和菓子の魅力は、何といっても“四季を楽しめる”こと。

そして、季節の中で皆が心待ちにするのは、やっぱり「春」ではないでしょうか?

寒い冬が終わって暖かさが増していくとき、人々の心もワクワクしていきます。

そんな春の訪れを、形や色や素材で表現した春の和菓子をご紹介します♡

桜餅

春の和菓子で一番先に思い出すのは、やはり桜餅でしょうか。

塩漬けにした桜の葉で、餡と薄紅色のもち米や皮を包んだもので、日本人の桜に対する気持ちが詰まった和菓子です。

桜の葉の塩漬けは、花が終わった後の5月くらいから夏にかけての葉を塩漬けにしたもので、半年くらい寝かせることで芳醇な香りを生み出します。

桜餅は、桜の葉で包むという点では全国共通ですが、中身には大きく分けて関東風と関西風の2種類があります。

薄紅色に染めた小麦粉生地を薄く焼いたものが関東風で、薄紅色に染めたもち米または道明寺粉どうみょうじこ(もち米を蒸して乾燥させてから粗く砕いたもの)を蒸したものが関西風です。

それぞれの特長がありますが、現代ではどの地域でもどちらも手に入りますので、両方味わってみるのもオススメです!

【長命寺桜もち】の桜餅

桜餅は江戸時代に江戸・向島の墨田川近くの長命寺ちょうめいじの門番が、周辺の桜の葉を利用して売ったことがはじまりとされていて、近くにある老舗・長命寺桜もちは「桜餅といえばここ」というほど有名です。

薄くてもちもちとした皮に、上品な味わいのこしあんを包んだタイプで、桜の葉は贅沢に3枚も使われています。

住所:〒131-0033
東京都墨田区向島5-1-14
アクセス:都営浅草線「押上駅」から徒歩約15分
営業時間:8:30~18:00
定休日:毎週月曜日

【たねや】の春の餅

一方関西で桜餅といえば、京都の老舗のものが有名ですが、滋賀県近江八幡市に本店がある“たねや”の春の餅として販売されるさくら餅も人気です。

こちらのさくら餅は、関西風の道明寺タイプで中の餡が薄紅色の白あんであることと、桜の花の塩漬けが添えられていることが特徴です。

桜の花の塩漬けは、葉と同じ製法で八重桜の花を塩漬けにして寝かせたもので、香りと美しい薄紅色の姿を楽しめます♪

住所:〒523-8533
滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
アクセス:JR「近江八幡駅」から近江鉄道バス・長命寺行き / 長命寺経由休暇村行きに乗り換え「北之庄 ラ コリーナ前」下車後、徒歩約3分
営業時間: 9:00~18:00
定休日:年中無休(1月1日除く)

うぐいす餅

餡を求肥ぎゅうひなどで包んで、青きな粉をまぶしたうぐいす餅。

両端をつまんで鳥の鶯をイメージした形にした、春を代表する和菓子の一つです。

普通のきな粉は大豆を粉状にしたもので黄色がかった薄茶色ですが、青きな粉は青大豆を粉状にしたもので淡い黄緑色をしています。

うぐいす餅は江戸時代から食されていて、当時は抹茶をふりかけていたという説もあります。

青きな粉の優しい味わいと若草を連想させる色合いは春にふさわしく、定着して人気の和菓子となっていったようです。

うぐいす春告鳥はるつげどりともいわれ、冬の間は「チャチャチャ」というささ鳴きをしていて、春になると「ホーホケキョ」と鳴きます。

鶯がはじめて鳴いた日が春の訪れを告げるとされ、気象庁では鶯の初鳴き日を生物季節観測の一つとして取り入れています。

古来より人々は、鶯の鳴き声に春の訪れを感じ、うぐいす餅を食べていたのかもしれませんね。

【御菓子処さゝま】のうぐいす餅

東京・神保町にある「ささま」といえば、松葉最中で有名な和菓子店ですが、生菓子や干菓子でも人気のお店です。

最中は通年販売ですが、毎月変わる季節の生菓子・干菓子は伝統的なものがほとんどで、日本古来の季節感と美意識が感じられますよ。

ささまのうぐいす餅は、北海道産小豆のこし餡を羽二重粉求肥で包んで青きな粉をふったシンプルなものです♪

住所:〒101-0051
東京都千代田区神田神保町1-23
アクセス:都営新宿線・三田線・東京メトロ半蔵門線「神保町駅」から徒歩約5分
営業時間:9:30~18:00
定休日:日曜・祝日(夏季休み・正月休みあり)

【御菓子司 中村軒】のうぐいす餅

中村軒のうぐいす餅は、希少とされる青大豆のこし餡を白い餅で包んで、青きな粉をふりかけています。

完全無着色のためすべて天然の色で、白い餅に中の餡の薄緑色が透けた繊細な色合いが楽しめますよ。

住所:〒615-8021
京都府京都市西京区桂浅原町61
アクセス: 阪急電鉄「桂駅」から徒歩約15分
「京都駅」・「阪急桂駅」から京阪京都交通バスに乗り換え「桂離宮前」下車すぐ
営業時間:7:30~18:00
定休日:水曜日(祝日は営業)

