食べて美味しく見ても美しい和菓子ですが、和菓子と言っても、お饅頭、お団子、羊羹、上生菓子など、人によって思い浮かべるものはそれぞれです。

和菓子にはどんな種類があるのでしょうか?

和菓子は、材料や製法で分類されることや、水分量によっても分類されます。

今回は、水分量が多めの「生菓子(30%以上)と半生菓子(10%以上)」、「干菓子(10%以下)」の大きく2種類を分けて、和菓子の種類と名前一覧を作りました。

各和菓子の名前の由来や特徴、歴史などにも触れているので、一緒に見ていきましょう♪


※製造元によって仕上がりの水分量が違うので、生菓子と半生菓子はまとめてあります。

生菓子・半生菓子

まがわやき <今川焼>

卵、砂糖、小麦粉と水を混ぜ合わせた生地に、あんを入れて型に流し込んで焼いたもの。

江戸時代に神田堀にかかっていた今川橋付近で売られていたことが、名前の由来と言われています。

地域によって大判焼、回転焼、太鼓焼など様々な呼び名があり、たい焼きも同じ種類です。

中身は小豆あんのほか、カスタードクリームやカボチャあんなどもあります。

いろう <外郎>

上新粉またはでん粉、砂糖、水を混ぜて、枠に入れて蒸して切り分けたもの。

小豆や黒砂糖、抹茶など様々な風味のものがあります。

そのままでも食べますが、生和菓子の生地としても用いられます。

「外郎」はもともと薬の名前で、江戸時代に小田原から全国に広まり、その薬の口直しとして菓子が作られるようになったと言われています。

しわもち <柏餅>

上新粉の餅であんを包み、さらにかしわの葉で包んだもの。

端午たんご節句せっく(こどもの日)に、ちまきと共に用いられる行事菓子です。

柏の木は、新芽が出るまで古い葉が落ちないことから子孫繁栄を表し、端午の節句に食べられるようになったと言われています。

中身は小豆のあんのほか、味噌あん のものもあります。

ステラ

卵、砂糖、小麦粉を混ぜ合わせた生地を、木枠に入れてスポンジ状に焼いたもの。

16世紀に宣教師が日本に伝えた南蛮菓子のひとつで、日本独自の進化をして現在のものになっています。

のこ <鹿の子>

求肥ぎゅうひや羊羹などを練りあんで包み、外側を蜜漬け小豆で覆い、寒天で表面に艶をつけたもの。

現在では、中心に何も入れないあん玉のものが多くなっています。

外側は小豆のほか、栗、うずら豆、うぐいす豆などを使ったものもあります。

ゅうひ <求肥>

もち粉または白玉粉に水や砂糖を加えて練ったもの。

そのままでも食べますが、餅に比べて硬くなりにくいため、他の原材料とも組み合わされます。

あんみつ、ねりきり、ゆべしなどに使われています。

卵と小麦粉の生地に求肥を挟んで、鮎の形に焼き上げた「若鮎」 も有名です。

んつば <金鍔>

小麦粉と砂糖に水を加えた生地であんを包んで外側を焼き上げる「包みきんつば」と、あんに水どきした小麦粉をつけて焼き上げる「衣掛けきんつば」(角きんつばとも言う)があります。

現在は四角い形が主流ですが、もともとは刀のつばに似た丸形で、京都で売られていたそば粉を使った「銀つば」が、江戸に伝わって小麦粉を使った「金つば」になったと言われています。

