出典:(公財)福島県観光物産交流協会 みちのく観光果樹園 (福島市)

東北地方の最南に位置する福島県、実は47都道府県の中で3番目に面積が広い県なんですよ。

映画『フラガール』の舞台となったスパリゾートハワイアンズや、冬のウィンタースポーツを楽しみに多くの観光客が1年を通して訪れます。

また、東京2020夏季オリンピックで福島県を訪れた米国ソフトボールチームのエリクソン監督が、「福島の桃を6個食べた、デリシャスだった!」とコメントしたことで、福島県の名産品である桃が世界中に認知されるようになりました♪

そんな福島県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、30品目以上の伝統工芸品が存在します。

この記事では、その中でも経済産業大臣によって「伝統工芸品」として指定されている5品目をご紹介します。

伝統的工芸品とは?
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること

本記事の内容は、令和4年(2022年)1月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。

会津塗

会津塗あいづぬり」は、福島県会津若松市など会津地方で作られている漆器です。

安土桃山時代に会津の領主となった蒲生氏郷がもううじさとが、近江国おうみのくに(現在の滋賀県)から職人を招き、漆工芸を奨励したことから、産業として発展していきました。

長い歴史の中で多彩な塗りや装飾の技法が生まれましたが、特に松竹梅と破魔矢を組み合わせた縁起の良い模様で松竹梅漆絵とも呼ばれる“会津絵あいづえ”は、会津塗を代表する意匠です。

製品としては、お椀やお盆などの日用品が多く生産されていますが、アクセサリーや照明器具などのインテリアのほか、自動車の外装や内装に会津塗の技法が用いられるなど、時代に合わせた発展を遂げています。

品名会津塗
よみあいづぬり
工芸品の分類漆器
指定年月日昭和50年(1975年) 5月10日


大堀相馬焼

大堀相馬焼おおぼりそうまやき」は、福島県浪江町なみえまちの大堀地区で作られてきた陶器です。

青磁釉の全体に広がったひび割れが地模様となった“青ひび”、保温性や断熱性に優れた二重構造の“二重焼き”、そして相馬藩の御神馬ごしんばという縁起の良い意匠である“走り駒”の絵付けが特徴です。

青磁釉を施した器は、本焼き後に窯から取り出す際、素材との収縮率の違いから器の表面にひびが入る貫入音が響き渡ります。

この大堀相馬焼の貫入音は、「うつくしまの音30景」に選ばれました。

江戸時代、相馬藩が陶器を特産物にするべく、作陶を保護したことから発展していったといわれています。

厚く丈夫な性質は日用品に適しており、現在は湯飲み茶碗やマグカップなどの製品が多く作られています。

平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災により、大堀相馬焼の産地である浪江町は帰宅困難区域に指定されました。

それにより、二本松市や南相馬市といった浪江町以外の県内のほか、県外でも窯元が再建され、その伝統を今に残し続けています。


※うつくしまの音30景:福島県の事業の一つ。「地域において将来にわたり大切に残していきたい音、あるいは日常生活に潤いや安らぎを与えてくれる音」を公募し、その中から30件を選定。

品名大堀相馬焼
よみおおぼりそうまやき
工芸品の分類陶磁器
指定年月日昭和53年(1978年)2月6日


会津本郷焼

会津地方は焼き物の産地としては東北最古であるといわれています。

福島県会津地方で作られる「会津本郷焼あいづほんごうやき」は、焼き物の産地としては珍しいことに陶器と磁器の両方が作られており、その作風は窯元によってさまざまです。

安土桃山時代、会津若松の黒川城主・蒲生氏郷がもううじさとがお城の改修のため、播磨国はりまのくに(現在の兵庫県)から招いた瓦工がこうかわらを焼かせたことがはじまりだと伝えられています。

毎年8月には“会津本郷せと市”が開催され、個性豊かな陶磁器を買い求める人々で賑わいます。


黒川城:福島県会津若松市にある鶴ヶ城つるがじょうの別称。鶴ヶ城は同名の城が存在するため、若松城または会津若松城の呼称が有名。

品名会津本郷焼
よみあいづほんごうやき
工芸品の分類陶磁器
指定年月日平成5年(1993年)7月2日


奥会津編み組細工

奥会津編おくあいづあ組細工くみざいく」は、福島県大沼郡三島町みしままちをはじめとした奥会津地域で作られる木工品です。

雪深い山間地の冬期の手仕事として古くから受け継がれてきたもので、原型は縄文時代にまでさかのぼるといわれています。

この地域で採取されるヒロロ、山ブドウ、マタタビなどの植物を編み込むことで、籠や菓子器、炊事用具などさまざまな製品が生み出されます。

自然素材ならではの素朴な雰囲気と堅牢さが魅力であると同時に、植物の特徴を活かしたものづくりという先人の知恵を感じられる工芸品です。

品名奥会津編み組細工
よみおくあいづあみくみざいく
工芸品の分類木工品・竹工品
指定年月日平成15年(2003年)9月10日


奥会津昭和からむし織

奥会津昭和おくあいづしょうわからむしおり」は、福島県大沼郡昭和村で作られる織物です。

江戸時代に昭和村で栽培されるようになったイラクサ科の多年草“からむし(ちょ青苧あおそとも呼ばれる)”を原料とし、夏の衣類に適したさらりとした感触と、優れた吸湿性・耐久性が特徴です。

こちらも【奥会津編み組細工】同様、寒冷な山間部に暮らす人々の生活を支えてきました。

品名奥会津昭和からむし織
よみおくあいづしょうわからむしおり
工芸品の分類織物
指定年月日平成29年(2017年) 11月30日


また、昭和村で栽培されるからむしは品質が高く、重要無形文化財である「越後上布えちごじょうふ」や「小千谷縮おぢやちぢみ」の原料にもなっています。