令和5年(2023年)7月現在、奈良公園には1,200頭を超える鹿が生活しています。

日々、鹿を一目見たいと多くの観光客が訪れる奈良公園ですが、なぜこんなにも多くの鹿がいるのでしょうか?

その理由を紐解くと、とても古い歴史にたどり着きます。

今回は、奈良公園の鹿について、歴史や接し方、イベント情報、豆知識などをご紹介します!

奈良公園の鹿、なぜいるの?

なぜ、奈良公園にはこんなにもたくさんの鹿がいるのでしょうか。

その歴史を辿ってみましょう。

良公園の鹿の歴史(由来)

奈良公園内にある神社・春日大社かすがたいしゃは、日本各地に約3,000社ある春日大社の総本社であり、ユネスコの世界遺産にも認定されています。

春日大社で祀られている主祭神の一人、「武甕槌命タケミカヅチノミコト」は、もともと茨城県の鹿島神宮の神様でした。

神護景雲じんごけいうん2年(768年)、武甕槌命は鹿島神宮から春日山へ白い鹿に乗ってやってきました。

この時、武甕槌命が乗っていた白い鹿が奈良で子供を産んだことが、奈良の鹿のルーツだといわれています。

万葉集にも奈良の鹿を詠む歌がありますから、1200年以上前から、奈良の鹿は神の使いとして保護されてきた、ということになります。

今、奈良公園にいる鹿たちは、神様の使いの子孫なのだと考えると、なんだかより愛おしく感じますよね♪

良公園の鹿は野生動物!

神の使いとされている奈良公園の鹿ですが、偶蹄目ぐうていもくシカ科シカ属ニホンジカ亜種として国の天然記念物に指定されている野生動物です。

あくまでも野生動物のため、飼育されている訳ではなく、奈良県は鹿の保護と育成に努めているそう。

また、遺伝子研究の結果、紀伊半島に生息しているニホンジカの中でも、奈良公園の鹿は独自の遺伝子集団を形成していることがわかりました。

このことから、奈良公園の鹿は1000年以上前から神の使いとして人間に保護され、その血脈を維持してきたことが明らかとなったのです。

令和5年(2023年)7月の調査によると、オス286頭、メス770頭、子供177頭、全部で1,233頭が確認されています。

奈良公園の鹿の生態

では、奈良公園の鹿たちは、普段どのような生活を送っているのでしょうか?

その生態を探ってみましょう!

を食べているの?

奈良公園の鹿は、公園に生えている芝や葉っぱ、木の実を主食としています。

観光で訪れた方が鹿にあげる定番は、「鹿せんべい」ですね。

鹿せんべいは小麦粉と米ぬかからできていて、鹿にとって安全な食べ物となっていますが、あくまでもおやつであり、主食として食べているわけではないのです。

はどこにいるの?

鹿は、約20頭ずつグループで固まって寝ます。

グループごとにだいたい寝る場所が決まっているそうで、奈良公園内の木や茂みに隠れるような形で、座って休みます。

昼間は餌をもらうため参道に沢山いる鹿も、夜には一匹もいなくなります。

ちゃん鹿の成長

妊娠がわかったメス鹿は、赤ちゃん鹿を守るために人を攻撃しないよう、一般社団法人奈良の鹿愛護会が運営している保護施設「鹿苑ろくえん」で出産までを過ごします。

出産時期は5月中旬から7月頃で、6月が出産のピークとなります。

中には、奈良公園内で出産してしまう母鹿もいますが、そんな場面に遭遇したときは、離れたところで静かに見守ってください。

一定期間を過ぎると、母鹿と小鹿は奈良公園内で生活を送りはじめます。

小鹿がびっくりしてしまうので、むやみに近づいたり追いかけたりするのはやめましょうね!

かわいい小鹿をゆっくりと堪能したい方にオススメなのが、鹿苑での特別イベント「小鹿公開~赤ちゃん鹿 大集合!」です。

6月1日~6月30日の間、鹿苑の野外会場にて、観覧席からお母さん鹿と赤ちゃん鹿を見ることができますよ♡


※期間・時間・料金の詳細については公式HPをご確認ください。

鹿との接し方マニュアル

では、奈良公園の鹿とはどのように触れ合ったら良いのでしょうか?

ここからは、鹿と接するにあたり気をつけたいことを4つご紹介します!