さもち <草餅>

よもぎの葉をいれてついた餅であんを包んだもの。

現在はよもぎが使われることがほとんどですが、 初期のころは母子草(春の七草のゴギョウ)が使われていました。

蛤、巾着、くわい、木魚などの形があります。

ずもち <葛餅>

関西では葛でん粉を使い、関東では小麦でん粉を使って作られ、砂糖入りきな粉や黒蜜をつけて食べます。

関東では、亀戸天神や川崎大師など、寺社周辺で売られているものが有名です。

くらもち <桜餅>

皮またはもち米などであんを包み、さらに塩漬けにした桜の葉で包んだもの。

外側は、薄紅色に染めた小麦粉生地を薄く焼いた関東風と、薄紅色に染めたもち米又は道明寺粉どうみょうじこを蒸した関西風の2種類あります。

あま <素甘>

蒸した新粉生地に砂糖を混ぜて作る餅状の菓子。

紅白の平べったい卵型で「鶴の子餅」と呼ばれるものは、祝い事のときによく使われます。

このほか、すだれで巻いて縁にギザギザ模様をつけたものもあります。

んご <団子>

「団子」は、上新粉などをこねて丸めたもの。煮たり焼いたりして、あんやたれをつけて食べます。

甘辛の醤油タレをつけたものは、「みたらし団子」とも呼ばれます。

まき <粽>

餅や羊羹などを長円錐形などに形つくり、 笹の葉で巻いて藺草(いぐさ)で縛って蒸したもの。

柏餅とともに端午の節句に用いられる行事菓子です。

中国から伝わった風習で、平安時代には米を巻いていたとされ、甘い菓子としての粽は江戸時代になってからと言われています。

砂糖入りきな粉をつけて食べます。

葛や麩まんじゅうを用いたものも、ちまきと呼ばれます。

じうら <辻占>

占いが入ったせんべいなどの菓子。

占いの言葉が書かれた紙が「辻占」と呼ばれ、江戸時代に辻占売りが街に立ち、菓子の景品として使われるようになったと言われています。

海外にあるフォーチュンクッキーは、大正時代に日本人が辻占煎餅を伝えたことがヒントになって生まれたものです。

らやき <銅鑼焼>

卵、砂糖、小麦粉を混ぜた生地を円形に焼いて、2枚の皮であんをはさんだもの。

丸形が楽器の銅鑼どらに似ていることが、名前の由来と言われています。

阿倍仲麻呂が奈良の三笠山の満月を詠んだ歌にちなんで、「三笠山」とも呼ばれています。

「あまの原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも」(百人一首)

らやき <銅鑼焼>

白あんに、つなぎとして求肥またはみじん粉を加えて練ったあん(練切餡ねりきりあん)を主原料とする菓子のこと。

白あんに色付けして、木型に押しつけたり竹べらなどで成形したりして、四季を表す意匠が作られます。

銘のついているものが多く、和菓子の美しさが感じられる代表的な上生菓子のひとつです。

似たものに「こなし」があり、求肥の代りに小麦を混ぜて蒸したものが一般的です。

んじゅう <饅頭>

小麦粉などの生地にあんなどを包み、蒸したり焼いたりしたもの。

鎌倉から室町時代に、中国から伝わった点心のひとつとされています。

古くは野菜を煮たものを中身としていて、砂糖の価格が下がった江戸時代あたりから甘い小豆あんを包むようになったと言われています。

まんじゅうにはたくさんの種類があり、葛粉を生地に使った「葛まんじゅう」、あんに栗を入れた「栗まんじゅう」、生地に酒種を使った「酒まんじゅう」、皮の薄い「薄皮まんじゅう」などがあります。

