梅雨でじめじめ蒸し暑いとき、夏の暑さが厳しいときなどに「暑気払しょきばらい」という言葉を聞いたことがあると思います。

暑気払いは、夏の暑さに負けないように暑さを打ち払おうとする、日本に古くから存在する年中行事です。

では、具体的に何をするのか、また本来の意味や暑気払いを行う時期について、正しく人に説明できますか?

さらに、同じ時期に“納涼会”という言葉も耳にしますが、暑気払いと納涼会は似ているようで実は異なるものなんです。

今回は、暑気払いでは何をするのか、暑気払いの時期や食べ物、納涼会との違いについてご紹介していきます!


暑気払いとは?

暑気払いとは、上手に冷たい食べ物や飲み物をとるなどして身体を冷やす行動をし、夏の暑さに負けないように体力をつけ、元気を取り戻そうとする夏の年中行事です。

風鈴の音を聞く、打ち水をする、6月の和菓子としても有名な水無月を食べることも暑気払いになります。

気払いの意味・歴史

そもそも“暑気”という言葉には、“夏の暑さ”という意味と、“暑さで病気になる”という意味があります。

暑気払いは、"暑気"を”払う"ために行う風習のことなのです。

その歴史は古く、かつて日本の宮中では、氷を食べたり、甘酒を飲んだりして暑さをしのぐ風習がありました。

江戸時代に入るとその風習は庶民にも広まっていき、薬湯を飲んだり、夏野菜を食卓に取り入れたりして暑さに対抗するようになりました。

ここでの“薬湯”とは、枇杷びわの葉を煎じた“枇杷葉湯びわようとう”や、みりんに焼酎を加えた“柳蔭やなぎかげ本直ほんなおし)”のことを指します。

その他にも、行水ぎょうずい、川遊びなど外から身体を冷やして暑気払いをしていたとも伝えられています。

暑気払いの時期はいつ?

暑気払いは七夕などと違い、日時がはっきり決まった行事ではないのが特徴です。

目安となる時期についても諸説あり定まっていないため、例えば暑くなりはじめた6月上旬、または残暑が厳しい9月半ばをすぎて行っても全く問題はありません。

この時期に“夏の職場を一緒に乗り越えよう“と暑気払いとして飲み会を行う会社もあります。

そうとはいうものの、大体の時期の目安は押さえておきたいですよね。

一般的には、夏至である6月21日頃~処暑の8月23日頃までが暑気払いを行う目安といわれています。

そこで、日本の暦である “二十四節気にじゅうしせっき” 等を交えて暑い時期や暑気払いの行事とされるものをピックアップしたので、参考にしてみてください♪

暦・行事時期内容
夏至(げし)6月21日頃一年で最も日の出から日没までの時間が長い日
夏越の祓(なごしのはらえ)6月30日一年の半分が終わる日で、半年間にたまった罪や穢れを祓うための厄払いと、1年の後半の無病息災を祈る日
小暑(しょうしょ)7月7日頃雨明けが近づき、暑さがどんどん強くなる頃
夏の土用(どよう)7月20日頃~8月7日頃夏の終わりの約18日間を指す
大暑(たいしょ)7月23日頃一年の中で最も暑さの厳しい頃
立秋(りっしゅう)8月8日頃~夏真っ盛りの頃で、秋のはじまりとされる日
処暑(しょしょ)8月23日頃立秋から数えて15日目頃の暑さが和らぐ時期


暑気払いと納涼会の違い

暑気払いと同じ時期に行う行事として「納涼会」があります。

似たような言葉ですが、意味や時期が異なりますので、状況によって使い分けると良いでしょう。

混同しがちな2つの違いを説明しますので、参考にして、上手に使い分けてください!

