盆栽に使われる土の質は、樹の成長や健康に大きな影響を与えます。

でも、どのような土が良いのか…正直よくわからないですよね。

そうでなくとも、土は庭や畑などの身近なところにあるので、「買った土を使うなんて!」と、思っていませんか?

そこで、今回は市販されている盆栽用土をオススメする理由や、種類についてご紹介します!

盆栽に庭や畑の土はダメ!

初めて盆栽を育てる場合、多くの方は土の大切さについて考えたり吟味したりすることまで最初は気が回らないでしょう。

庭の土も市販されている盆栽用土も同じと考え、「土は買ってまで盆栽に使いたくない」、あるいは「庭や畑などの土を使うと経済的」などと思っていませんか?

庭や畑の土が“ダメ”な理由は、ちゃんとあるんです。

実は、これらの土は樹を植えてから暫くすると水はけが悪くり、樹の生育も思うようにいかなくなります。

そうすると、盆栽は本来の魅力が引き出されず、ただ生きているだけの樹になってしまいます。

市販の盆栽専用の土と、畑や庭の土を使って同じ樹種・樹齢の樹を育てて比較してみると、一年程で生育状態の違いがはっきりと現れてきます。

市販の盆栽の土は水はけも良く、樹の成長に適しているので、生育の良い盆栽に育ちます。

盆栽は“わずかな市販の盆栽用土”を使うことで、枯らすことなく長く育てることができるのです。

大切な盆栽のためにも、適した市販の盆栽用土を使って育てましょう。

盆栽に適した土とは?

盆栽の樹は、鉢の中にある限られた土だけで生命を維持しているので、土の選び方は盆栽の将来の良し悪しに大きく影響します。

そのため、土選びは非常に重要なのです。

では、盆栽に適した土とは一体どのような土なのでしょうか?

料成分のない土を選ぶ

盆栽の土は一般的な植物の培養土とは異なり、基本的に肥料成分が「ない」ものを使いましょう。

なぜなら、盆栽は最初に肥料成分のない土に樹を植え付け、根付かせてから必要な肥料を補充する方が生育に適しているからです。

域ごとに適した土を選ぶ

日本列島は縦に長く、亜熱帯から亜寒帯にまで位置することから、地域により温度も湿度も様々。

そのため、盆栽に使用する土も、育てる地域ごとに適した土を選びましょう。

例えば、盆栽の参考書などに、松の土には赤玉土あかだまつち7:桐生砂きりゅうずな3を使用すると書いてあっても、関西地方では山砂や白い川砂、愛知県の稲沢や兵庫県の宝塚地域では田土などを使って植えられています。

地域に適した土を使わないと、根腐れを起こして枯れてしまう原因にもなります。

また、根腐れまではいかないまでも、育成が悪くなってしまうことも。

なので、盆栽は自分の住んでいる地域の気温、湿度、風土に適した土を使って育てましょう。

でも始めたばかりの頃は、どんな土が自分の地域に適しているかなんてわからないですよね。

そんな時は、盆栽専門店や盆栽経験者からその地域に適した土の情報を教えてもらうことが良い盆栽を育てる近道です。

三つの条件が揃った土を選ぶ

盆栽に適した土は、「保水性」、「排水性」、「通気性」の三条件が揃った土です。

水性が良い

保水性がある土は、根に充分な水が行き渡ります。

朝の水やり後から晩の水やりまでの間、十分に保水してくれる土が良いです。

水性が良い

排水性がある土は余分な水分をため込まないので、根腐れを防いでくれます。

水はけが悪い土を使うと鉢の中に不必要な水分が溜まりやすく、根の働きが弱ってい根腐れを起こす原因となってしまいます。

市販されている土は、一度ふるいにかけてから使うことで排水性が良くなります。

気性が良い

通気性が良いと土と土の間に新しい酸素が入り、根の生育が良くなります。

他にも、通気性が良い土というのは、土の粒同士に隙間ができるため、根に酸素を送ったり、良質なバクテリアが育ちやすくなります。

それにより、盆栽の根の生育や光合成を促してくれるのです。

以上の三条件が揃った、バランスの良い土が盆栽には理想的です。

「排水性」と「保水性」は真逆な言葉ですが、鉢の中の余分な水分が排出させつつ、ある程度保水性がある土、つまり排水性と保水性のバランスがいい土が盆栽には良いとされています。

