皆さんは「伝統工芸品」に関するイベントがあるのはご存じですか?
伝統工芸品は美術館でみたり、お店で買ったりするだけでなく、イベントで作り方をみたり、職人さんのお話をきいたりして楽しむこともできるのです。
そこで今回は、そんな伝統工芸品のイベントの一つである「ものづくり・匠の技の祭典」についてご紹介します♪
※令和3年(2021年)はオンライン開催となりました。詳しくは公式HPをご確認ください。
ものづくり・匠の技の祭典とは
「ものづくり・匠の技の祭典」とは、東京都主催で“ALLJAPAN&TOKYOプロジェクト”※の一環として毎年開催されている、伝統的な匠の技やものづくりの技能・技術の魅力を発信する祭典です。
“伝統”と“革新”をテーマとし、衣・食・住・工のさまざまな分野の優れた技を、見るだけではなく、自ら体験できるなど、海外の方も含めて、誰もが楽しむことのできるイベントとなっています!
※ALLJAPAN&TOKYOプロジェクト:東京都産業労働局が行っている産業振興施策のこと。“日本各地との共存共栄”という目標を掲げ、日本各地と東京が互いの魅力を発信し合い、互いに高い効果をもたらすことを目指している。
これまでの「ものづくり・匠の技の祭典」における企画展
平成28年(2016年)~令和2年(2020年)に開催された「ものづくり・匠の技の祭典」の中からいくつかのステージパフォーマンス、テーマ展示、体験をご紹介します!
「ものづくり・匠の技の祭典」公式HPにも載っているYouTube動画や、ワゴコロの関連記事もあわせてお楽しみください♪
ス テージパフォーマンス
からくり屏風製作の実演
「ものづくり・匠の技の祭典2020」では『からくり屏風』製作の実演がありました。
からくり屏風とは、江戸時代に生まれたもので、開き方によって違う柄が出てくる不思議な屏風のことです。
何枚もの和紙を張り合わせた紙蝶番(かみちょうばん)の技術を応用することで、からくり屏風を作ることができます。
職人さんがからくり屏風を作っている姿を見ていると、自分でも作ってみたくなりませんか?
東京都墨田区にある片岡屏風店さんではからくり屏風作り体験ができますし、楽天市場では手作りキットが販売されています。
興味を持った方はぜひ、からくり屛風作りをしてみてはいかがでしょうか♪
日本庭園作り
「ものづくり・匠の技の祭典2020」では、サポーターの魔裟斗さんと、“一般社団法人 日本造園組合連合会 東京都支部”の方々による日本庭園における土壁と竹のオブジェ製作の実演も行われました!
自然の風景を象徴的に再現しようと試みて作られる日本庭園。
水、山、植物などさまざまなものから構成されています。
日本三大庭園を見たことがある方は多いと思うのですが、意外と作り方までご存じだという方は少ないのではないでしょうか?
日本庭園とは、主に中心に配置された池、勾配をつける築山、そしてさまざまに組み合わされた石で構成されており、長い歴史の中で日本が独自に形成してきた様式です。この記事では、日本庭園の定義、多種多様な日本庭園とその特徴、日本庭園の歴史と文化、庭園の構成要素についてご紹介します。
日本には有名な庭園が数多くありますが、それを造った庭師・作庭家のこととなると、ピンとくる名前は少ないのではないでしょうか。江戸時代以前は庭園を造る専門家は存在せず、僧侶や茶人として知られる人物が自分好みの庭園を造っていました。
また、自分で日本庭園を作ってみたい!という方向けに、ミニ庭園キットも販売されています♪
いけばな実演
※YouTube動画は令和元年(2019年)、広山流家元の岡田広山さんによる実演。
明治43年(1910年)に創流された広山流四代家元の岡田広山さんや、古流松藤会家元の池田理英さんらにより、複数回開催されているいけばなの実演です。
いけばなは完成形が美しいのはもちろん、作っている最中も見入ってしまう魅力があります。
いけばなに関するイベントは全国で頻繁に開催されており、中には目の前で有名な華道家同士のバトルを見ることができるイベントも!
品川プリンスホテルのクラブeXで開催された「花いけバトルロイヤル」にワゴコロ編集部が行ってきました!
ぜひ一度いけばなを作る様子を直接見たり、ご自身で作ってみたりしてください♪
ポップアップ茶室
ポップアップ茶室やスーツケース茶室を扱う『ZEN-An 禅庵』。
「ものづくり・匠の技の祭典2018」の動画では、ポップアップ茶室の組立をミュージカル風に実演しています♪
『ZEN-An 禅庵』の設計者は、茶室建築家・茶道家・日本文化伝道師の椿邦司さん。
椿さんの他にも多くの伝統工芸士が関わった作品で、世界に茶道文化を伝えることを目的としています。
茶道はただお抹茶をいただくだけでなく、日本の歴史や文化、作法にまつわる教養を深めることができます。
体験だけでもOKなお教室も数多くありますので、ぜひ一度、茶道の魅力に触れてみては?
