伝統工芸品とは、その地域で長年受け継がれてきた技術や匠の技を使って作られた伝統の工芸品のことを指します。
その日本各地にある伝統工芸の中でも、申請して経済産業大臣が指定したものを伝統的工芸品といいます。
この要件はおおよそ100年以上技術や原材料が継承され、主要部分が手作業で行われ、産業として成り立っていることなどがあげられているようです。
その中でも今回は、北陸や東海といった中部地方の新潟県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、富山県、石川県、福井県の伝統的工芸品73品目を紹介します。
本記事の内容は、令和4年(2022年)1月時点のものです。
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経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
新潟県の伝統的工芸品
日本海に面し、東西に広い新潟県。何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた25品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって新潟県の「伝統的工芸品」として指定されている、塩沢紬、本塩沢、小千谷縮、村上木彫堆朱、加茂桐箪笥、長岡仏壇、燕鎚起銅器、十日町絣、越後与板打刃物、羽越しな布など16品目をご紹介します。
山梨県の伝統的工芸品
富士山や八ヶ岳などの山々に囲まれている山梨県は県土の約78%を森林が占めるほど自然豊かな場所です。そんな山梨県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた10品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって山梨県の「伝統的工芸品」として指定されている甲州水晶貴石細工、甲州印伝、甲州手彫印章をご紹介します。
長野県の伝統的工芸品
日本アルプスが連なる自然豊かな山岳地帯の長野県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。この記事では、その中でも経済産業大臣によって長野県の「伝統的工芸品」として指定されている、信州紬、木曽漆器、飯山仏壇、松本家具、内山紙、南木曽ろくろ細工、信州打刃物をご紹介します。
岐阜県の伝統的工芸品
海岸線を持たない内陸県であり、飛騨山脈や木曽三川(木曽川・揖斐川・長良川)などの大自然に囲まれている岐阜県。 そんな岐阜県には、40品目以上の伝統工芸品が存在します。 この記事では、その中でも経済産業大臣によって岐阜県の「伝統的工芸品」として指定されている、飛騨春慶、一位一刀彫、美濃焼、美濃和紙をご紹介します。
静岡県の伝統的工芸品
本州中部の太平洋側に位置し、富士山をはじめとする山、海、湖などバラエティ豊かな自然を持つ静岡県。そんな静岡県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、30品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって静岡県の「伝統的工芸品」として指定されている、駿河竹千筋細工、駿河雛具、駿河雛人形をご紹介します。
愛知県の伝統的工芸品
工業製品の生産が盛んな「ものづくり大国」愛知県。そんな愛知県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、50品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって愛知県の「伝統的工芸品」として指定されている尾張七宝、有松・鳴海絞、常滑焼、赤津焼、名古屋桐箪笥、名古屋友禅、名古屋仏壇など15品目をご紹介します。
富山県の伝統的工芸品
富山県は、美しい山々から流れる綺麗な水に恵まれた自然豊かな県です。そんな富山県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって富山県の「伝統的工芸品」として指定されている、高岡銅器、井波彫刻、高岡漆器、越中和紙、越中福岡の菅笠、庄川挽物木地をご紹介します。
石川県の伝統工芸品
石川県は日本の中部に位置し、カニやノドグロなど日本海の美味しい海鮮が有名で、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた20品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって石川県の「伝統的工芸品」として指定されている加賀友禅、九谷焼、輪島塗、山中漆器、金沢漆器、牛首紬、加賀繍、金沢箔など10品目をご紹介します。
福井県の伝統工芸品
本州のほぼ中央に位置し、1年を通して気候の変化が激しく、寒暖差が大きい福井県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、30品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって福井県の「伝統的工芸品」として指定されている越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、越前焼、越前箪笥をご紹介します。
おわりに
北陸、東海などの中部地方の伝統的工芸品を紹介しました。
どれも長い歴史を持ち、今日まで受け継がれてきたことに驚く方もいるのではないでしょうか。
豪雪地帯の北陸では農業の農閑期である冬に室内で行える副業として工芸品が発達し、雪さらしなど豪雪地帯ならではの技法も生まれました。
また、加賀藩や尾張藩などでは匠を招いて工芸を奨励したため、江戸時代にさまざまな工芸が生まれています。
こうした日本の風土や歴史に根ざし、日本人によって育まれてきた素晴らしい伝統工芸品は日本が誇るべきものです。
匠の技が光る工芸品の魅力に触れてみませんか?
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
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「漆器(しっき)」とは、木や紙の表面に漆を塗り重ねて仕上げる工芸品です。丈夫で耐久性があり、加飾技法も多種多様で、日常の漆器から代表的な建築、仏像、芸術品までさまざまな用途に用いられてきました。この記事では、漆器の歴史や特徴、全国の有名な漆器の種類や技法などをご紹介します。
金工とは金属に細工をする工芸、あるいはその職人のことを指し、金属を加工して作られる工芸品のことを金工品と言います。日本に金属とその加工技術がもたらされたのは、弥生時代初期、紀元前200年頃のこと。中国大陸・朝鮮半島から伝わった金工技術によって剣や銅鐸、装身具などが作られ、材料として青銅や鉄が使われていました。
和紙は古来から日本で作られてきました。和紙の作成技術の起源には諸説ありますが、有力な説は、日本書紀に書かれている西暦610年に朝鮮から仏教の僧によってもたらされたというものです。当時は聖徳太子が活躍していた時代でした。
日本には伝統的なものが数多くあり、染色、染物技術もその一つです。
染色(染物)といえば着物をイメージする人も多いと思います。
着物の種類は染め方によって多種多様で、希少価値の高いものから日常的に着られるものまでさまざまです。
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
部屋の中にひっそりとたたずみ、独特な表情をたたえるこけし。
そのなんともいえない魅力にひかれ、こけしをコレクションする「こけ女(こけし女子)」も増えているといいます。
また、古くからつくられてきた伝統的なこけしだけでなく、モダンで新しい創作こけしや近代こけしも人気を集めています。
「七宝焼(しっぽうやき)」とは、金や銀、銅、鉄などの金属を素地とし、釉薬を塗って750~950℃で焼成し(焼いて性質を変化させ)作る工芸品です。多彩で華やかな七宝焼きの技法は、紀元前からの長い歴史の中で洗練されてきました。この記事では、七宝焼きの歴史や特徴とその魅力、七宝焼きを体験できるオススメの工房をご紹介します。