皆さんは和食と日本料理の違いはご存知でしょうか?
日本料理は、日本の風土と社会で発達した料理を意味し、和食は、洋食に対するものとして使われています。
イメージによって使い分けられることも多く、料理店で提供される高度な技術が必要な料理は日本料理で、家庭料理を中心とした日本の料理を和食とイメージしている人も多いです。
日本人にとっては伝統的な家庭料理である和食ですが、世界的に見ると、和食はエネルギー摂取量も低く、健康的な食事だと言われています。
外食やお惣菜で済ませるのもいいですが、自宅で和食を作れるようになると、食生活がかなり充実します。
ただ、和食を作ってみたいけど、まずは何から始めればいいのか分からない。
そんなときに、必要な道具や下ごしらえの仕方など、初心者がおさえたい和食の基本をご紹介します。
和食を作るときに意識したいこと
和食の料理に挑戦するときに、まず大切な心構えは「季節感」です。
日本には四季があり、それぞれの季節の旬の素材を選び楽しむことを日本人はいつも大切にしてきました。
旬の素材を楽しむことは、和食の味わいを充実させるためだけでなく、経済的にも安く済むという意味でもプラスになります。
和食を作るときに必要な基本道具を揃える

和食の料理を始めるために、とりあえずこれがあれば大丈夫!という、最低限必要な道具をご紹介します。
和食以外にも使えるものなので、揃えておくと便利です。
ま な板
木製のものもありますが、プラスチック製のものがニオイやカビが付きにくく、オススメです。
包 丁
刃渡り17〜20㎝くらいの万能包丁が使いやすいので便利です。
ボ ウル・ザル
ボウルとザルは重ねて使用することが多いので、サイズを合わせて買うと使いやすいです。
菜 箸・おたま・フライ返し・木べら
まずはコンロ付近にこの4本があれば、基本メニューに対応できるでしょう。
和食に挑戦するときに必ず揃えたい基本の調味料

調味料は、素材の味を引き立てる大切な役割を持っています。
和食では、「さ・し・す・せ・そ」という調味料を示す言葉があるのをご存知でしょうか?
この順番で各調味料をご紹介します。
さ とう
いろいろな種類がありますが、上白糖は料理の際に溶け残りにくいため、初心者にはオススメです。
し お
精製塩や粗塩などいろいろな種類がありますが、好みで選んで問題ありません。
お 酢
まずは、料理に馴染みやすい穀物酢や米酢を選ぶと使いやすいでしょう。
し ょうゆ
昔は「せうゆ」と書かれていました。
レシピの材料記載の「しょうゆ」とは基本的には濃い口しょうゆを指します。
み そ
味噌を分類する基準には「原料」、「味」、「色」があり、原料とは麹(こうじ)のことで、米麹を使った「米味噌」、麦麹を使った「麦味噌」、大豆から育てた麹菌を使った「豆味噌」の3種類があります。
味では「甘味噌」、「甘口味噌」、「辛味噌」といったように塩分の配合で分けられ、さらに色の違いでも「赤味噌」、「淡色味噌」、「白味噌」に分類されます。
基本的には普段使っているどの味噌でも使うことができますが、白味噌や赤味噌など、色に特徴のある味噌はクセが強いものが多いので、全く検討がつかないときは淡色味噌を使います。
味が白味噌と赤味噌の間であり、味噌汁から味噌煮までどんな料理にも使えます。
味噌によって味の濃さや塩加減が違って感じるので、味見をしながら分量を加減しましょう。
ちなみに、みそ汁1杯分は、味噌大さじ1杯(約17g)、お湯160ccが美味しく食べれる目安です。

日本人の食卓には欠かせないお味噌汁。
飲むとホッとしますよね。
そんなお味噌汁に使う味噌ですが、皆さんは、当たり前のように買ってはいませんか?
実は、味噌は自宅でも手作りできるんですよ♪
そ れ以外によく使う基本の調味料
上記以外に、サラダ油やみりん、こしょうを準備しておきましょう。
最初に作りたい定番の和食の献立

