筑波山や霞ケ浦など、自然豊かな茨城県。

太平洋に面しているため、冬でも雪は少なく、穏やかで暖かな気候に恵まれた暮らやすい県です。

そんな茨城県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、40品目以上の伝統工芸品が存在します。

この記事では、その中でも経済産業大臣によって茨城県の「伝統工芸品」として指定されている結城紬、笠間焼、真壁石燈籠をご紹介します。

伝統的工芸品とは?
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。

要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること

本記事の内容は、令和3年(2021年)12月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。

結城紬

結城紬ゆうきつむぎ」とは、茨城県結城市を中心に、隣接する栃木県小山おやま市と下野しもつけ市などで生産される絹織物です。

結城紬最大の特徴は、真綿まわたから一本一本手で引き出したつむぎ糸で作られること。

つむぎ糸は空気をたくさん含むため、軽く暖かい素材となります。

このつむぎ糸をたて糸とよこ糸の両方に使い、昔ながらの地機じばたで織り上げた結城紬で仕立てられた着物は、軽くて丈夫で、真綿をふわりとまとったかのような着物になります。

結城地方は奈良時代の頃から絹織物が作られており、室町時代にこの地の領主・結城氏にちなんで結城紬と呼ばれるようになり、江戸時代に発展しました。

結城紬は糸つむぎ、絣くくり、機織はたおりの工程を中心に、細かくは30以上の工程があり、それがすべて手仕事で行なわれています。

また、結城紬は、平成22年(2010年)には記録に残る最古の絹織物として、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されました。


※真綿:かいこが生産するまゆを煮て引きのばした綿

品名結城紬
よみゆうきつむぎ
工芸品の種類織物
指定年月日昭和52年(1977年)3月 30日



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笠間焼

笠間焼かさまやき」とは、茨城県笠間市周辺を産地とする陶磁器(焼き物)です。

笠間焼は笠間粘土や、蛙目がいろめ粘土を原料にしており、鉄分の多い蛙目粘土は赤黒く焼きあがるため、釉薬ゆうやく(うわぐすり)の“流し掛け”や“重ね描き”などの装飾でさまざまな味わいを表現しています。

江戸時代中期、笠間の久野半右衛門くのはんうえもんが、滋賀の信楽焼の陶工の教えを受けて窯を開いたのが笠間焼のはじまりとなりました。

その後、笠間藩に保護され、かめ(甕)や、すり鉢などの日用雑貨を作り発展。

現在の笠間焼は、伝統を踏まえつつも自由な作風で個性的な作品が多く作られているのが特徴で、火にかけられる“笠間火器かさまかき”も開発されました。


※釉薬:陶磁器の表面に施すガラス質の液。陶磁器を保護するとともに、色もつけることができる。

品名笠間焼
よみかさまやき
工芸品の種類陶磁器
指定年月日平成4年(1992年)10月8日


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真壁石燈籠

真壁石燈籠まかべいしとうろう」は茨城県桜川さくらがわ市の真壁まかべ地方で作られている石材の加工品です。

花崗岩かこうがんが産出され、日本三大石材産地でもある真壁地方では、鎌倉・室町時代頃から石材業が盛んとなり、石碑や戸外の照明器具である燈籠などが作られてきました。

真壁石燈籠は江戸時代の石匠せきしょう久保田吉兵衛くぼたきちべえによって技法が確立され、仕上げまでに18の伝統的な技術・技法があります。

その特徴は、何といっても美しい原石と繊細な彫刻技術。

真壁石燈籠の原石となる白色度の高い花崗岩は、堅牢けんろうかつきめ細かな美しさがあり、歳月を重ねると風合いが増して、わび・さびを醸し出します。

この原石を工具で手彫りし、宝珠ほうじゅかさなど部分ごとに成形後、繊細な彫刻を施し、ほぞ組みとよばれる技法で積み上げ、風格のある燈籠を作り出していきます。


※日本三大石材産地:質の高い花崗岩がたくさん採れる名産地のこと。茨城県真壁町、愛知県岡崎市、香川県高松市庵治町の3地域を指す。

品名真壁石燈籠
よみまかべいしとうろう
工芸品の種類石工品
指定年月日平成7年(1995年)4月5日