実りの季節である秋は、豊かな実りへの感謝が込められた和菓子がいろいろと揃います。
和菓子の素材となるお米や小豆、栗、芋なども、秋が収穫期。
旬を迎える栗や芋の和菓子が増えるため、心躍りますね。
お月見やお彼岸などの行事に合わせてこの時期にしか食べられない和菓子も登場するため、ぜひチェックしておきたいですね♪
月見団子
日本では古くから、旧暦8月15日の十五夜(中秋の名月)や9月13日の十三夜に団子を供えてお月見をする風習があります。
十五夜は里芋の収穫期でもあるため別名「芋名月」と呼ばれ、月見団子と里芋を供えます。
一方、十三夜は「栗名月」や「豆名月」と呼ばれ、月見団子と栗や豆を供えていました。
このような名前が伝わっていることからわかるように、お月見は、豊作祈願や収穫祝いなど農耕の祭としての一面もありました。
月見団子は月を模して丸い形に作り、「三方」というお供え用の器に白い紙を敷いて、積み上げるように盛り付けてお供えするのが一般的です。
しかし、地域によって見た目などに違いがあり、関西では「芋名月」の里芋に見立てた細長い楕円形に作ります。
また、京都では芋の皮を模した餡でくるんだものが主流です。
最近は、各地でおしゃれなお月見のイベントも増えているようです。見るなら、絶対に中秋の名月がいいですよね?
ですが、ちょっと待ってください。中秋の名月って何ですか? 今回は知っているようでよく知らない、中秋の名月にまつわる基礎知識について簡単にご紹介します。
【 根ぎし 芋坂 羽二重団子】の月見団子(東京都)
米の粉を丸めて平たくして串にさした、昔ながらの生醤油の焼き団子とこし餡団子の二種類の「羽二重団子」が屋号にもなっているお店です。
毎年、十五夜と十三夜の年に2回だけ「月見団子」を販売しています。
この羽二重団子は、うるち米だけで作るため、餅のように伸びずに歯切れが良いのが特徴です。
味付けはされていないので、餡をつけたり、きな粉をまぶしたり、醤油をつけて焼いたりして好みに合わせて自由に楽しむことができることも魅力です。
住所:東京都荒川区東日暮里5-54-3
アクセス:JR山手線「日暮里駅」徒歩3分
営業時間:9:00〜17:00
定休日:年中無休
【 和菓子司 塩芳軒】の月見団子(京都府)
「塩芳軒」は、創業明治15年(1882年)の老舗和菓子店です。
塩芳軒の月見団子は、京都風に上新粉の団子生地を細長く伸ばして帯を巻くようにあんこで包んだもの。
他所のものに比べて、月見団子自体がこんもりとして丸みを帯びた愛らしい形をしています。
この他に、月見団子に見立てた和三盆の干菓子「古都の名月」もこの時期限定で販売しています。
住所:京都府京都市上京区黒門通中立売上ル飛騨殿町180
アクセス:京都市営地下鉄 烏丸線 「今出川駅」徒歩13分
営業時間:9:00〜17:30
定休日:日曜・祝日・月1回水曜(不定)
おはぎ
「おはぎ」は、もち米とうるち米を粗めについて、周りに餡やきな粉などをつけた和菓子です。
一年中販売しているところもありますが、お彼岸で食べられる行事の和菓子でもあります。
なぜお彼岸に「おはぎ」を食べるのかについては、はっきりとしたことはわかっていません。
また、おはぎは古来より食べられていましたが、呼び名についても地域によって違いがあります。
例えば、ぼた餅はおはぎの別名と捉えられていますが、「春にはぼた餅、秋にはおはぎ」といった季節や、「もち米が多いとぼた餅、うるち米が多いとおはぎ」といった素材などで呼び分けられることがあります。
おはぎの周りにつけるものは、小豆餡、きな粉、胡麻が多いですが、白餡や青海苔をつけたものなどもあります。
最近ではナッツやフルーツをのせた“進化系おはぎ”も登場しています。
昨今、ライフスタイルの変化により、お彼岸になじみのない人々も増えてきたと言われています。お彼岸とは、3月の「春分の日」・9月の「秋分の日」を中日にした7日間に先祖のお墓参りを行う期間ですが、本来どのような意味を持つのでしょうか?