和食の料理に挑戦するときは、基本の家庭料理から始めてみましょう。
肉 じゃが
家庭料理といえば真っ先に思い浮かぶメニューの一つです。
肉とジャガイモ以外の材料や味付けには、地域や家庭の差がでるところも興味深いポイントです。
鯖 の味噌煮
定食屋さんでもよく見かける定番メニューで、鯖の切り身を味噌などの調味料で煮込んだ魚料理です。
豚 汁
豚汁は、地域によっては、豚汁とも呼ばれています。
特に北海道や九州では豚汁と呼ぶ人が多いようです。
汁物とはいえ、根菜と肉をしっかり煮込んだスープを楽しむので、おかずの一つとも考えられています。
ほ うれん草のおひたし
手早く茹でて調味料をかけるだけでできてしまう、素材の味を楽しむ一品です。
豚 の角煮
柔らかく煮込んだ豚バラ肉は案外あっさりしています。
少し時間はかかりますが、鍋で煮込む作業がほとんどなので、簡単です。
三 食丼
鶏そぼろやいり卵、インゲン豆や青菜などの3色で彩られた丼です。
見た目も華やかで、お弁当にもぴったりなメニューです。
和食の料理を作るときに抑えておきたい用語(言葉)
和食の料理本では、日本語で書かれているのにイメージがわきにくい用語が度々登場します。
ここでは、特に分かりにくそうな用語をピックアップしてご紹介します。
ア ク(灰汁)
食品中に含まれる、渋み・にがみ・えぐみ・不快臭など、不要で好ましくない成分の総称。
石 づき
きのこ類の軸の下方の固い部分のこと。
裏 ごし
枠に布や目の細かい網を張った、ふるいのような道具で、食品をつぶして漉し、細くしたり、カスを取り除いたりすること。
し める
酢や昆布などを使った下ごしらえの一つのことで、魚介に多く用いられます。
余分な水分と生臭さが抜け、身が引き締まり、酢や昆布のうまみや風味がつきます。
面 取り
煮物などで、加熱によって素材が柔らかくなり形くずれを起こすこと(煮くずれ)を防ぐため、野菜の角を細く削り落とすこと。
面取りをすると、煮くずれを防げるだけでなく、表面積が大きくなることから火の通りや味のしみこみもよくなり、見た目も美しく仕上がります。
和食の基本 5つの調理法
煮 る
鍋などに調味液と材料を入れて熱し、調味液を通して材料を熱することを「煮る」といいます。
調味液ではなく水(お湯)を使って材料を熱する場合は「茹でる」といいます。
焼 く
火を使って材料を炙(あぶ)ることで、直接火を材料に当てる「直火焼き」と、鉄板(フライパンなど)やアルミホイルなどを介して素材に火を通す「間接焼き」があります。
炒 める
鍋やフライパンに油をひき、加熱したところへ材料を入れて、かきまぜながら火を通すことを「炒める」といいます。
揚 げる
揚げると一言で言っても、
・素揚げ
・唐揚げ
・天ぷら
・フライ
など、
それぞれの違いについては、衣を使わずに油で揚げるのが「素揚げ」で、小麦粉や片栗粉などの粉類を使って揚げるのが「唐揚げ」、粉類に卵や水で溶いて揚げたものが「天ぷら」、そして、小麦粉、卵、パン粉を使って油で揚(あ)げるのが「フライ」です。
普段何気なくしている揚げ物の料理も、このような違いで分類されているのを知らない人も多かったのではないでしょうか?
蒸 す
沸騰したお湯などの蒸気を使って間接的に材料を熱する調理法のことです。
茹でや、焼きという方法よりも栄養が逃げにくく、形くずれや焦げ、乾燥を防ぎながら調理できる方法ですが、あく抜きや加熱中に味付けできないという注意点もあります。
和食の代表的な下ごしらえ

