日本には、各土地に古くから受け継がれてきた多くの伝統工芸品が存在します。
その中でも、『伝統的工芸品産業の振興に関する法律』に基づいて経済産業大臣の指定を受けた工芸品を「伝統的工芸品」といい、認定されるためには特定の要件を満たす必要があります。
そして、それぞれの産地では、伝統的工芸品の技術を継承し発展させるべく、さまざまな取り組みが行われています。
全国で230品目以上ある伝統的工芸品。
今回は、日本の歴史の中で長く政治や文化の中心地であった、近畿地方の伝統的工芸品45品目をご紹介します。
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
本記事の内容は、令和4年(2022年)2月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。
三重県の伝統的工芸品
三重県は伊勢海老の産地としても有名で、千葉県と共に漁獲量全国1位を競っています。そんな三重県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、33品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって三重県の「伝統的工芸品」として指定されている、伊賀くみひも、四日市萬古焼、鈴鹿墨、伊賀焼、伊勢形紙をご紹介します。
滋賀県の伝統的工芸品
滋賀県といえば日本一の面積と貯水量を誇る琵琶湖が有名。その大きさは、なんと県全体の6分の1を占めているそう!そんな滋賀県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、40品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって滋賀県の「伝統的工芸品」として指定されている、彦根仏壇、信楽焼、近江上布をご紹介します。
京都府の伝統的工芸品
清水寺をはじめとする歴史ある寺社仏閣、庭園、史跡が点在する京都府では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた80品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって京都府の「伝統的工芸品」として指定されている西陣織、京鹿の子絞、京仏具、京仏壇、京漆器、京友禅、京指物、京焼・清水焼、など17品目をご紹介します。
大阪府の伝統的工芸品
「天下の台所」として古くから商業の栄える大阪では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。今回は経済産業大臣によって大阪府の「伝統的工芸品」として指定されている、大阪欄間、大阪唐木指物、堺打刃物、大阪仏壇、大阪浪華錫器、大阪泉州桐簞笥、大阪金剛簾、浪華本染めをご紹介します。
兵庫県の伝統的工芸品
有馬温泉や城崎温泉、姫路城など、多くの魅力的な観光資源を保有する兵庫県には、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、25品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって兵庫県の「伝統的工芸品」として指定されている、播州そろばん、丹波立杭焼、出石焼、播州毛鉤、豊岡杞柳細工、播州三木打刃物をご紹介します。
奈良県の伝統的工芸品
さまざまな神社仏閣が立ち並ぶ昔懐かしい街並みが特徴で、周りを山に囲まれた海のない内陸県となっている奈良県。そんな奈良県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。中でも経済産業大臣によって奈良県の「伝統的工芸品」として指定されている高山茶筌、奈良筆、奈良墨をご紹介します。
和歌山県の伝統的工芸品
紀伊山脈を中心とした山岳地帯が県の大部分を占め、温暖な気候で樹木の多い和歌山。そんな和歌山県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、10品目の伝統工芸品が存在します。この記事では、その中でも経済産業大臣によって和歌山の「伝統的工芸品」として指定されている、紀州漆器、紀州簞笥、紀州へら竿をご紹介します。
おわりに
数多くの伝統的工芸品が存在する近畿地方には、機能性の面で職人の高い技術力が光るものから、和の趣を楽しめるものまで、世界に誇れる工芸品が豊富です。
また、現代の生活様式に合わせた形で、新しい商品も日々生み出されています。
伝統的工芸品に興味を持ったら、手軽なアイテムから日常生活に取り入れてみませんか?
日本の歴史や文化が、より身近に感じられますよ。
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
指物とは、釘を使わずにホゾや継ぎ手で木材を組み、且つ外側に組み手を見せない細工を施した木工品をいいます。指物と言うよりは和箪笥、和家具と言った方が、想像しやすいかもしれません。
指物と言われる由縁(ゆえん)は、物差しを多用し、木を組んで制作することから来ています。
織物とは、経糸と緯糸を交差させて作る布地のことをいいます。日本の織物は、古くから受け継がれる伝統的な手法によって職人の手で一つずつ丁寧に作り上げられる、非常に奥深い工芸品です。この記事では、織物の種類や歴史など、日本各地の織物についてご紹介します。
日本には多くの種類の織物があります。どの織物も素晴らしい技術を使って織られますが、その中でもこの記事では国によって伝統的工芸品に指定されている38種類の織物を紹介します。材料や織り方、染め方など、地域の特性を生かして織り出される布は、どれも独特な個性があるので比べてみると楽しいかも知れません。
使うほどに手になじみ、美しい光沢が生まれる漆器は、日本が誇る伝統工芸です。時代とともに発展し、今では「Japan」と呼ばれて世界中から日本の工芸として親しまれています。この記事では、日本人の生活や文化とともに発展を遂げてきた漆器とはどのようなものなのか、その歴史や作り方、お手入れの方法などをご紹介しています。
日本には伝統的なものが数多くあり、染色、染物技術もその一つです。
染色(染物)といえば着物をイメージする人も多いと思います。
着物の種類は染め方によって多種多様で、希少価値の高いものから日常的に着られるものまでさまざまです。
扇子は、暑い夏を心地良く過ごそうとした昔の日本人の知恵が凝縮されている、伝統工芸品の一つです。今では日本人の暮らしの中に浸透している扇子ですが、中国から伝わってきたうちわから誕生したことはご存知でしたか?
欄間とは、和室の障子やふすまなどをすえつけるために、上にわたしてある横木の部分である、天井の鴨居、との開口部にはめこまれた建具のことです。主に季節の風を運び、光を通すために設けられました。格子や透かし彫りの板などが用いられることが多く、その美しい装いは和風建築の真骨頂ともいえます。
金工とは金属に細工をする工芸、あるいはその職人のことを指し、金属を加工して作られる工芸品のことを金工品と言います。日本に金属とその加工技術がもたらされたのは、弥生時代初期、紀元前200年頃のこと。中国大陸・朝鮮半島から伝わった金工技術によって剣や銅鐸、装身具などが作られ、材料として青銅や鉄が使われていました。