草餅

草餅とは、よもぎなどの葉を入れてついた餅で餡を包んだもので、春の代表菓子として知られています。

通年で販売しているところも多くあり、代表的な和菓子の一つでもあります。

古くから草の強い香りが悪いものを除くと考えられていたので、平安時代から草餅は厄除けとしても用いられていました。

現在はよもぎが使われることがほとんどですが、古くは母子草ははこぐさ (春の七草のゴギョウ)が使われていました。

母子草からよもぎに変わっていった理由には諸説ありますが、よもぎが入手しやすく香りも良かったからというのが有力なようです。

よもぎは香りが良いだけではなく食物繊維やビタミンが豊富で、やはり栄養価の高い小豆と組み合わされた草餅は、厄除けだけではなく疾病からも身を守ってくれそうですね。

【向じま 志”満ん草餅】の草餅

「志”満ん」と書いて「じまん」と読む、珍しい店名ですが、隅田川の沿いで草餅を出す茶店として明治2年(1869年)に創業し、約150年の歴史がある和菓子屋さんです。

こちらの草餅には“あんいり”と“あんなし”の2種があります。

あんいりは十勝産小豆の餡が入っていて、あんなしは真ん中のくぼんでいるところに白みつをかけ、きな粉をまぶして食べます。

墨田川散策をしながら草餅をほおばりつつ、春を感じてみましょう♪

住所:〒131-0034
東京都墨田区堤通1-5-9
アクセス: 東武伊勢崎線「東向島駅」から徒歩約11分
営業時間:9:00~17:00
定休日:水曜日

【笹屋春信】のよもぎ餅

笹谷春信は、香りの良いよもぎがたっぷり入った餅に、大納言小豆の餡を包んできな粉をふりかけた「よもぎ餅」が名物となっています。

春先に野山に芽生えたよもぎを手摘みして、その日のうちに湯がいたものを保存して使用しています。

三角形という珍しい形で、たっぷり練りこまれたよもぎの深い緑と芳醇な香り、甘さを抑えた粒あん、きな粉が絶妙なバランスで美味しさを引き立てています。

住所:〒615-8086
京都府京都市西京区桂乾町66-1
アクセス:阪急電鉄「桂駅」から徒歩約15分
営業時間:9:00〜18:00
定休日:火曜日

いちご大福

いちごを餡とともに餅で包んだ「いちご大福」。

約30年前に登場して一世を風靡し、元祖を名乗る店が全国に数店あります。

いちごの酸味と餡の甘みがマッチして、ジューシーな味わいであることや、切った断面のいちごの愛らしさも加わって大人気となりました♡

今では一年中いちごがみられますが、当時は春に出回る果物の代表格でした。

さらに最近では、ショートケーキのように餅の上にいちごが乗ったものや、クリームが一緒に包まれたものなど、バリエーションが豊かになってきています。

旬のみずみずしいいちごを使ったいちご大福を、この時期にぜひお試しください。

【菓子処 大角玉屋】のいちご大福

三代目店主が昭和60年(1985年)に考案し、「元祖」といわれているお店です。

餅には赤えんどう豆が練りこまれ、大粒のいちごと粒あんが包まれています。

材料は全て国産のものを使用し、毎朝一番に手作りしたものが売り場に並びます。

長年培ってきたこだわりと「いちご大福」への愛情が、たっぷり包まれています。

住所:〒162-0065
東京都新宿区住吉町8-25
アクセス:都営新宿線「曙橋駅」から徒歩約3分
営業時間:9:00~19:30
定休日:無休

【餅匠 しづく】のいちご大福

無農薬無添加の菓子作りにこだわり、生産者を訪ね歩いて探し当てた納得のいく素材を使っている和菓子店です。

基本となるもち米は滋賀県産の無農薬栽培の羽二重を使用し、先祖代々使われてきた道具で餅をついています。

無農薬無肥料で育てられた奇跡のいちごを餡と求肥で包んだこだわりのいちご大福は、素材を作る生産者さんたちの想いも一緒に詰まった逸品です!

住所:〒550-0013
大阪府大阪市西区新町1-17-17
アクセス: 地下鉄長堀鶴見緑地線「西大橋駅」から徒歩約4分
営業時間:10:30~19:00
定休日:不定休(正月三が日ほか)

おわりに

同じ名称のお菓子でも、地域や店によって違いがあるのも和菓子の楽しさの一つです。

それぞれのお店が形や色や素材で表現した春の訪れを、和菓子をいただきながら味わってみるのはいかがでしょうか。

春の和菓子には、季節限定で販売期間の短いものも多いので、この時期を逃さずにお楽しみください♪