夏になると、デパートやスーパーなどで見かけるお中元フェア。

自分には関係がないと思って、通り過ぎていませんか?

事実、お中元を贈る習慣のある方は4割くらいだそう。

とはいえ、お中元は日本の美しい贈答文化の一つです。

大人なら、ある程度の知識は持っておきたいものですね。

そこで今回は、そもそもお中元とはなにか、時期や贈る際・もらう際のマナー、お歳暮との違いについて解説していきます。

素敵な大人になるための第一歩を、一緒に踏み出しましょう!

お中元とは?

お中元と聞けば、なんとなくの意味はわかると思います。

ですが、その起源や歴史までご存知の方は少ないのではないでしょうか?

さらに、似たような「お歳暮」や「暑中見舞い」との違いをはっきりさせることで、改めてお中元とは何かを理解していきましょう。

お中元の意味

お中元とは夏、特にお盆の時期に品物を贈るしきたりです。

お中元を贈る理由
お中元を贈る理由は、日頃お世話になっている方々に感謝し、季節のあいさつをすることにあります。

親戚・知人・恩師・仕事で関わりのある人などに贈るのが一般的です。

お中元の起源・歴史

お中元は本来、贈答のしきたりを意味する言葉ではありません。

ここでは、お中元の語源と起源について触れましょう。

お中元の語源~三元さんげんの“中元ちゅうげん”から~
お中元の語源は、古代中国で誕生した宗教である道教どうきょうの「三元さんげん」にあります。

三元とは年3回、季節の変わり目を祝う行事です。

三元の日にち

1. 上元じょうげん:2月上旬~3月上旬(旧暦1月15日)

2. 中元ちゅうげん:8月上旬~9月上旬(旧暦7月15日)

3. 下元かげん:11月上旬~12月上旬(旧暦10月15日)

このうちの“中元ちゅうげん”が、現代のお中元へと派生しました。

なお、三元では、ご先祖様にお供えをしたり、庭で火をいて神様をおまつりしたりしていました。

やがて仏教と結びつき、三元節と呼ばれるようになります。

特に中元には、寺院で祖先の霊を供養する行事の盂蘭盆会うらぼんえが盛大に行われるようになりました。

日本にこれらの風習が伝わると、お盆の行事へと変化します。

さらにこの時期、先祖の霊を供養するため、家族間で食べ物などを贈るようになったのです。

江戸時代になると仕事関係者への贈答の習慣が生まれ、定着していきました。

お中元の起源~八月朔日はちがつさくじつ八朔はっさく)から~

また、お中元の起源を“八月朔日はちがつさくじつ八朔はっさく)”とする説もあります。

八朔とは旧暦8月1日のこと。

初穂が実る時期のため、八朔は“たのの節句”とも呼ばれます。

田の実の節句には農民たちの間で、お世話になっている人に初穂を贈る風習がありました。

やがて「田の実」と「頼み」をかけ、公家や武士の間でも贈答の習慣が根付いたとされます。

お中元とお歳暮の違いは?

お中元とよく似たしきたりとして、“お歳暮せいぼ”があります。

お歳暮を贈る理由はお中元と同様、日頃の感謝と季節のあいさつですが、贈る季節が異なります。

お中元は夏、お歳暮は冬
上半期の感謝を伝えるために夏に贈るのがお中元。

下半期もしくは1年の感謝を伝えるために冬、特に年末に贈るのがお歳暮です。

お歳暮は、12月上旬から30日頃までに到着するように贈るのが一般的。

それ以降になるようなら、お歳暮ではなくお年賀ねんがとして贈ります。

もしお中元とお歳暮、どちらかしか贈らないという場合には、お歳暮だけにしましょう。

お中元と暑中見舞い

お中元と同様、夏の贈り物といえば暑中見舞いです。

暑中見舞いというと、あいさつ状(はがき)を送るイメージが強いと思いますが、お中元と同じように品物を贈る場合もあります。

お中元と暑中見舞いの違いは、贈る目的です。

お中元は日頃の感謝を伝えるために贈りますが、暑中見舞いは暑い時期に相手の健康を気遣うために贈ります。

とはいえ、日常生活では厳密に区別されているものではありません。

お中元を暑中見舞いとして贈ることもあるので、詳しくは次の【お中元を贈る時期は?】をご覧ください。

お中元を贈る時期は?

お中元を贈る時期は、地域によって異なります。

以下が目安ですが、心配な方はお住いの地域のしきたりを確認してくださいね。

お中元を贈る時期の目安

● 北海道:7月中旬~8月15日まで
● 関東:7月初旬~7月15日まで
● 北陸1(新潟県・石川県金沢市):7月初旬~7月15日まで
● 北陸2(富山県・石川県能登町):7月中旬~8月15日まで
● 東海・関西・中国・四国:7月中旬~8月15日 まで
● 九州:8月初旬~8月15日まで
● 沖縄:旧暦7月15日頃まで

こうしてみると、沖縄のお中元の時期はちょっと特殊ですね。

というのも、沖縄では現在でも旧暦を基準に行事を執り行います。

そのため新暦に当てはめようとすると、毎年日付けがかわるので、事前にネットで調べておくことをオススメします。

また、現在はお中元を手渡しするのではなく配送するのが一般的(詳しくは【お中元の渡し方 】を参照)です。

上記は配送が集中する時期でもあるので、期間中にお中元が届かない可能性もあります。

近年ではそんな事態を避けるため、6月下旬に贈る方も東京・神奈川を中心として増えています。

お中元を贈る時期を逃したら?