なか <最中>

薄くのばした餅を型で焼いた皮に、あんを詰めたもの。

「最中」とは、真ん中の意味で、満月にちなむ言葉とされ、菓子は名月にみたてて作られ古くは丸形だったと言われています。

現在では様々な形のものがあり、中身も小豆あん、白いんげんあん、栗入り、求肥入りなどたくさんの種類があります。

べし <柚餅子>

もち米粉またはうるち米粉、柚子の皮や果汁、しょうゆ、砂糖などをまぜて蒸して切り分けたもの。

クルミやゴマを加えたものや、柚子が入らないものもあります。

うかん <羊羹>

まんじゅう同様、鎌倉から室町時代に、中国から伝わったとされています。

「練りようかん」は、寒天、水、砂糖、こしあんを混ぜて練りながら煮詰め、型あるいは筒に入れて固めたもの。

抹茶入り、栗入りなどがあります。

水あめや練りあんを練って缶や竹筒に入れて冷やし固めた「水ようかん」、寒天を使わずに小麦粉などを使用し蒸して固めた「蒸しようかん」などがあります。

干菓子

られ <霰>

「せんべい」はうるち米が原料ですが、「あられ」はもち米を原料としたものです。

切った餅を干して煎った「あられ餅」と、もち米を蒸して乾燥させて煎った「もち米あられ」があります。

るへいとう <有平糖>

16世紀に宣教師が日本に伝えたポルトガル伝来の飴菓子。

現在では、砂糖と水あめ、水を煮詰めて形作りしたもので、紅白を結んだ「千代結び」、貝や小花などの形のものが多く作られています。

んみつ <餡蜜>

寒天、赤えんどう豆、果物、求肥などを盛り合わせた「みつ豆」に、あんをのせたもの。

みつ豆は江戸時代末期から屋台で売られていて、あんみつは関東大震災復興の頃に売り出され、和風デザートの代表格となりました。

こし <粔籹>

もち米などの穀物を蒸して、砂糖や水あめで固めたもの。

落花生、海苔、生姜入りなど、全国各地で様々なものが造られています。

代表的なものとして、関東の米おこし、関西の粟おこしなどがあります。

りんとう <花林糖>

小麦粉と水あめなどをこねた生地を棒状に成形し、 油で揚げて蜜をかけたもの。

江戸時代後期には、町中で売られていたと言われています。

風味原料や野菜の乾燥粉末を混ぜたものもあります。

むぎこせんべい <小麦粉煎餅>

関西地方に多い、小麦粉を主原料とする煎餅で、卵や砂糖を加えて焼いたもの。

全国の土産物としても多く売られている「瓦せんべい」が有名です。

小麦粉と塩を混ぜた盛岡市近辺南部地方の「南部せんべい」などもあります。

んべい <煎餅>

関東地方に多い、うるち米を主原料とする煎餅です。

「醤油せんべい」は、うるち米を製粉し練った生地を型抜きし、醤油など塗って焼き上げたもの。

醤油ではなく塩をまぶした「塩せんべい」、油で揚げた「揚げせんべい」、海苔で巻いた「磯部いそべせんべい」、胡麻を生地にまぜた「胡麻せんべい」など、たくさんの種類があります。

くがん <落雁>

もち米や麦などの穀物の粉と砂糖類を混ぜ、木型に詰めて打ち出したもの。

古くは丸や四角の単純な形でしたが、次第に植物や調度品など様々な形のものが作られるようになり、贈答品として使われるようになりました。

現在では、茶席や冠婚葬祭などに使われることが多くなっています。

みじん粉を用いた「らくがん」、麦こがしを用いた「麦らくがん」、小豆粉又は小豆さらしあんを用いた「もろこしらくがん」などがあります。

おわりに

これ以外にも、まだまだたくさんの種類がある和菓子。

材料の組み合わせや、作り方、形など、それぞれに意味と歴史を持っているので、いろんなものを試してみたいものです。

料について

新粉:精米した「うるち米」を、洗って乾燥させてから粉にしたもの。ふるいにかけて細かいものだけにしたのが「上新粉」。

もち粉:精米した「もち米」を、洗って乾燥させてから粉にしたもの。白玉粉よりきめが細かい。

白玉粉:「もち米」を洗って石臼で水びきし、沈殿物を乾燥させたもの。でんぷん質が取り除かれているためなめらかな食感になる。

みじん粉:「もち米」を蒸してついた餅を、焼き色がつかないように焙煎して粉にしたもの。きめが細かいものが「寒梅粉」。

道明寺粉:水につけた「もち米」を蒸して乾燥させ、粗挽きにしたもの。

麦こがし:大麦などを炒ってから粉にしたもの。「はったい粉」とも呼ばれる。


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