奈良公園に行く際は、ぜひ参考にしてみてくださいね♪

用意に触れない

先ほども記述したとおり、奈良公園の鹿はあくまで野生動物です。

危険を感じたら、身を守るために噛んだり蹴ったりすることもあります。

距離感をもって接し、小さな子供だけで触れさせないように気をつけましょう。

特に、メス鹿は小鹿を守るために、オス鹿は秋に発情期を迎えるために気性が荒くなっていますので、気をつけて接してくださいね。

の散歩に注意

鹿は繊細で臆病な生き物。

犬に驚いて突然走り出し、事故の原因となったり、身を守るため犬に襲いかかる可能性もあります。

奈良公園内を犬連れで観光・散歩する際は、必ずリードをつけて、鹿から距離を置いて散策してください。

える食べ物に注意

奈良公園の鹿は、芝や木の実を主食として、鹿せんべいをおやつとして食べて生きています。

奈良公園に観光に来た際は、鹿せんべい以外の口にするものを与えてはいけません。

手に持っているビニール袋やパンフレットを食べてしまう可能性もあり、それらを誤って食べてしまうと、死んでしまう鹿もいます。

鹿と接するときは、手荷物の管理にも注意しましょう。

奈良公園内にはゴミ箱はありませんので、ゴミは必ず持ち帰ってください。

鹿 せんべいをあげる時は

さて、鹿との接し方について理解できたら、いよいよ鹿せんべいをあげる時間です♪

鹿せんべいをあげるときは、以下の2点に注意しましょう!

焦らすのはダメ

鹿せんべいをあげるときは、焦らさずすぐにあげましょう。

目の前に食べ物があるのに焦らしてしまうと、服や体を噛まれる危険性があります。

鹿を怒らせないような行動を心がけることが大切です。

なくなったら「シカサイン」!

鹿せんべいがなくなっても、鹿がせんべいを求めて近くにやってくることがあります。

攻撃的な動きをされないよう、手持ちの鹿せんべいがなくなったら、鹿の目線に合わせて両手のひらを見せてあげましょう。

そうすれば、鹿せんべいがないことを理解して、離れていきます。

奈良公園の鹿イベント・行事

奈良公園では、四季折々、さまざまな行事が開催されていますが、中には鹿に関するイベント・行事もあります。

ここでは、その一部をご紹介します!

鹿 の角きり


鹿の角きりは毎年10月に開催される行事で、一般にも公開されています。

その歴史は江戸時代にまでさかのぼり、危険防止と樹木を保護することを目的に、寛文11年(1671年)にはじまりました。

角が生えているのはオス鹿で、角は彼らのシンボルのようなもの。

それを切るのは申し訳ない気持ちになりますが、人間と共生するために必要な行事です。

ちなみに、角は人間の爪と同じで切っても痛みは感じません。

切られた角は、一般社団法人奈良の鹿愛護会の事務所やHPで販売されており、工芸品やアクセサリー、犬のおしゃぶりに変身します♪

鹿 寄せ


鹿寄せは現在、観光イベントとして予約制で行われています。

明治25年(1892年)に、鹿苑の竣工奉告祭の際にラッパが吹かれたことがはじまりで、現在はホルンを吹いて鹿を呼び寄せているそうです。

春日大社参道にある「飛火野とびひの」という場所で行われており、夏と冬には無料で公開されているほか、有料(21,000円)での体験も可能です。

ナチュラルホルンの音色に呼び寄せられて集まってくる鹿の姿はなんともかわいらしく、癒しを与えてくれますよ♡

鹿公開


赤ちゃん鹿の成長でもご紹介した「子鹿公開」は、6月中に開催される大人気のイベントです。

生まれたての赤ちゃん鹿たちが、愛らしい姿を見せてくれますよ♡

母鹿と子鹿を間近でみる機会はそうありませんので、ぜひ一度訪れてみてくださいね!

鹿 苑公開

鹿苑ろくえんは春日大社境内にあり、交通事故などで療養が必要な鹿や妊娠中のメス鹿などを一時的に保護する施設です。

日常的に一般公開されており、鹿の生態や歴史、保全活動について知ることができる展示ゾーンや、鹿にどんぐりをあげる餌やり体験ゾーンなどがあります。

一般社団法人 奈良の鹿愛護会

一般社団法人奈良の鹿愛護会は、鹿と人の共生のため24時間体制で保全活動を行っている団体です。

昭和9年(1934年)に設立され、鹿の保護育成だけではなく、保護するために必要な研究調査や環境教育も行っています。

鹿の角切りや鹿寄せといった伝統的な行事やイベントを開催しているのも、奈良の鹿愛護会なのです。

鹿せんべいは奈良の鹿愛護会の登録商標で、売り上げの一部は鹿の保護にあてられています。

良の鹿を支援したくなったら

ここまで読んで、奈良の鹿を支援したい!と思った方もいるのではないでしょうか?

「一般社団法人 奈良の鹿愛護会」は、活動を支援してくれる会員と寄付・募金を募集しています。

会員になると、情報誌が届くだけではなく「小鹿公開」「鹿の角きり」といったイベントに無料入場できる特典がついてきますよ♪

興味のある方は、ぜひ奈良の鹿愛護会のHPをご覧ください。

おわりに

今回は、奈良公園の鹿についてその概要を詳しくお伝えしました。

野生動物との共生は簡単なものではありませんが、鹿の目線になって接することで、確実にその願いを叶えていくことができるのです。

神の使いとされる奈良公園の鹿に、ぜひ一度会いに行って癒されてみませんか?