盆栽の植え替えとは、樹の古い根や枝を切って新陳代謝を図るために行う作業です。
植え替えは樹種の適期に手順良く行うことで、初心者でも失敗しないでできます。
盆栽の植え替えが必要な理由
植え替えが必要な理由が分かれば、植え替え作業もしやすくなります。
盆栽の樹は地植えの樹木と異なり、鉢の中だけで根を伸ばして生育しているので、数年で鉢の中は根がいっぱいになってしまい、新らしく根を伸ばすことができません。
そのため盆栽は、植え替えをしないと養分の吸収が悪くなって葉の色や下枝の部分から樹勢が悪くなり、最後には枯れてしまいます。
また、植え替えをしない鉢土は土の活性が衰えてしまうので、固くなって水の通りが悪くなり、施肥をしても効果が期待できなくなってしまいます。
種類で違う!盆栽の植え替え時期と間隔
盆栽の植え替えの適期は一般的に春と秋のお彼岸頃ですが、樹の状態と樹種によって異なります。
雑 木類盆栽
雑木類盆栽の植え替え適期は、3月上旬から下旬頃までです。
モミジやケヤキなどの雑木類盆栽の若木は根の生育が良いので、鉢に植え付けてから1年ほどでも根が鉢土より多くなってしまうため、毎年植え替えを行います。
樹形がある程度整った成木は、2年に1回ほどの間隔で植え替えを行います。
松 柏類盆栽
松柏類盆栽の植え替え適期は、3月下旬から4月中旬と9月下旬頃が適期です。
松や真柏などの松柏類盆栽の若木は根の生長が遅いので、2年位に1回ほどの間隔で植え替えを行います。
成木の植え替えは、3~5年に1回が目安です。
花 物盆栽
花物盆栽の植え替え適期は樹種によっても異なりますが、一般的には開花後の2月下旬頃から3月中旬頃までと秋の落葉後です。
若木の植え替えは2年に1回、成木は1~2年に1回ほどです。
また、古木は養分の吸収力が弱っているので、毎年植え替えをすることをお勧めします。
梅盆栽は、盆栽を始める人の多くが初めて手に入れる盆栽の一つです。
日本画家の尾形光琳によって描かれた紅白梅図屏風など、梅は日本画の題材に多く取り上げられています。
梅は紅葉と同じように古くから日本人に愛され、親しまれています。
百日紅(サルスベリ)は、夏になると春から伸び出した枝の先端に絢爛な花を咲かせます。花を咲かせる木が少ない盛夏から秋にかけて長く花が咲き続ける樹種なので、昔から盆栽にも仕立てられている品種です。今回は、そんな百日紅盆栽について、特徴や魅力をご紹介します!
実 物盆栽
実物盆栽の植え替え適期も樹種によって異なりますが、一般的には新芽が動き出す直前の3月中旬頃と9月下旬頃から10月上旬頃です。
若木の植え替えは1年に1回、成木は2~3年に1回ほどの間隔で行います。
盆栽の植え替え手順
植 え替え前の準備
植え替え作業をする2日ほど前から、盆栽の水やり(灌水)は控えて鉢土を乾燥させておきます。
鉢土が湿っていると根がほぐれにくく、傷めやすくなります。
植 え替えの手順
植え替えの手順には、7つのステップがあります。
①鉢からの株抜き
抜きにくい場合は鉢縁を手のひらで軽く叩き、樹株を持って鉢を逆さにして鉢穴に竹箸などを入れて押すと抜けやすいです。
②根の処理
鉢から抜き出した樹株の根は、回転台を使って細い根を傷めないように丁寧にほぐします。
根の回りの土は全体の6割を落とし、ほぐした根を剪定用はさみで切り詰めます。
特に元気の良い根は残し、腐った根や活力のない根、黒くて平らな根は根元から切り落とします。
③水はけとゴロ石
植え替えをする鉢底の穴に、四角に切ったサラン網を載せ、針金で作ったピンで留めます。
その後、根株を固定するために鉢穴から銅線を通し、水はけを良くするために鉢底にゴロ石を敷き、中央が高くなるように植え土を入れます。
また、鉢は植え替えをする度に大きくするのではなく、同じ大きさの鉢に植え替えをすることが良い盆栽を仕立てるコツです。
④鉢の中の樹の向きと配置
どの形状の鉢でも中心を避けて植え付けると土面が広く感じられるので、鉢と樹のバランスが取りやすくなります。
⑤植え土入れ
鉢穴から通しておいた針金を使って根株を固定し、植え土を入れます。
植え土は、竹箸を使って空間ができないように注意をしながら少しずつ鉢の中に入れます。
半分位植え土が入ったら、鉢の側面を軽く手の平で叩いたりすると植え土の空間に土が入るので隙間もなくなります。
また、植え土は根元を高くして鉢の縁側を下げると自然の趣が出てきます。
植え土は、庭の土などは使わないで樹に適した用土を使います。
⑥樹の株元を安定させて、土表の美観を良くするための苔張り
苔を張らない部分は富士砂と赤玉などを混ぜた化粧砂をしくと、土表が落ち着きます。
⑦総仕上げの水かけ
植え替えをした盆栽は、鉢底の穴から粉状の植替え土が水と一緒に流れ終わるまで、たっぷりと水をかけます。
水かけをする際は、勢いよくかけるのではなく、少しずつ丁寧に水かけをします。
灌水(水やり)作業は、良い盆栽を育てる上で最も基本的な作業の一つです。
初心者におすすめの3つの灌水用道具を使って灌水作業を行うと、枯らすことなく生育の良い盆栽を育てることができます。
「針金掛け(針金かけ)」とは、盆栽の樹形をより良い形にするために必要な矯正法です。一見、難しそうに思われますが、初心者でも事前準備をして、“小さな矯正”を手順通りに行うと上手にできる作業です。この記事では、針金掛け(針金かけ)とは何なのか、盆栽への針金掛け(針金かけ)のやり方についてご紹介します。
おわりに
植え替えをした盆栽は、風、日光、水かけ、施肥の4つに注意が必要です。
植え替え後は2週間、風が当たらない場所に置いて管理をします。
強風が当たると、植え替えをしたばかりの根株はぐらついて根付きが悪くなってしまうので、ビニール紐などをつかって根株の元と鉢外を結んで固定します。
植え替えをした盆栽は日光が当たる場所で管理をしても良いですが、雑木類盆栽や根土を沢山落とした松柏類盆栽は室内で管理をします。
灌水は勢いよく水かけをしないで、優しくかけ、葉水を忘れずに与えます。
植え替えした盆栽は少なくとも1ヶ月ほど経たないと根付かないので、新芽がでて樹に勢いがでてきたら肥料を与えます。
初心者は樹種の適時を守って手順通りに1鉢でも多くの植え替えの経験を積むことで、技術だけでなく盆栽の見方も上達するので、失敗を恐れず実際に植え替え作業をしてみませんか。
盆栽を始めようと思った時に、まず気になるのが管理方法。
何をすればいいのかネットで調べてみると、水やり、肥料、剪定、針金掛け…など、少し専門的な用語がずらり。
ここでは、最初に知っておくとより盆栽を楽しむことができる、盆栽の基本の管理方法について分かりやすくご紹介します。
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