日本の伝統的な食文化である和食は、平成25年(2013年)に「ユネスコ無形文化遺産」に登録されました。
「食」の無形文化遺産としては、5番目の登録です。
しかしながら、「食」のユネスコ無形文化遺産とはどういうことなのでしょうか。
この記事では、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食について、登録申請した背景や登録された理由をご紹介します。
「食」のユネスコ無形文化遺産とは?
和食が「食」のユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、そもそも「ユネスコ無形文化遺産」とは、どのようなものなのでしょうか。
ユ ネスコ無形文化遺産とは?
「ユネスコ無形文化遺産」とは、世界平和のために教育や科学、文化などの活動を通じて広く貢献するためにつくられた国連の専門機関である“ユネスコ※”が保護対象とする無形文化遺産のことです。
「ユネスコ無形文化遺産」は、口承伝統、民族文化、伝統工芸技術、伝統芸能、祭礼などが対象となります。
その地域(土地)の歴史や風習(慣習)などと深い関係がある無形の文化遺産を意味します。そして「無形文化遺産」の登録目的は、その無形の文化の継承と保護です。
日本では「歌舞伎」、「能」、「人形浄瑠璃文楽」、「雅楽」、「和紙」、京都祇園祭りの「山鉾行事」、「アイヌ古式舞踊」、「結城紬」など、21の無形文化遺産が既に登録されています。
一方、「ユネスコ世界遺産」は、「ユネスコ無形文化遺産」とは対照的に建築物、自然、遺跡などの有形のものが対象です。
※ユネスコ:国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational Scientific and Cultural Organization)の頭文字をとって「UNESCO(ユネスコ)」と呼ばれている。
ユネスコは、国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational Scientific and Cultural Organization)のことです。本記事では、日本で登録されているユネスコ無形文化遺産を一覧でご紹介します。
「 食」の無形文化遺産とは?
平成22年(2010年)、ユネスコ無形文化遺産の登録対象分野は、「食」にまで拡大されました。
食がもたらす伝統・行事・儀式、社会的慣習、それらに関わる技術や知識が対象で、これから守って継承しながら育て行く「食文化」を評価するものが、ユネスコの「食」の無形文化遺産です。
つまりこの評価の基準は、特定の料理、味の良し悪しや栄養の豊富さなどではなく、「食」が創る文化や社会をいかに次世代に伝えて継承しているか、という点です。
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。
その影響もあり、近年海外から注目されています。
海外のスーパーマーケットには、健康ブームも相まってヘルシーと言われている和食でよく使われる食材が置かれるようになりました。
「和食」をユネスコ無形文化遺産に登録申請した背景
「和食」をユネスコ無形文化遺産に登録申請した主な背景には、フランスの美食術、スペインとイタリアの地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(麦がゆ)がすでにユネスコ無形文化遺産に登録されていた現状があります。
平成23年7月(2011年)、日本政府は前例を考慮し、「私たち日本人が、失われつつある和食についてどのように対処すべきか」という観点から「和食」の登録申請の提案に動き出しました。
そして平成24年3月(2012年)、日本政府は「和食;日本人の伝統的な食文化」と題して、無形文化遺産への登録申請書をユネスコ本部に提出しました。
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された理由
ユネスコ無形文化遺産に登録された主な理由としては、和食が「日本の伝統的な食文化」として評価されたことと、失われつつある日本の伝統的な和食文化を保護することが上げられます。
評 価された「日本の伝統的な食文化」
和食が「食」のユネスコ無形文化遺産に登録された正式な名前は、「和食;日本人の伝統的な食文化」で、世界で5番目の「食」の無形文化遺産として登録されました。
