献上米とは
皇室へ献上されるお米「献上米」をご存じですか?
献上米とは、毎年11月23日(勤労感謝の日)に皇居で行われる重要な儀式「新嘗祭」※に献穀米として献上するお米のことです。
その製法には細かい規定があり、厳格な管理のもとで栽培された最高級のお米なのです。
新嘗祭での献穀は明治25年(1892年)からはじまり、宮中献穀事業とも呼ばれます。
全国各都道府県で献上米を作る農家が毎年選定されるのですが、お米農家にとって献上米を作ることができるのは大変な名誉とされています。
※新嘗祭:全国から献納される新穀(新しく収穫した粟やお米などの穀物)を天皇陛下が御自ら神様にお供えになり五穀豊穣に感謝祈願をする宮中祭祀の一つ。天皇が皇位継承・即位した最初の年の新嘗祭のことを「大嘗祭」と呼ぶ。
2019年11月14日、15日の二日間にかけて執り行われる「大嘗祭」と呼ばれる重要な儀式は、天皇陛下にご即位後、初めて行われる宮中祭祀というだけでなく、一世一代限りのとても珍しい儀式です。
献上米を作るための献穀田(けんこくでん)/斎田(さいでん)
献上米となるお米を育てる田を“献穀田(斎田)”といいます。
この献穀田(斎田)から奉納されるお米が“皇室献上米”と呼ばれます。
特に大嘗祭の際は、“斎田点定の儀”という儀式で “亀卜”という占いによって献穀田(斎田)が決められます。
新潟県、長野県、静岡県を含む東側の18都道県を“悠紀地方”、3県よりも西側の29府県を“主基地方” とし、それぞれ一箇所ずつ斎田を選出。
選ばれた斎田を、それぞれ “悠紀田”、 “主基田” と呼びます。
令和元年(2019年)の大嘗祭においては、悠紀田に栃木県塩谷郡高根沢町の石塚毅男さん所有の水田、主基田には京都府南丹市八木町の中川久夫さんをはじめとする地元の生産組合所有の水田に決まりました。
明治時代以降の悠紀と主基については、こちらの表をご覧ください。
千葉県の主基斎田は“主基斎田址公園”となり、香川県では“主基斎田の碑”が建てられるなど、既に田がなくなっているところもありますが、愛知県岡崎市のように市指定の無形民俗文化財として今も保存されている斎田もあります。
献上米を使用する神事
斎 田清祓(さいでんきよばらい)と播種祭(はしゅさい)・播種式(はしゅしき)
4月~5月初旬、献穀田(斎田)で行う最初の神事「斎田清祓」と「播種祭(播種式)」が催されます。
まず、斎田清祓で田を清め、その後に、無事に農作業ができることと豊作を願い米の籾種撒きを行う儀式である播種祭(播種式)を行います。
この日のために選ばれた田植え装束を身にまとった “早乙女”※や、献穀者(栽培者)をはじめとする市町村長や関係者が集まり苗床に種籾を撒きます。
※早乙女:田植え仕事をする若い女性のこと。
御 田植祭(おたうえさい)・御田植式(おたうえしき)
5月下旬~6月に行われる神事「御田植祭(御田植式)」では、早乙女や関係者の手により田に稲の苗を植える儀式を行います。
田植えの前には献穀田の無事を祈って、神主による祝詞の奏上などがなされます。
抜 穂祭(ぬいぼさい/ぬきほさい)・抜穂式(ぬいぼしき/ぬきほしき)
9月には、実った稲を収穫する儀式「抜穂祭(ぬきほさい)・抜穂式(ぬきほしき)」が行われます。
稲穂を抜き取る刈乙女たちが、美しく育った稲穂を収穫していきます。
おわりに
このように、いくつもの神事を経て献上米は作られていきます。
献上米として選ばれたお米と同様の農法で栽培されたお米を食べてみたい方は、こちらからどうぞ!
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