お彼岸は、春のお彼岸と秋のお彼岸の2つがあり、どちらもご先祖様を敬う期間です。お彼岸に行うことといえば、お墓参りが一般的ですが、実はその風習が日本で生まれたものとご存じでしょうか?今回は、そんな秋のお彼岸とはどういった風習でいつの日程なのか、過ごし方や食べ物などをご紹介します。
【 北海道おはぎ よしかわ】のおはぎ(東京都)
北海道でおはぎを中心とした和菓子を卸している吉川食品の旗艦店で、北海道産の素材のみを使った作りたてのおはぎを提供しています。
よしかわのおはぎは、十勝産えりも小豆を使用した風味豊かで甘さ控えめの「つぶ餡」と、上品な口当たりの「こし餡」の2種があります。
さらに、餡に純度が高く雑味の少ない十勝産てんさい糖とオホーツクの塩を加えることによって程よい甘さが引き立ちます。
生地に使用している米は、北海道産の「はくちょうもち」と「ゆめぴりか」。
こだわりの米で作られたおはぎは、適度な粘りと柔らかさで食べた人を魅了します。
このほか、生地にプチプチした食感と香ばしい風味が楽しめる古代米の「黒米」を使ったおはぎもあります。
そして、甘いものが苦手という方にオススメなのが、きなこのおはぎ。
中に餡が入っていないので、素朴な味わいを楽しめます。
住所:東京都新宿区西早稲田2-1-7
アクセス:東京メトロ東西線「早稲田駅」徒歩5分
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日曜
【 玉製家】のおはぎ(大阪府)
玉製屋は、現在はおはぎだけを販売する、明治32年(1899年)創業の老舗の和菓子店。
予約は受け付けていないので、毎日のように行列ができる人気店です。
メニューは「きな粉」、「こし餡」、「粒餡」の3種類のみ。
玉製家は、注文を受けてから作るというスタイルなので、作りたてのおはぎが食べられます。
3種類のうち一番人気のおはぎはきな粉で、きな粉と一緒にまぶしてある砂糖のザクっとした舌触りとモチっとした生地が絶妙な食感を生み出しています。
こし餡はキメの細かいしっとりとした餡で、やや強めの塩味が味を引き締めています。
粒餡は程よい粒感と甘さで、ホクホクとした小豆の美味しさが伝わる上品な甘さです。
その味わいから、日本酒や焼酎と合わせる方もいるんだとか。
どれも程よい柔らかさともちもち感の組み合わせが噛み応えよく、幾つでも食べられそうです。
6個入、8個入、15個入で販売していて、「きな粉」は当日中、「こし餡」と「粒餡」は翌日の午前中が消費期限となっています。
行列に並んででも食べたくなる逸品です。
住所:大阪府大阪市中央区千日前1-4-4
アクセス:近鉄難波線「近鉄日本橋駅」徒歩2分、大阪市営地下鉄千日線・堺筋線「日本橋駅」徒歩3分
営業時間:14:00〜なくなり次第終了
定休日:木曜・日曜・祝日(彼岸、お盆の期間は営業)
亥の子餅
「亥の子餅」は、旧暦の10月最初の亥の日に、無病息災を願って“猪に模した菓子”を食べるという中国の習慣が日本にも伝わったことによりできた和菓子です。
亥の子餅には、子どもをたくさん産む猪にあやかって、子孫繁栄などの願いが込められています。
亥の日の行事が盛んに行われていた江戸時代には、幕府や天皇が臣下などに亥の子餅を配ったとされています。
また、亥の子餅は茶道においても新暦の11月のこの日を炉開きとして、茶席菓子として用いられています。
亥の子餅の作り方は地域によってさまざまですが、形は猪や瓜坊を思わせる楕円形が多く、餅だけのものから小豆やきな粉、ゴマをまぶすものなどさまざまな種類があります。
特定の地域に住んでいる人にとっては当たり前の風習も、それ以外の地域の人はまったく知らないことも珍しくありません。おそらく、「亥の子」もその一つでしょう。この記事では、亥の子の意味や行事食など、まったくご存じない方にもわかりやすくご紹介していきます!
