梅盆栽とは

めて手に入れたい梅盆栽

梅盆栽は、盆栽を始める人の多くが初めて手に入れる盆栽の一つです。

日本画家の尾形光琳おがたこうりんによって描かれた紅白梅図屏風など、梅は日本画の題材に多く取り上げられています。

梅はもみじと同じように古くから日本人に愛され、親しまれています。

また、梅は蕾がポツポツとほころび始めると花香が周りに漂い始め、春に先駆けて清楚な花を咲かせます。

そのため、梅盆栽は花物盆栽の代表的存在として昔から多くの盆栽愛好家に愛されています。

盆栽の魅力

梅盆栽の長所は、4つです。

➀専門知識がなくても長く楽しめる

梅は樹性が丈夫で生育も早く、専門知識や盆栽経験が無くても仕立てやすいため、誰でも気軽に長く楽しめます。

②どんな樹形も様になる

梅盆栽は、多少樹姿がおかしくても様になるので、初心者でも意外と簡単に整姿ができます。

③観賞期間が長い

冬の時期に花が咲いている樹種は少ないのですが、梅盆栽は冬の時期から初春頃まで花が咲きます。

観賞期間が長いというのは大変嬉しいですね。

④年々樹格が上がる

梅盆栽は年々、年をとるにつれて古色に富んできますので、古木としての樹格が上がっていきます。

3 00種類以上もある梅盆栽の樹種

梅盆栽に仕立てられている種類や品種は、約300種類以上あると言われています。

代表的な品種には、「野梅性やばいしょう」、「紅梅性こうばいしょう」、「豊後性ぶんごしょう」、「緋梅性ひうめしょう」、「杏性あんずしょう」などがあります。

さらにこれらの品種には八重、一重、紅梅、白梅あり、花香が強いものや弱いものなどがあります。

※品種のこと

一般的に盆栽に仕立てられている品種には、丈夫で培養も簡単な野梅性のものが多いです。

梅盆栽の剪定

に行う枝の切り込み

花が咲き終わったら枝の切り込みを行いましょう。

ことわざでも「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」と言われているように、ウメの枝を切らないで伸び放題にした状態で放置していると、新芽が伸びすぎてしまい手が付けられない状態になってしまいます。

そのため、開花が終わった枝から順に花柄を残さないように取り除き、枝が伸び出している基部から2~3個程の葉芽を残して、切り込みます。

※枝がのびだしている元の部分

植え替えの際は、さらに不必要な枝を切り込んでください。

葉まで切り詰めない新梢

春に伸び出した新梢しんしょうは、秋の落葉頃まで切り詰めないようにしましょう。

しかし、6月頃になっても伸び続けている場合は、先端の部分の芽先だけを指で芽摘みを行います。

雨時期に行う針金かけ

針金かけは、梅雨に入り梅の枝が柔らかくなってから行ってください。

その際、樹肌に傷が付いたり傷めたりしないように、紙が巻いてある針金を使うといいでしょう。

針金をはずす時期は、同じ年の落葉直後です。針金をはずす際は、焦らずゆっくり、そして、丁寧にはずしてください。

梅盆栽の管理

花後と落葉後が植え替えの適期!

開花後の2月下旬から3月上旬、あるいは落葉後の11月中旬頃に植え替えを行いましょう。

植え替えは、若木は毎年、老木は2年に1回の割合で行ってください。

植え替えの用土は、

赤玉8:桐生砂2

あるいは腐葉土を少量加えたものを使います。

梅盆栽の植え替えは、秋より春の方が簡単です。

また、鉢土が酸性になっていると、美しい秋の紅葉を楽しむ頃から落葉が始まってしまうので、注意が必要です。

その場合は、11月中旬ごろまでに植え替えを済ませて、冬の寒さから盆栽を保護して管理をしましょう。

射日光と冬の霜に当てる

夏は直射日光に当て、冬は強めの霜に2~3回当ててから防寒してください。

春に植え替えが終わった梅盆栽は、霜の心配がなくなってから直射日光に出来るだけたくさん当てて管理をします。

陽射しが強い盛夏の時期だけは、日中の2~3時間位日陰で管理をすると葉焼け予防になり、花芽が付きやすいです。

切れには要注意

梅盆栽は鉢土の表面が乾燥したら、たっぷりと水を与えましょう。

特に夏の暑い時期は、水切れに注意が必要です。

虫害対策

新芽が出揃った頃は、アブラムシに注意をしましょう。

梅盆栽に月2回程度の割合で殺虫剤を定期的に散布すると、害虫予防になります。

また、風通しが悪い場所で梅盆栽を管理すると、カイガラムシが付きやすくなってしまいます。

陽当たりや風通しの良い場所で管理をしてください。

12月ごろに石灰硫黄合剤を散布すると効果的です。

4 月から9月まで行う施肥

4月から9月中旬ごろまで施肥をしましょう。

新芽が伸び出す4月から5月頃にかけては月2回、梅雨明けの7月下旬頃に1回、9月中旬頃に1回程、施肥をします。

肥料は油粕の玉肥で骨粉と魚粉が入っているものが、オススメです。

2つの梅盆栽展を訪れてみよう!

日本で開催されるオススメの梅の盆栽展は、規模が日本最大級の「長浜盆梅展」と最も原種に近い樹種で仕立てられた梅盆栽が出展される山梨県の「甲州野梅盆栽展」の2つです。

※盆栽に仕立てられた梅の盆栽のこと

本最大級の梅盆栽展、「長浜盆梅展」

「長浜盆梅栽展」は、1月初めから3月初め頃までの約2か月間に渡り、長浜市内の慶雲館で開催されます。

長浜盆梅栽展は歴史が長く、日本最大級の“盆梅展”です。

この盆梅展には、樹齢400年以上の古木の梅盆栽や、樹高が数mもある梅盆栽が出展されます。

また、展示会場となる慶雲館の大広間には、例年開花している梅盆栽が約100鉢展示されます。

そのため、盆梅展開催期間中は、いつでも開花している盆梅の観賞を梅の花香と一緒に楽しむことができます。

種が珍しい山梨県見延町の「甲州野梅盆栽展」

「甲州野梅盆栽展」は、1月下旬から2月初めにかけて山梨県南巨摩郡見延町にある道の駅みのぶ 富士川観光センター内で開催される野梅の盆栽展です。

この盆栽展には、地元の盆梅愛好家の作品が多数展示されます。

甲州野梅こうしゅうやばいは、一般的に庭木や盆栽に仕立てられている種類とは異なり、梅の原種に近い樹種です。

また、野梅の樹木はある程度古木にならないと花が咲かないので、花をさかせることが難しい樹種です。

そのため、開花している野梅の盆梅だけを展示した梅盆展は、とても珍しいのです。

また、この梅盆栽の花を長く開花させるために、展示会場屋内の室温は外の気温と同じ温度に設定されています。

そのため、展示されている野梅の盆栽は、自然と同じ環境で観賞することができます。

おわりに

盆栽を始める方が、最初に入手したいと言われている梅盆栽。

ぜひあなたも手に入れて、今度の冬には、花が咲いた梅盆栽を楽しんでみませんか。

また、梅の盆栽展にも足を運び、日本人に昔から親しまれている“梅盆”を観賞しながら、一足早い春の訪れを感じてみませんか。