味の違い

納涼会には、“暑さを逃れ涼しさを味わう”という意味があります。

暑さを「打ち払う」暑気払いとは違い、暑さを「忘れる」のが納涼会です。

そのため、ビジネスの場では「暑気払い」、プライベートでラフな場合には「納涼会」が多く使われています。

期の違い

納涼会は、主に夏の盛りである7月から8月頃に行われます。

はっきりとした日時が定まっていないのは暑気払いと同じなので、暑い時期に夕涼みなどを楽しむのも良いですね。

地域で行う納涼会は、夏祭りとともに開催されることもあります。

暑気払いにオススメの食べ物・飲み物

暑気払いは、夏バテしないように身体の体温を下げるものや栄養のあるものを取り入れるのが効果的です。

おいしいものを食べて体力をつけ、暑さと上手くつき合いましょう。

ここでは、暑気払いにオススメの食べ物・飲み物をご紹介します!

気払いに食べるもの

暑気払いにオススメしたい食べ物は、うなぎ、夏野菜、冷や麦です。

どれも夏になると食べたくなるものばかりですね♪

なぜ、暑気払いにこれらの食べ物を食べるのが良いのかには理由があります。

それを知った上で、生活に上手く取り入れてみてくださいね。

うなぎ

夏の“土用どよううしの日”(7月20日頃~8月7日頃)に食べたい“うなぎ”には、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンDなどが豊富に含まれています。

特にビタミンAに関しては、うなぎ100gで1日の必要摂取量を大きく賄えるほど!

平賀源内が起源とされる“土用の丑の日”はとうを得ていますね。

※当を得る:合理的なこと、道理にかなっていること。

夏野菜

キュウリやトマト、ナス、ズッキーニ等の夏野菜はカリウムを豊富に含み、身体の熱を逃してくれる夏の代表的な食べ物です。

またカリウムにはナトリウムを排出する効果もあり、むくみの予防にもなります。

ナスやキュウリを細かく刻み出汁だしなどで味付けをし、ごはんにかけて食べる“冷や汁”は、暑い夏でも一気に食べられますね♪

冷や麦


6月から7月にかけて収穫される麦から作る冷や麦は、夏の体調管理には欠かせない食べ物です。

身体の熱を下げる効果はもちろん、のどごしが良く、食欲が落ちやすい暑い時期でもスルスルと食べられますよ♪

気払いに飲むもの

暑気払いにふさわしい飲み物といえばビール、こちらは大人の定番ですね。

意外なところでは甘酒ですが、その理由についてもご紹介します。

夏は汗をかくことで水分とミネラル成分が大幅に失われます。

上手に飲んで、しっかり栄養補給してくださいね。

ビール

ビールの主成分の麦には身体を冷やす効果があり、暑い盛りにキンキンに冷やしたビールを飲むのは理にかなっています。

気持ちよく飲んで夏の暑さを吹き飛ばそうというのも、暑気払いに合っていますね。

甘酒

甘酒は冬のイメージがありますが、実は夏の季語。

冷やすとお米のもつ自然の甘さが飲みやすく、水分補給と栄養補給が同時にできるので、暑気払いにうってつけの飲み物です。

甘酒やの老舗・天野屋さんで提供されている“氷甘酒”は、夏にはぜひ口にしたい一品ですよ♪

詳しくは、夏の和菓子を紹介した以下の記事をチェックしてみてください♡

麦茶

健康的な飲み物の代表でもある麦茶は、暑気払いにも最適です。

ミネラルを豊富に含んでいるため、汗をかいて失われた水分や栄養素を補うのに役立ち、脱水症状防止にうってつけ!

ノンカフェインなので、お子様の水分補給にもオススメですね。

会社で行う暑気払い

職場で計画する夏場の飲み会や宴会を「暑気払い」とする会社は多いのではないでしょうか。

暑さで気力や体力が奪われる時期だからこそ、活気づけたいですよね。

どのように計画するのか、また、案内文は?

気になる事柄について調べました。

み会を計画しよう!

はっきりとした時期の定まっていない暑気払いですが、会社で行う場合は違和感のない日程を設定する必要があります。

その場合は、【暑気払いの時期はいつ?】で表にした二十四節気を参考にすると良いでしょう。

場所は定番のビアガーデンや屋形船など、大勢で気兼ねなく盛り上がれるところがオススメです♪

案内文を送ろう!