保水性があり過ぎると排水性と通気性が悪くなり、根腐れの原因になってしまいますので、盆栽の土の排水性と保水性のバランスはよく考えましょう。

土の粒の大きさが揃っているものや、細かい粒のものに保水性ある土を混合させたものは、保水性と排水性の両方の働きをしてくれます

硬質の赤玉や鹿沼土かぬまつちなどは一度焼いてあるので、崩れにくく通気性が良いのでオススメです。

盆栽に適した六種の土

盆栽に適した土は、それぞれの樹種に適した土を使いましょう。

そこで、盆栽に適している主な土を六種ご紹介します。

栽の基本的な土である赤玉土

赤玉土あかだまつちは、盆栽だけでなく植物全般に広く使われている土で、保水性、排水性、通気性のバランスが良いです。

一般的に大きさは、大粒、中粒、小粒の三種類があります。

ポイント

赤玉土あかだまつちを使って植え替えをした盆栽は、そのままにしておくと土の粒が崩れて砂の状態になり、排水性が悪くなってしまいますので注意してください。

また、排水性を良くするために赤玉土を焼いた「硬質」タイプは、粒が壊れにくく通気性が良いので、根の生育が良くなります。

ツキには鹿沼土

鹿沼土かぬまつちは名前の通り、栃木県の鹿沼地方から産出される土です。

乾燥している時は淡い黄色ですが、水に濡れると黄褐色に変化します。

鹿沼土かぬまつちは保水性に優れている土で、特にサツキに適しています。

鹿沼土かぬまつちはもろくて潰れやすいので、硬質タイプがオススメです。

木類には黒土

黒土は、関東の畑の中から採取される、黒い粒状の土です。

保水性や吸肥力に優れていて日光の吸収が良く、鉢の中の土が温まりやすくなることが特徴です。

そして、鉢の中の土が温まることで樹の生育がよくなります。

また、水かけをした後の土は落ち着きがでてくるので、化粧土としても使われています。

しかし、近年では黒土の生産は減少傾向にあります。

黒土は赤玉土あかだまつちと混合して使うと、雑木類盆栽の枝が細かくなるためオススメです。

柏類には砂類

砂の種類には、桐生砂きりゅうずな、浅間砂、天神川砂、富士砂、矢作川砂などがあります。

そういった砂は化粧砂や松柏しょうはく類盆栽用の混合土の一つとして使われます。

・関東の松柏類盆栽には桐生砂きりゅうずなを使いましょう

群馬県の桐生地方から産出される砂で、灰黄色をしています。

石のように硬く、赤玉土あかだまつちと混用して使います。

・西日本の松柏類盆栽には天神砂を使いましょう

天神砂は、花崗岩かこうがんが風化して出来た硬質の砂です。

今日では、入手が難しいので木津川砂や生駒砂が代わりに使われています。

もの・実ものには腐葉土

腐葉土とはカシ、クヌギ、ナラ、シイなどの落ち葉を積み重ね、腐熟させて作ったもので、湿り気がある土です。

腐葉土の中には、害虫の卵やカビ菌などが潜んでいる場合があるので、2~3日、直射日光に良く当ててから使いましょう。

また、腐葉土にはカリウム、窒素、リン酸などの栄養素が多く含まれています。

そのため花もの盆栽の桜や、実もの盆栽を植え替えたりするときに、用土に混合して使うと花付きや実付きの良い盆栽になります。

し木や石付けにはケト土

ケト土は、古代の湿地や沼地に生息していた水草が、地中で腐熟した黒褐色の土で粘着力があります。

このケト土は盆栽のさし木や、石付け盆栽に使われます。

ケト土は乾燥させると使えなくなってしまうので、ビニール袋などに入れた上で地中に埋めて保存しましょう。

おわりに

土は庭や畑など、身近なところにありますが、盆栽を育てる際は市販の盆栽用土を使いましょう。

そして、樹種にあった複数の盆栽用土を配合して使いましょう。

盆栽の土は育てる地域の風土、気温、湿度などによっても配合が異なります。

分からない時は、身近にいる盆栽経験者や販売店の専門スタッフさんに尋ねてみましょう。

盆栽作りは、特定の土でなければ「ダメ!」ということはありません。

通気性、排水性、保水性のバランスが樹種に合ったものを選んで、盆栽作りを楽しんでください!