テ ーマ展示
トヨタ2000GT
「ものづくり・匠の技の祭典2018」では、『トヨタ2000GT』が展示されました。
トヨタ2000GTとは、トヨタ自動車株式会社とヤマハ発動機株式会社との共同開発により、昭和42年(1967年)に販売が開始されたスポーツカーです。
当時、日本初の技術が多く使われた欧米にも劣らないスポーツカーは、多くの人々の憧れとなりました。
しかし、生産期間は昭和42年(1967年)から昭和45年(1970年)のたったの3年間で、わずか337台しか生産されませんでした。
希少価値のある2000GTシリーズの中でも、平成16年(2004年)発売の2000GTロードスターは、カスタムモデルで世界に1台しか存在しません。
そんな超貴重な車体を、俳優・唐沢寿明さんがトヨタ博物館に寄贈しました。
こちらの車体はトヨタ博物館内のクルマ館エントランスで、令和4年(2022年)3月末まで展示される予定ですので、車好きの方、ものづくり技術の発展に興味がある方はぜひ訪れてみてください♪
※詳しくはトヨタ博物館公式HPをご確認ください。
日本の伝統料理
日本では、伝統行事と料理の関係がとても密接です。
「ものづくり・匠の技の祭典2020」の動画では重陽の節句の料理や、おせち料理が紹介されています。
飾り切りや盛り付けなど、見た目が非常に美しい行事食。
もっと詳しく知りたい!という方は、ぜひワゴコロの記事もあわせてお楽しみください。
豊かな自然に恵まれている日本には、昔からその季節の旬の食材や味わいを大事にしながら、祭事や行事に伝わる伝統的な行事食があります。1年を通して日本人の暮らしと共にある主な和食の行事食は下記の通りです。
お正月といったら、おせち料理!毎年当たり前のように食べているおせち料理ですが、なぜ年明けにはおせち料理を食べて新年を祝うのでしょうか?また、いつの時代から重箱に詰めるようになったのでしょうか?この記事では、おせち料理の歴史や重箱への詰め方の作法、それぞれの料理に込められた意味や願い、由来を紐解いていきます。
体 験
組子コースター作り
釘を用いずに木を組みつける木工技術を『組子』といいます。
「地組」という枠と、その中に入れる「葉組子」というパーツを組み合わせることで、さまざまな幾何学模様のデザインが生まれます。
画像では「麻の葉」という日本の伝統的な文様を組子で作っています。
飛鳥時代に誕生し、江戸時代には広く発展したといわれる「組子」の技法を身近に感じたいですね♪
たまご焼き体験
「ものづくり・匠の技の祭典2016」から複数回開催されてきた『たまご焼き体験』。
“たまご焼き”は日本人にとって、お弁当や食卓に欠かせないお料理ですよね♪
会場では、日本料理のプロが美味しい出汁巻き卵の作り方を教えてくれますよ。
お家で作られる方も多いと思いますが、こうしてイベントでご家族と一緒に楽しみながら作るのも良い思い出になること間違いなしです!
和楽器体験
「ものづくり・匠の技の祭典」では、三味線・横笛各種・鼓・尺八などの和楽器に触れる体験も行われています。
音色を聴いたことがあっても、実際に触ったことがないという方は多いのではないでしょうか?
お子様から大人まで、この経験を通して新たな趣味を見つける良いきっかけができるはず!
このイベントに限らず、和楽器教室の体験やイベントに参加して、実際に和楽器に触れてみてください♪
塗り壁体験
コテに壁材を乗せて壁に塗っていく塗り壁体験。
コテを使って塗る作業は、思っているほど簡単ではありません!
綺麗に塗ることができる、一人前の状態になるには5~7年かかるといわれています。
左官道具セットも販売されているので、DIYをしてみたい方、左官の難しさを体感してみたい方にオススメです♪
ものづくり・匠の技の祭典2021の見どころ
「ものづくり・匠の技の祭典2021」では、今までにも複数回行われた、和楽器の製作と実演・いけばな・氷彫刻などをはじめとし、さまざまなステージパフォーマンスが予定されています。
オンライン開催になってしまったものの、配信の途中に取得できるキーワードを利用した視聴者プレゼントや、ホームページにある作品の細かい紹介と共に、視聴者も一体となって楽しむ事ができるようになっています♪
また今回の祭典は、全国の青年技能者・障害者がものづくりやサービスの技能を競う競技大会「Tokyo技能五輪・アビリンピック2021」と同時開催されます。
そちらもあわせてお楽しみください!