和食の下ごしらえのやり方は、料理本などでは説明が省かれていることも少なくありません。
ここで、基本の下ごしらえの方法をご説明します。
米 を研ぐ
米を研ぎ、精米した米についているゴミや汚れを取り除くことはもちろんですが、ぬかを取り除くことで、ぬかの臭さを取り除くことができるとも言われています。
ぬかの匂いは、ぬか漬けを思い浮かべていただければ分かりやすいかもしれません。
また、米を研ぐことで米のぬめりも取ることができ、ベトベトした食感になるのを防ぐ効果も期待されます。
米の研ぎ方は、まず米をザルなどに入れ、水を入れて底の方から大きくザックリと数回混ぜます。
次に、濁った水はすぐに捨て、新しい水を入れて米を手の付け根で揉むようにしながらゴシゴシと押し洗いをします。
水があまり濁らなくなるまで数回洗いを繰り返し、最後にきれいな水をたっぷり入れて炊きましょう。
あ く抜きをする
あく抜きは素材の渋み・にがみ・えぐみ・臭いなどを取り除くために行うもので、主に野菜の下ごしらえで行われます。
通常は材料を切った後すぐに水につけるだけで十分ですが、少しアクの強いごぼうなどは酢水につけたり、茹でたりして水にいれるとよいでしょう。
長く水にさらしすぎると、素材の栄養分が水に溶け出してしまうことがあるので注意しましょう。
下 ゆでをする
下ゆでとは、本調理の前に、あらかじめ材料をゆでておくことです。
下ゆですることで、火の通りにくい材料を柔らかくしたり、味をしみこみやすくします。
材料や調理法によって、それぞれゆで加減は異なります。
ダ シを作る
ダシは、昆布や鰹節(かつおぶし)などから作りますが、その理由としては、それぞれに以下の旨味成分が含まれているからです。
・昆布:グルタミン酸
・鰹節:イノシン酸
ここでは、昆布と鰹節を使ったダシの作り方を説明します。
ダシの必要量は、何を作るかによって変わりますし、作り置きをしておく場合もありますので、一般的に一度に作る量というのは難しくなりますが、例として、味噌汁5人分を作る場合、ダシは1.8 ℓほど必要となります。
まず昆布の汚れを布巾で取っておき、1.8ℓの水を入れた鍋に幅10cm程度に切った昆布を1枚入れ、30分程度そのまま水につけておきます。
中火で鍋を熱し、沸騰する直前(細かい泡が立ち昆布が浮き上がるくらい)に昆布を取り出し、鍋の湯はそのまま沸騰させます。
削り節80gを鍋に入れ、再び沸いてきたら火を弱め、浮いてくるアクをすくいます。
そのまま2分ほど煮たら、火を止めて、鰹節が底に沈み始めたら、キッチンペーパーを敷いたザル等に鍋の中身を空けます。
和食を作るときに困ったらオススメの料理番組をチェック!
本やサイトのレシピでは調理イメージがわかないときには、テレビやオンライン動画を観ると便利です。
包丁の動かし方や動作が詳しく見られて、料理教室のように学ぶことができるかもしれません。
き ょうの料理(NHK)
1957年の放送開始から、60年以上の歴史を持つ伝統的な料理番組です。
オンライン公式サイトも充実しています。
き ょうの料理ビギナーズ(NHK)
きょうの料理よりもさらに簡単でシンプルな料理を紹介してくれる初心者向けの番組です。
調理のコツだけでなく、買い物での肉や野菜の賢い選び方、冷蔵庫を使った上手な保存法、道具の基礎的な使い方から、盛りつけ、マナーにいたるまで、食べること全般の基礎知識を映像で学ぶことができます。
キ ューピー3分クッキング(日本テレビ系列)
民放で最も古い歴史を持っている料理番組です。
連携しているオンライン公式サイトでも動画再生が可能(有料サービス)で、料理の素材やカレンダーの放送日からレシピを検索することもできます。
おわりに
和食をはじめて作る人に向けた基本的なポイントを紹介しましたが、いかがでしたか?
これで和食の基本を大まかに把握できると思います。
キッチンに立つ習慣のない方には、和食を作ることはハードルの高いことかもしれませんが、まずは簡単な基本メニューから、一つずつレパートリーを増やしていきましょう。
是非、和食を作る一歩を踏み出してみてください!

日本は南北に細長く、四季の移り変わりが感じられる、たいへん自然に恵まれた国です。そして、日本の各地域(土地)に生まれた独特の食文化も、これらの地理的な特徴や美しい自然と共に生まれてきました。
農林水産省によると、日本人は昔から「自然を尊ぶ」という気質に基づいて「食」に関する社会的な慣習を年中行事と共に行ってきました。

美味しい和食を自宅で作って食べられたら、気軽に和食を楽しめるだけでなく、栄養管理の面でも、大きなプラスになります。
この記事では和食が上手になるコツと、そのポイントをご紹介します。
心がけ一つで料理上達に大きく繋がることも少なくありません。
和食特有の情報だけでなく、料理全般に通じる情報もご紹介します。

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