平成23年(2011年)、世界文化遺産に登録された、中尊寺金色堂を有する岩手県。

岩手県久慈くじ市はNHK連続テレビ小説・あまちゃんの舞台として、大きな注目を集めました。

多種多様な地形の海岸では、新鮮な魚介類が水揚げされます。

そんな岩手県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目近い伝統工芸品が存在します。

この記事では、その中でも経済産業大臣によって「伝統工芸品」として指定されている4品目をご紹介します。

伝統的工芸品とは?
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。

要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること

本記事の内容は、令和4年(2022年)1月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。

南部鉄器

南部鉄器なんぶてっき」は、岩手県の盛岡市と奥州おうしゅう市で作られる鉄器の総称です。

江戸時代初期、現在の岩手県中部~青森県東部を領していた南部藩(盛岡藩)が、京都から釜師を招いて茶の湯釜を作らせたことが起源とされています。

そのため、南部鉄器は鉄ならではの重厚感を活かした、質実剛健しつじつごうけんで素朴な美しさが魅力です。


※質実剛健:飾り気がなくまじめで、強くたくましいこと。

代表的な製品としては鉄瓶てつびんや急須が有名で、近年ではカラフルな色使いやスタイリッシュなデザインのものも作られ、海外でも人気を博しています。

品名南部鉄器
よみなんぶてっき
工芸品の種類金工品
指定年月日昭和50年(1975年)2月17日


南部鉄器についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

岩谷堂箪笥

岩谷堂箪笥いわやどうたんす」は、岩手県奥州おうしゅう江刺えさしや盛岡市で作られる高級和箪笥です。

江戸時代中期に、岩谷堂(現在の岩手県奥州市江刺)の城主の岩城村将いわきむらまさが、木工品の商品化に力を入れたことがはじまりとされています。


主な素材はケヤキやキリで、漆塗りの上に堅牢けんろうな金具が取り付けられており、職人の手によって生み出される伝統美と重厚感が特長です。

近年は、現代の生活様式に合わせ、テレビボードやチェストのような商品も作られています。


※堅牢:物の作りが壊れにくくしっかりと、頑丈にできていること。

品名岩谷堂箪笥
よみいわやどうたんす
工芸品の種類木工品・竹工品
指定年月日昭和57年(1982年)3月5日


こちらの記事では、岩谷堂箪笥の種類や製造工程について紹介しています。

秀衡塗

秀衡塗ひでひらぬり」は、岩手県平泉町周辺で作られる漆器です。

平安時代末期、奥州藤原氏の武将・藤原秀衡ふじわらのひでひら が、京都から招いた職人に器を作らせたのが起源とされています。

光沢を抑えた漆本来の美しい艶と、金箔などで描かれる“源氏雲げんじぐも”や“有職菱文様ゆうそくひしもんよう”といった華やかな装飾が特徴です。


また、最も堅牢であるといわれる、本堅地ほんかたじという技法を用いて下地塗をしており、割れにくいという実用性の高さも魅力の一つです。

品名秀衡塗
よみひでひらぬり
工芸品の種類漆器
指定年月日昭和60年(1985年)5月22日


浄法寺塗

浄法寺塗じょうぼうじぬり」は、岩手県盛岡市や二戸市にのへしなどで作られる漆器です。

名前の由来となっている二戸市浄法寺は、国産漆の一大産地。

良質な漆を用いた、飽きの来ないデザインや質感が魅力です。


浄法寺塗のほとんどが、黒・本朱ほんしゅ溜色ためいろの単色で、光沢を抑えた仕上がりになっています。

発祥は奈良時代の神亀5年(728年)頃といわれており、時代の移り変わりと共に変遷を遂げながら、伝統の技が受け継がれてきました。

品名浄法寺塗
よみじょうぼうじぬり
工芸品の種類漆器
指定年月日昭和60年(1985年)5月22日