桜の盆栽は花物盆栽の仲間で、花が一斉に爛漫と咲いている“集合美”があるものと、1~2輪の花が咲いている“品位と清楚さの美”があるものの2種類があります。
桜は、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言われるくらい切り口が腐りやすいので、盆栽として育てるには難しい樹種です。
しかし、初心者でも基本的な育て方を守れば、花だけでなく新緑など1年を通して楽しむことができる盆栽です。
桜の種類と特徴
桜の樹種はたくさんありますが、大きく分けると里桜と山桜の2種類に分けられます。
その中でも、主に盆栽として仕立てられることが多いのが「富士桜」という樹種です。
主 な種類は里桜と山桜
桜の種類を大きく分けると、里桜と山桜の2種があります。
里桜は公園や通り、庭などに植栽されており、品種も多いものです。
代表的な品種には、染井吉野や彼岸桜があります。
山桜は野山に自生している桜の品種です。
代表的な品種には、山桜、寒桜、富士桜、朝鮮山桜、深山桜などがあります。
育 て方が難しい桜の盆栽
桜は盆栽に仕立てられている他の樹種と比べ、育て方が難しい樹種です。
桜を盆栽に仕立てる場合、苗木の枝が長く伸びきってから枝を深く切り込みます。
その際、鉢中の根株の部分と伸びている幹や枝の部分のバランスが悪くなり、枯れてしまうことがあります。
そのため、樹齢ある古株の桜の盆栽はあまり存在していないのです。
盆 栽界に仕立てられる富士桜
盆栽の世界では、桜の盆栽と言えば、一般的に「富士桜」で仕立てられたものです。
富士桜は、富士山の北部山麓一帯に自生している「豆桜」と呼ばれている山桜の一種です。
富士桜の特徴は、小枝が良く伸び、葉型が小さく、花も小さいことです。
花色は蕾が淡紅色で開花すると花色が白、青白、あるいは淡紅色のものがあり、どの花色の品種も花弁に深い切り込みがあります。
また、花にも一重や八重咲のものや枝垂れ咲きがあります。
桜の盆栽の育て方
桜の盆栽を育てる場合は、植替え・整姿・施肥・置き場所と灌水、病虫害対策が必要です。
植 替え
植替え適期は春
桜の盆栽の植替えは、3月上旬から中旬頃までの新芽が伸び始める頃が適期です。
落葉が始まる10月中旬頃でも植替えをすることができますが、厳冬期に凍寒の被害を受けると枯れてしまったり生育が悪くなったりするので、できるだけ春の適期に植替えをした方が無難です。
毎年行う植替え
桜の盆栽は根の生長が早いので、毎年植替えをしないと鉢の中に根が回ってしまいます。
特に生育が旺盛な若木などは、春に植替えをしても夏頃になると既に根がびっしりと回ってしまいます。
そのため桜の盆栽は植替えを毎年行わないと、せっかく毎日灌水をしたり定期的に施肥をしたりしても逆に根が弱って枯れてしまうことがあります。
したがって、生育の良い桜の盆栽を育てるためには毎年適期に植替えをして、鉢の中に伸び出している古根を切り詰め、細い根や新しい根が鉢の中で伸び出せる環境を作る必要があります。
桜の盆栽の植替えに必要な用土は、赤玉土7:桐生砂2:腐葉土1の割合で混ぜたものです。
植替えの際は、古土を7割ほどを取り除きます。
盆栽の植替えとは、樹の古い根や枝を切って新陳代謝を図るために行う作業です。植替えは、樹種の適期に手順良く行うと初心者でも失敗しないで出来る作業です。
整 姿
枝の切り詰めに弱い桜
桜は枝の切り詰めに弱い樹種なので、盆栽に育てる場合でも、あまり樹姿を気にしないで育てます。
整姿の適期は、芽が膨らみだす2月上旬頃です。
この時期に整姿作業をすると、切り込みの傷も浅いので腐りにくいです。
枝などの切り口には、濃い墨汁や園芸用の防腐剤などを塗ります。
整姿作業で枝等を切り込む場合、切り口は枯れてきてしまうので、その分も含めて枝を残しながら切り込んでいきます。
枝を切り込む際は、ハサミを枝先に向けて、斜めに切ります。
伸び出して2~3年した枝から直角に伸び出している不定芽(ふていが)が樹形づくりで必要でない場合は、整姿作業をする際にかき取ります。
この不定芽を残しておくと細枝が枯れてしまったり、樹形を乱したりする原因となります。
植替えをしてから伸び出した新枝は新芽が良くつくので、枝の伸びが止まるまで切り詰め図に、そのままにしておきます。
新葉が固まった後に行う針金かけ
針金かけは、新葉が固まった5月下旬頃から6月の梅雨入り前までに行います。
桜の枝や幹肌はとても柔らかいので、針金をかける際は枝や幹肌を傷めないように針金に紙を巻いて針金かけを行います。
「整姿」は盆栽を美しい樹形に仕立てたり、その美しい樹形を維持したりするための技法です。
この「整姿」法には「芽摘み」、「葉刈り」、「剪定」や「針金かけ」などがあります。
施 肥
季節に合った置き場所
春先は天候が変わりやすいので、植替えをした桜の盆栽は、新芽が伸び出す頃に発生する霜に注意して、陽当たりが良く、風通しの場所で管理をします。
夏の酷暑時期は、日陰になる場所に置いたり、葦簀や寒冷紗などを利用して、涼しい環境で管理をします。
冬は霜が降り始めたら2~3回霜に当て、夜間に根株や幹が凍結しない場所で管理をします。
夏場の灌水に注意
桜の盆栽は、1年を通して鉢土の表面が“乾燥し始めたら”、鉢底から水が流れ出るまで十分に水をかけます。
特に桜の盆栽は夏の時期に水切れをしてしまうと、葉が落ちて翌年の花芽も無くなってしまいます。
一方、夏の時期に灌水をやりすぎると、樹の成長が旺盛になって、枝や幹が伸びすぎて葉ばかり茂ってしまうので、花が少ない盆栽になってしまいます。
そのため夏の灌水には注意が必要です。
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注 意すべき病虫害
桜の盆栽は、新芽や若葉が伸び出した頃にアブラムシや毛虫、葉が固まる頃にカイガラムシやワタムシなどが付きやすいです。
これらの害虫を発見した際は、殺虫剤を散布します。また、12月頃に石灰硫黄合剤を規定量に薄めて散布すると効果的です。
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