最近は、各地でおしゃれなお月見のイベントも増えているようです。
見るなら、絶対に中秋の名月がいいですよね? ですが、ちょっと待ってください。
中秋の名月って何ですか?
今回は知っているようでよく知らない、中秋の名月にまつわる基礎知識について簡単にご紹介します。
中秋の名月とは
中秋の名月とは、いつなのでしょうか。
また、風習やその起源などについてご紹介します。
中 秋の名月はいつ?
中秋の名月とは、旧暦(太陰太陽暦)8月15日の夜に見える月のことです。
現在の暦(新暦)ですと、9~10月頃にあたります。
結構幅があるように思えますが、これは秋分の日以前で、一番近い新月の日を1日目(旧暦8月1日)とし、15日目を中秋とすると決められているからです。
中 秋の名月
中秋の名月は「一年で最も美しい月」と言われています。その理由としては、
●月の高さが見上げるのにちょうどいいこと(季節によって高さが変わるため)
●秋は空気が澄み渡り、月が鮮やかに見えること
などを挙げることができます。
中秋の名月の日には、お月見をする風習(後述)がありますが、過ごしやすい気候のこの季節、月を眺めるにもちょうどいいですね。
中 秋の名月が満月とは限らない
さて、中秋の名月は必ず満月であるとお考えではありませんか?
実はそうとも限らないのです。
例えば、2019年の中秋の名月は9月13日です。
しかし、満月となるのは翌日の9月14日。
これはなぜなのでしょうか。
理由は、満月の月齢が変化するからです。
新月から満月までの期間は一定ではなく、13.9日~15.6日と幅があります。
旧暦15日は月齢14.0日を含む日を意味する一方、月の満ち欠けの周期は平均約14.8日です。
そのため、旧暦15日と満月が重ならないことが多くあります。
したがって旧暦8月15日である中秋の名月も、満月であるとは限りません。
十 五夜とは?
さて、満月の夜を表す「十五夜」という言葉がありますよね。
十五夜=中秋の名月と思っている方も多いのではないでしょうか。
実は十五夜には、2つの意味があります。
1.陰暦15日の夜
2.陰暦8月15日の夜(中秋の名月)
毎月15日の夜を指すこともあれば、中秋の名月を表す8月15日の場合もあるのですね。
月 の満ち欠けと呼び名
満ちては欠ける月には、それぞれ風情のある呼び名が多く付けられています。
お 月見の起源
中秋の名月といえば、お月見ですね。
起源は古代の中国です。
古くからこの日は月を祀る日とされ、満月を鑑賞する風習があったのです。
現在では「中秋節」と呼ばれ、中国の祝日にもなっています。
この風習は平安時代の日本にも伝わり、貴族たちが月見の宴を催すようになりました。
なお、庶民の間にまで浸透したのは、江戸時代のことです。
中 秋の名月の語源
中秋の名月といいますが、中秋とはどういった意味なのでしょう。
もうお気づきだと思いますが、中秋は中国の中秋節から来ています。
秋(旧暦7~9月)の真ん中なので「中秋」というそうですよ。
日 本では里芋をお供えする収穫祭だった
もともと日本でもこの日の月を「芋名月」といって、里芋をお供えする収穫祭が行われていました。
ここへ中国の中秋節が伝わり、今日のお月見の風習が生まれたとされています。
中秋の名月の過ごし方
中秋の名月の日は、どのように過ごせば良いのでしょうか。
お 月見をする
中秋の名月にやることといえば、まずはお月見でしょう!
月は愛でるだけではなく、信仰の対象でもありました。
そこで、月にお供え物をするという習慣が生まれたのです。
お供え物は地域によって異なりますが、一般的には縁側にススキを飾ります。
ススキは稲穂の代わりであるとか、神様の依り代になるとも考えられています。
他にも、お神酒や食べ物(詳しくは下記)を三方(写真を参照のこと)に乗せてお供えします。
お 供え物を食べる
お月見が終わったら、お供え物を食べましょう。
月の光にあてたお供え物を食べると、月の力を得ることができるとされています。
①月見団子
お月見の定番といえば、月見団子ですね。
収穫への感謝に由来するという月見団子は、地域によって作り方・形・積み方なども異なります。
一般的には満月にちなんで※、丸いものが多いようです。
※収穫祭にお供えした里芋にちなんで丸い、という説もあります。
●12個説:1年の満月の数(閏年の場合は13個)
●15個説:十五夜にちなんだもの
②里芋・さつまいも
収穫祭にちなんで、里芋やさつまいもなどもお供えします。
里芋は1株でも子芋・孫芋……と際限なく増えていくので、子孫繁栄の縁起物とされてきました。
その他、旬の果物や野菜などをお供えすることもあります。
収穫に感謝して、おいしくいただきたいですね。
おわりに
普段、じっくりと月を眺める機会はなかなかありませんよね。
忙しく暮らしている現代人にこそ、中秋の名月を楽しむ時間が必要なのかもしれません。
次回の中秋の名月はお供え物をして、お月様のパワーをチャージしてみませんか?
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