※配信のスケジュールは公式HPからご確認ください。
その他の「伝統工芸品」に関する展示会・イベントをご紹介
今までご紹介してきた「ものづくり・匠の技の祭典」以外にも、伝統工芸品に触れ、その魅力を感じることができる展示会はたくさん開催されています。
その中でも有名なものをいくつかご紹介します。
目に留まるものがあれば、ぜひ足を運んでみてください♪
国 内最大規模の公募工芸展「日本伝統工芸展」
「日本伝統工芸展」は、優れた伝統技術の保護と後継者の育成、伝統工芸の普及を目的として開催されています。
今年で68回目を迎える国内最大規模の工芸品の展示会。
金工・木竹工・人形・諸工芸・陶芸・染織・漆芸の7部門の入選作品のうち、受賞作および重要無形文化財保持者(人間国宝)・鑑審査委員・受賞者の作品が展示されます。
日本橋高島屋や石川県立美術館など、複数の会場を巡回して行われており、令和3年(2021年)11月から令和4年(2022年)3月にかけて、岡山、高松、仙台、福岡、広島の順で展示を見ることができるので、まだご覧になっていない方はぜひ足を運んでみてください♪
※展示スケジュールはこちら
「 全国伝統的工芸品公募展展示会」
「全国伝統的工芸品公募展展示会」は、“伝統的工芸品”に関する展示会です。
“伝統工芸品”とは、長い歴史があることや、熟練の技が用いられていること等、各都道府県や自治体が定めた基準をクリアし認められた工芸品のことを指しますが、明確な基準はありません。
現在、日本全国に伝統工芸品は約1200種類あるといわれています。
一方、“伝統的工芸品”は、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて経済産業大臣が認定するもので、以下の要件を満たさなければなりません。
1.主として日常生活の用に供されているもの。
2.製造過程の主要部分が手工業的であるもの。
3.伝統的技術または技法によって製造されるもの。
4.伝統的に使用されてきた原材料を使用していること。
5.一定の地域で少なくない人数で製造を行っていること。
令和3年(2021年)1月15日時点で、236品目が伝統的工芸品と認められています。
「全国伝統的工芸品公募展展示会」とは、そんな狭き門を勝ち抜いた伝統的工芸品の中でもさらに、歴史ある技術・技法かつ現代に合った新しいアイディアや表現を取り入れた伝統的工芸品の開拓を目的として展示を行っています。
「2021年度全国伝統的工芸品公募展」の全応募作品の展示は終了してしまいましたが、令和3年(2021年)12月17日(金)から、入賞・入選作品のみを展示する「優秀作品展」が伝統工芸 青山スクエアにて開催されますので、ぜひ訪れてみてください♪
「 東京都伝統工芸品展」
「第63回東京都伝統工芸品展」が、令和2年(2020年)1月9日から1月13日まで、新宿高島屋にて開催されました。
期間中は、伝統工芸の展示だけでなく、体験や実演ブース、販売コーナーも用意され、伝統工芸品を身近に触れることのできる展示会となりました。
令和3年(2021年)12月時点で、第64回の開催情報は未定です。
「 JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK(JTCW)」
「JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK(JTCW)」とは、伝統工芸青山スクエアが主催するイベントのことで、都内38か所のショップで伝統工芸を紹介し、人々をつなぐこと目的としています。
令和3年(2021年)は11月11日までの14日間に渡り、青山・中目黒・銀座の3エリアにて開催されました。
平成26年(2014年)に初開催された時は22店舗でしたが、今では38店舗と年々拡大している注目のイベントです♪
「 HULS Gallery Tokyo」
「HULS Gallery Tokyo」は東京都港区赤坂にある伝統工芸品を展示しているギャラリーで、とても洗練されたおしゃれな空間です。
常設展示から、“金工2021”や“酒器展2021「宵のはじまり」”など期間限定の企画展示まで、さまざまな展示が行われています。
現代の生活に合うデザインの作品が多く、ご自宅のインテリアにも、プレゼントにもぴったりです♪
購入も可能なので、気に入ったものがあればぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
※展示スケジュールは公式HPをご確認ください。
おわりに
ここまで、「ものづくり・匠の技の祭典」をはじめとし、日本の伝統文化に関するさまざまな展示会をご紹介してきました。
伝統工芸品への関わり方、好み方に正解はありません。
ご自分の興味に沿って、自由に伝統工芸品を楽しんでいただければ幸いです。
そのきっかけとして、ぜひ、いろいろな展示会にも足を運んでみてください♪
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。