日本刀は武士の魂

日本刀は優れた武器であると同時に美しい芸術品であり、さらに日本人の精神性を象徴するものとしても受け継がれてきました。

古来より武器としての強い信頼と神秘的な美しさを持つ刀剣類には神が宿ると考えられ、江戸時代、日本刀は「武士の魂」を表わすものとなりました。

日本刀は、刀鍛冶が長い伝統の中で培った技を結集し、精魂込めて作りだした強く美しい武器。

武士たちが、心の強さを表わし、精神のよりどころとみなすのにふさわしい存在でした。

明治の廃刀令で日本刀は一部を除いて武器としての役目を終えます。

第二次世界大戦後は美術刀剣、つまり美術工芸品として認知されるようになりました。

長い歴史の中で合理性と美意識を融合させてきた日本刀は、日本人の伝統的な精神をも受け継いだ美術工芸品として、改めて認知されたのです。

近年では、クールジャパンで日本の刀鍛冶の精巧かつ複雑な作業を知った外国人が、その日本人の伝統と技に感嘆して日本刀に注目するようになりました。

刀の魅力に惹かれる現代の人々

また、マンガやゲームをきっかけに刀に惹かれる若い人たちも増えています。

とくに最近では「刀剣乱舞 -ONLINE- 」(略称 とうらぶ)という名刀を刀剣男士として擬人化したオンラインゲームから日本刀に興味を持つ若い女性、刀剣女子が急増。

最初はミーハー感覚で意中の刀剣男士の業物を鑑賞していくうちに、本物の日本刀に魅了されていく女性たちも少なくないのだとか。

刀が漂わせる神秘的な美しさと長い歴史と伝統に育まれた刀剣の持つストーリー性、そして日本刀に込められた日本人の精神性に惹かれているようです。

このようにかつては武器として君臨した日本刀は今、その伝統と美意識、日本の精神を伝えるものとして、日本文化の一つとなっています。

現在は刀鍛冶の世界でも機械が導入されるようになりました。

とくに鍛錬する場合は、「相槌」といって、数人がかりで槌を叩いていきます。

しかし、今では鍛造機(電動で動くスプリングハンマー)を用いるおかげで、叩く部分を機械が担い、刀鍛冶1人で鍛錬を行なうことができます。

機械化が導入される一方、今でもそれぞれの刀鍛冶が自分の個性を出しながら美術刀剣、居合の道具などとしての刀を作っています。