈」を見ることができます。
お囃子の音色で祭りの余韻を感じながら、夏の夜空にろうそくの灯り。
最後まで情緒を楽しむことができます。
秋田竿燈まつりの楽しみ方
秋田竿燈まつりは、竿燈大通りという秋田駅近くの道を交通規制して行われます。
祭り期間中は会場に観覧席が設けられ、2000円から購入することができます。
席はひな段やます席もあり、夏の夜空に浮かぶ竿燈を鑑賞する方法も様々です。
そして、竿燈演技が終わった20時30分以降は、竿燈の体験や写真撮影が可能な、「ふれあい竿燈」の時間が始まります。
実際に竿燈に触れることができるので、難しい竿燈の技をみて、自分もやってみたいと思ったら、すぐに体験できる貴重な時間です。
期 間外でもまつりを楽しめる!
また、祭りの期間外でも竿燈まつりを体験できる場所が会場近くにあります。
秋田市民俗芸能伝承館(通称:ねぶり流し館)です。
ここでは竿燈演技を体験できるチャレンジコーナーがあり、竿燈の体験が可能です。
そして、壁に展示されている見事な竿燈や、大きな竿燈を実際に間近で見られるほか、秋田市竿燈会のメンバーによる実演が繰り広げられるイベントも行われています。
また、各町内の竿燈の提灯がずらりと展示されおり、提灯に描かれている町紋もじっくりと鑑賞できます。
帆船や馬などの暮らしに関わる絵柄は、豊作への願いなど、竿燈と暮らしとの結びつきを感じることができ、竿燈まつりをより深く味わうための情報が盛り沢山です。
お祭りに出かける前に、まずは秋田市民俗芸能伝承館で情報収集するのも、祭り見物を盛り上げるためにオススメです。
イベント
秋田竿燈まつりは、何と言っても夏の夜空に浮かぶ竿燈の灯りであり、夜ならではのイベントですが、昼間にも竿燈を見ることができます。
秋田市中通の「エリアなかいち」にぎわい広場で行われる「竿燈妙義会」です。
竿燈大通りで行われる竿燈演技の披露を「夜本番」というのに対して、「昼竿燈」と呼ばれ、竿燈演技の技術を競う大会が開催されています。
竿燈演技には、片方の手のひらに載せて竿燈を差し上げる「平手」という基本技から、額、肩、腰を使う技があります。
「肩」は比較的覚えやすく、最も難しいのが「腰」だと言われています。
上体を傾けたままバランスを取れるようになるまで長い練習が必要なのと、竿燈を持ちながら、1本、2本と下から竹を継いで、竿燈の高さをアップさせて大きな竿燈にしていくと、さらに難易度が上がります。
そして、大きな竿燈を手のひら、額、肩、腰へと自在に操ったりして、アクロバティックな竿燈の大技も見ることができます。
そして、この職人芸は、子どもの頃から鍛えてきたバランス感覚や日々の訓練の賜物です。
これを競いあう場が「昼竿燈」であり、技を高め合い、次の世代へと受け継いでいく大切なイベントでもあります。
また、お祭りといえばグルメですが、開催場所近くの市役所会場、中央会場(産業会館跡地)では「竿燈屋台村」が、そして、大町イベント広場(秋田ニューシティ跡地)では、秋田商工会議所主催の「ご当地グルメフェスティバル」が開かれ、食べて楽しむお祭りらしいイベントもあります。
おわりに
東北三大祭りのひとつであり、国重要無形民俗文化財に指定された、秋田を代表するお祭りです。
そして、竿燈の技を次の世代へつなぐべく努力し続けている人たちや、竿燈まつりを支え続ける提灯や竹の職人さんたち。
地域の人の思いが、美しい竿燈となって夜空を彩る、そんな「晴れの日」でもあるのです。
実際に秋田竿燈まつりを見てみたい方はこちらからどうぞ!↓
「ねぶた祭」は、青森県の有名なお祭りです。この記事では、「ねぶた」の由来、ねぶた祭の歴史や特徴、魅力、東北三大夏祭りにも称される青森ねぶた祭のほか、弘前ねぷたまつり・五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)といったお祭りの開催内容についてご紹介します。
岸和田だんじり祭は大阪府岸和田市で行われている祭りです。岸和田の枕詞のようになっている「だんじり祭」ですが、その歴史は江戸時代にさかのぼります。今回は、「だんじり」とは何か、祭りの内容やまつりを行う人の生活に触れながらご紹介します。
東京の初夏の風物詩、「三社祭」は、浅草神社の盛大なお祭りです。そして、浅草神社の隣にあるのが、雷門で有名な浅草寺で、浅草神社のはじまりも浅草寺と深い関係があります。今回は、三社祭の歴史や神輿のルート、祭りのみどころについてご紹介します。
京都の祇園祭りといえば、「コンチキチン」の甲高いお囃子に、豪華絢爛な山鉾(やまほこ)巡行。観光客の多い京都の街が、いっそう人であふれる夏のお祭りです。特に、山鉾行事はユネスコの無形文化遺産にも登録され、毎年数十万人が見物に訪れるそうです。
日本は祭りの盛んな国で、全国各地で多くの祭りが行われています。そして、それぞれが独自性を持つだけでなく、時代とともにスタイルも多様化してきました。例えば、青森のねぶた祭りや仙台の七夕祭りは、宗教行事を伴わないスタイルの祭りで、毎年多くの観光客を惹きつける賑やかなイベントです。
雪国・秋田県にて、約200年にもわたり継承されてきた民俗行事「なまはげ」。
「なまはげ」の名やその恐ろしい容貌は知っているけれど、どのような行事なのかと聞かれると、よくわからないという方も多いでしょう。
なまはげとは、いったい何なのか。
この記事ではなまはげの歴史や特徴、なまはげに会える場所についてご紹介します!
ユネスコは、国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational Scientific and Cultural Organization)のことです。本記事では、日本で登録されているユネスコ無形文化遺産を一覧でご紹介します。
恐ろしい鬼のような面を付けた“なまはげ”で有名な秋田県。そんな秋田県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。この記事では、経済産業大臣によって秋田県の「伝統的工芸品」として指定されている樺細工、川連漆器、大館曲げわっぱ、秋田杉桶樽をご紹介します。
「曲げわっぱ」とは「曲物(まげもの)」とも呼ばれる、薄く加工した木材を曲げて作られる伝統工芸品のことです。
なめらかな曲線を生かしたお弁当箱やおひつなど、蓋付きの入れ物が製品として多く見られます。
特に秋田県大館市の「大館曲げわっぱ」は有名で、1980年に日本の曲物の中で唯一、国の伝統的工芸品に指定されています。
ワゴコロ編集部による、秋田県大館市にある「大館工芸社」さんでの“曲げわっぱ体験”レポートです。