どうしよう、うっかりお中元を贈るの忘れてた…。

そんな時もありますよね。

でも安心してください、お中元を贈る時期を逃してしまっても大丈夫!

お中元としてではなく、暑中見舞い(7月15日過ぎ~立秋まで)や残暑見舞い(立秋以降)の名目で贈る方法もあります。

※立秋:8月8日頃

お中元のマナー

お中元の贈り方にはマナーがあります。

マナー違反をしてしまうと、せっかくの気持ちが伝わらないかもしれません。

お中元の準備に取りかかる前に、しっかり押さえておきましょう!

お中元の金額の相場は?

日頃の感謝を伝えるお中元として、安すぎる物を贈るのはふさわしくありません。

逆に、高すぎる物を贈っても、かえって相手に気を遣わせてしまいます。

両親・親戚・知人・会社の上司などに贈る場合は3千円~5千円、特別にお世話になった人へ贈る場合は5千円~1万円が相場です。

相手との関係性を踏まえ、適切な金額の品物を贈りましょう。

お中元の贈り物は何を贈ればいい?

お中元の贈り物に何を贈るかは、金額と同じくらい大切な問題です。

お中元はお盆のお供え物だったことから、基本的に食べたり飲んだりして“消えるもの”を贈ります。

加えて、贈る相手の事情(家族構成など)を考慮した品物を贈りたいものですね。

お中元の贈り物:喜ばれるものの例
● 商品券(目上の人に対しては除く)・カタログギフト
● ビール・お茶・コーヒー・調味料(醤油・サラダ油など)
● 日用品(洗剤・入浴剤など)
● ハム・ソーセージ・海苔・乾物
● 夏らしいもの(そうめん・100%果汁ジュース・水ようかん等の冷菓など)
● 会社に贈る場合、個別包装のお菓子など

お中元の贈り物:ダメなものの例
● 現金
● 目上の人に対する金券類
● 足元に使用するもの(靴・マットなど)
● 筆記用具
● 刃物・ハンカチ

「踏みつける」を連想させるため、足元に使用するものは、お中元の贈り物としてはNGです。

また、筆記用具は「勉強してください」という勤勉奨励、刃物やハンカチは「縁が切れる」ことを連想させ、贈り物としてはふさわしくないので、気をつけましょう。

お中元ののし・表書きについて

お中元で使うのし
お中元を贈る際は、紅白で蝶結びの水引がついた熨斗のし紙(=のしと水引を印刷した紙)を用意しましょう。

紅白の水引には結び切りタイプもありますが、こちらは繰り返したくないお祝い事(結納・結婚など)に使います。

一方、お中元は何度あってもよいので、結び直せる蝶結びタイプを使うのがマナーです。

結び切りの形

お中元~熨斗のしの書き方

表書きは、熨斗のし紙の中央上段に「御中元」もしくは「お中元」と書きます。

筆もしくは筆ペンで書くのが正式です。

贈る時期を逃した場合(【お中元を贈る時期は? 】を参照)は、「暑中御見舞」や「残暑御見舞」に変えましょう。

贈り主の名前(フルネーム)は、熨斗のし紙の中央下段に書きます。

熨斗のしの書き方、連名はどうする?
なお、連名で送る場合は右側に目上の人、左側に目下の人の名前を書くようにしましょう。

贈り主が複数いる場合は、代表者の名前の脇に「他一同」と記します。

短冊熨斗のし の貼り方

また、略式の熨斗のしである短冊熨斗のしを用いる場合であれば、品物の右上に貼り付けます。

お中元の渡し方

お中元は贈る相手のお宅を訪問して、直接手渡すのが正式なマナーです。

品物は風呂敷(デパートの紙袋でも可)に包んで持参し、渡すときには取り出します。

その際は「いつもお世話になっております」など、日頃の感謝を伝える言葉も忘れずに!

ですが、現在は品物を郵送するのが主流です。

郵送の場合は事前にあいさつ状を贈るか、品物にカードを添えましょう。

お中元のお返しのマナー

お中元は、受け取り方にもマナーがあります。

受け取った後の対応を間違えれば、非常識な人といわれてしまうかもしれません。

贈り主の気持ちをきちんと受け止めるためにも、マナーは知っておきたいですね。

お中元のお返しは必要?

お中元をもらっても、基本的にお返しする必要はありません。

その代わり、受け取ったらすぐに連絡し、後日改めてお礼状を書いて送ります。

近年は電話やメールで済ます方も多いようですが、目上の方には必ずお礼状を書くようにしましょう。

お礼状は到着からなるべく3日以内に書き、1週間以内に届くようにするのが理想的です。

お中元のお礼状の書き方

お礼状は便箋のほか、はがきでも構いません。

数が多くなければ、手書きのお礼状を送るとよいでしょう。

内容は自由ですが、下記のポイントを押さえるとうまくまとまります。

● 季節のあいさつ・相手の体調を気遣う言葉
● お中元が到着した旨
● 感謝の気持ち
● いただいた品物の感想

【文例】お中元のお礼状

拝啓

暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
本日、お心づくしのお中元が届きました。
結構なお品物をいただきまして、誠にありがとうございます。
お酒が好きな夫もとても喜んでおり、よく冷えたビールで晩酌するのが楽しみです。
まだまだ暑い季節が続きますが、体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。

敬具

おわりに

お中元は、心がこもっていれば何でもいいわけではありません。

相手を思いやる気持ちを持ち、それをどのように形にするかも非常に大切です。

これぞ、大人の本気の見せ所ですね!

きちんとしたお中元を贈ったら、受け取った方からの評価も上がるはず。

お中元なんて自分には関係がないと決めつけず、日本の贈答文化を引き継いでいきませんか?