和食が登録された理由は、和食の「お寿司」や「お刺身」、「天ぷら」などの特定の料理や食材などが評価されたのではなく、和食が「日本の伝統的な食文化」であること、そして「世代を超えて受け継がれ、地域の結びつきを強めている」ことが評価されたことです。
また、和食が次世代に継承され「食」を通して地域の絆が深くなっていることも、評価された理由の1つです。
豊かな自然に恵まれている日本には、昔からその季節の旬の食材や味わいを大事にしながら、祭事や行事に伝わる伝統的な行事食があります。1年を通して日本人の暮らしと共にある主な和食の行事食は下記の通りです。
失 われつつある「日本の伝統的な食文化」である和食の保護
本来、ユネスコ無形文化遺産の登録目的は、「絶滅危機に瀕している文化」の保護をすることです。
そのため和食が無形文化遺産に登録されたもう1つの理由は、失われつつある日本の伝統的な“和食文化”の保護が求められたのではないでしょうか。
この背景には、戦後の日本の急速な経済発展があります。
戦後、日本では、急速な経済発展が進むことにより同時に「食」の洋食化も急速に進み、食を取り囲む生活環境も変化していきました。
そのような状況で、日本の伝統的な和食は、急激に食卓から消えつつあります。
例えば、昔は旬の時期しか食べることが出来なかった野菜や果物が、農業技術の発展により通年を通していつでも食べることができるようになりました。
また、24時間営業のコンビニやファストフード店などの出店によっていつでも好きなものを食べることができるようになりました。
このように、日本人の食生活は大変豊かになりましたが、その一方で、日本の伝統的な和食文化は日常生活から消えていきました。
そのため、日本の和食文化をこのまま保護しなければ、失われてしまう恐れがあると考え、ユネスコは無形文化遺産に登録することを判断したのではないでしょうか。
日常の暮らしの中で食べられている食事とは異なる「行事食」は、日本人が昔から四季折々に開催される祭りや神事、そして冠婚葬祭などで食べる特別な食事です。
四季折々の行事や冠婚葬祭でいただく行事食とは、一体どのようなものでしょうか。
登録後の2つの課題
日本の伝統的な和食文化がユネスコ無形文化遺産に登録され、改めて国民の食生活を見直した際に2つの課題が浮き彫りになりました。
1つ目の課題は、近年の日本の食生活に関する「食の欧米化」、「食の安全」、「個食」(家族が個々に自分の好きなものを食べたりバラバラに食事をしたりすること)、「孤食」(家族揃って一緒に食事をするのではなく、一人で食事をすること)などです。
2つ目の課題は、長い歳月をかけて築かれてきた日本の伝統的な和食の文化をどのように次世代へ継承したり、保護したりしていくかということです。
日本政府はこれらの課題に対しての対策として、和食文化を国民全体で継承したり、保護したりして次世代に伝えていくために、一般社団法人和食文化国民会議を平成27年2月に設立し、同年4月から本格的に活動を始めています。
この会議の活動には誰でも会員となって参加することができます。
これら2つの課題は、日本の人々によって毎日の暮らしの中で再注目されることにより、解決の糸口も見つかるのではないでしょうか。
そして、日本の伝統的な和食の文化も次世代に継承されて保護されていくのではないでしょうか。
日本料理は、日本の風土と社会で発達した料理を意味し、和食は、洋食に対するものとして使われています。
イメージによって使い分けられることも多く、料理店で提供される高度な技術が必要な料理は日本料理で、家庭料理を中心とした日本の料理を和食とイメージしている人も多いです。
美味しい和食を自宅で作って食べられたら、気軽に和食を楽しめるだけでなく、栄養管理の面でも、大きなプラスになります。
この記事では和食が上手になるコツと、そのポイントをご紹介します。
心がけ一つで料理上達に大きく繋がることも少なくありません。
和食特有の情報だけでなく、料理全般に通じる情報もご紹介します。
おわりに
日々、日本人の「食」を中心とした生活スタイルは時代と共に移り変わっていますが、改めて「和食」を見つめ直したり、その素晴らしさを再発見したりしてみませんか。
2013年に日本の「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、日本の伝統的食文化である「和食」は、世界各地で注目されるようになりました。
同時に和食の「うま味」も注目され世界各地に広がり、今日では世界共通の公用語になりました。
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