【 和菓子司 一炉庵】の亥の子餅(東京都)
一炉庵は、1977年創業の比較的新しいお店です。
季節の移ろいを表現するため、随所に手の込んだ工夫がほどこされている一炉庵の上生菓子は、“芸術品のように美しい”と評されています。
そんな一炉庵の「亥の子餅」は、餅に練り込まれた小豆の皮が表面に見え、中にはしっとりしたこし餡が包まれています。
柔らかな餅生地は滑らかな舌触りの、上品な味わいです。
住所:東京都文京区向丘2-14-9
アクセス:千代田線「根津駅」「千駄木駅」徒歩7分、南北線「東大前駅」5分
営業時間:9:00〜18:00
定休日:火曜、第三月曜
【 たねや】の亥の子餅(滋賀県)
たねやの亥の子餅は、一粒栗とつぶ餡を小豆の皮を搗き入れた求肥で包んであり、ニッキ風味が個性的な味わいです。
全体の薄い茶色に小豆の皮の色が加わり、やや藤色がかって見える色合いをしています。
優しい色合いとウリ坊に模した丸みのある形がとても愛らしいですね。
素朴な外観ながら、中にゴロッと入った一粒栗が、食べ応えのある亥の子餅です。
住所:滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
アクセス:JR近江八幡駅北口近江鉄道バス 長命寺行き / 長命寺経由休暇村行き「北之庄 ラ コリーナ前」下車
営業時間:9:00〜18:00
定休日:年中無休(1月1日を除く)
栗菓子
秋の和菓子といえば“栗”というほど、この時期になるとたくさんの栗菓子が登場します。
栗饅頭、栗蒸し羊羹、栗最中、栗きんとんなど、栗を使った和菓子にはさまざまな種類があります。
1年中売っている栗菓子もありますが、この時期しか作られない和菓子も多いんですよ。
どの栗菓子を食べようか悩んでしまいますね。
【 和菓子 大吾】の爾比久良(東京都)
「爾比久良」は、大吾がある武蔵野の地域が古来にいくらと呼ばれていたことにその名が由来する和菓子です。
卵黄と白餡を程よく合わせた「黄味羽二重時雨餡」で、上質の小豆餡と一粒栗が包まれた爾比久良は、しっかりとした密度がありながら、黄身餡が口の中でほろりとほぐれて溶けます。
豆の香りと上品な砂糖の甘さが感じられる絶妙な味わいです。
食べ応えのある大粒の栗と周りのこし餡が黄身餡とマッチして、一口でなんとも言えない幸福感が口の中に広がります。
通年で販売されているため、夏場は冷蔵庫で冷やしてからいただくのもまた違った食感が楽しめてオススメです。
数量限定で黒糖を使用した爾比久良もあります。
住所: 東京都練馬区大泉学園町6-28-40
アクセス:西武池袋線「大泉学園駅」北口(朝霞駅行・都民農園セコニック行バス)・東武東上線「朝霞駅」南口(大泉学園駅行バス)「都民農園」下車
営業時間:10:00〜18:00
定休日:月曜・月1回日曜(不定期)
【 すや】の栗きんとん(岐阜県)
すやは、もともと元禄年間に創業されたお酢屋さんがはじまりの老舗和菓子店です。
すやのある中津川は「栗きんとん」発祥の地と言われています。
秋になると「栗きんとん」をはじめとした栗菓子を目当てに多くの人がこの地を訪れます。
すやでは、栗を使った菓子を中心に、蕎麦粉の菓子や季節の菓子を作っています。
すやの看板商品である「栗きんとん」は、国産の栗を使い砂糖だけを加えて炊き上げた、シンプルな中に栗本来の味が生きた逸品。
栗の水分だけで炊き上げられた栗きんとんは、栗の美味しさが余すところなく最大限に引き出されています。
一つひとつ茶巾で絞られた丁寧な手仕事も魅力です。
滑らかさの中に栗の粒を感じる、気取りのない素朴さをぜひ味わってみてください。
すやの栗きんとんは、9月から1月までの期間のみ販売しています。
住所:岐阜県中津川市新町2-40
アクセス:JR中央本線「中津川駅」徒歩5分
営業時間:9:00〜19:00 9月から12月は〜19:30
定休日:水曜、9月から12月は無休
おわりに
実りの秋は、食欲の秋でもあります。
収穫にまつわる行事の多い、秋ならではの和菓子がたくさん登場します。
人々が、秋の収穫の時期に祝い祈ったことに思いを馳せながら、この時期にしか食べられない秋の和菓子をたっぷり楽しんでみてはいかがでしょうか。
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