会社で行う暑気払いの案内文は、失礼のないように

・時節の挨拶
・日時
・場所
・会費
・その他連絡事項

を記載し、相手を困惑させないように気を配ります。

とはいえ、飲み会なので堅苦しくならないように気をつけましょう♪

【例文】暑気払いのご案内文(社内向け)

暑気払いのご案内

拝啓
いよいよ夏本番を迎え、連日うだるような暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、この暑さを乗り越えるべく、今年も暑気払いの会を下記のとおり企画いたしました。
今回は「○○ホテル」のビアガーデンにて開催いたします。
業務にお忙しい毎日をお送りのこととは存じますが、ぜひこの暑気払いの会にて冷たいビールとバラエティー豊かな料理で鋭気を養い、夏の暑さを吹き飛ばしましょう!
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
敬具

-記-

日時:○月○日(金)午後7時より
場所:○○ホテル「星空のビアガーデン」
住所:東京都○○区○○2丁目3−4
電話:03(○○○○)○○○○
会費:○○○○円(当日、受付にてお願いいたします)
申込先:○○課 ○○まで
電話:090(○○○○)○○○○
E-mail:◯◯◯@◯◯.co.jp
※お手数ですが、出欠のご連絡を○月○日(金)までにいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
以上

【例文】暑気払いのご案内文(社外向け)

暑気払いのご案内

拝啓
初夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃は、弊社にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、梅雨明けとともに本格的な夏がやってまいりました。
この暑い夏を乗り越えるべく、弊社では下記のとおり暑気払いを企画いたしましたので、ご案内申し上げます。
お忙しいこととは存じますが、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
敬具

-記-

日時:○月○日(金)午後7時より
場所:○○ホテル「星空のビアガーデン」
住所:東京都○○区○○2丁目3−4
電話:03(○○○○)○○○○
会費:○○○○円 (当日、受付にてお願いいたします)
申込先:(株)◯◯ ○○課 ○○まで
電話:090(○○○○)○○○○
E-mail:◯◯◯@◯◯.co.jp
※お手数ですが、出欠のご連絡を○月○日(金)までにいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
以上

暑気払いにピッタリの贈り物3選

暑気払いの時期は、お中元と重なります。

この機会に「涼」を贈ってみるのはいかがですか?

オススメは

・身体の熱を下げる物
・冷たい飲み物
・滋養強壮のある物

です。

3点ご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【揖保乃糸】冷麦 200g×10包(H-30)

そうめんの代名詞とも言える「揖保乃糸いぼのいと」は、厳選した材料と600年続く伝統の製法で、職人が心を込めて作り上げた名品。

贈って喜ばれること間違いなしです!

ビール ギフト お中元 お歳暮 地ビール独歩 飲み比べ6本セット PDS-6IPM

暑気払いに贈るビールはこだわりたいもの。

こちらの地ビール独歩は岡山の気候と美味しい水にドイツの原材料を用意、ブラウマイスター(醸造技師)の指導の下で製造された、活きた酵母の入ったビールです。

6つの異なる味のビールが飲み比べでき、贈り物としてぴったりです♪

のレンオリジナル 神楽坂甘酒500ml 3種入セット

江戸時代から庶民に親しまれ、夏には滋養強壮に飲まれた甘酒。

約1000種類の甘酒を飲み比べて生まれた米と米麹だけで作られた3種類の甘酒は、大切な方に贈りたい逸品です。

おわりに

年々厳しくなる夏の暑さ。

気力も体力も奪われがちですが、暑気払いを生活に上手に取り入れて、辛い時期に打ち勝ちたいものですね。

ビジネスでよく使われる「暑気払い」ですが、プライベートで行ってももちろん構いません。

栄養価の高い食べ物や体温を下げてくれる飲み物を上手く摂取して、夏の暑さを吹き飛ばしましょう!