四国の北西部に位置する愛媛県は、本州の広島県と陸路の“しまなみ海道”で結ばれた四国の玄関口の一つです。
瀬戸内海と宇和海に面しており、石鎚山をはじめとした山々や四国カルストなどのバラエティ豊かで美しい自然が広がっています。
そして、愛媛県といえば“ミカン”が有名ですよね!
「蛇口をひねるとミカンジュースがでてくる」という都市伝説があるほどですが、実際は松山空港1階ロビーにある『Orange BAR』でのみ、体験することができます♪
また、日本最古の温泉地とされる道後温泉や四国三大祭りの一つである迫力満点の新居浜太鼓祭りなど、見ごたえのある観光地や伝統も多く存在します。
そんな愛媛県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。
この記事では、その中でも経済産業大臣によって愛媛県の「伝統的工芸品」として指定されている、砥部焼、大洲和紙をご紹介します。
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
本記事の内容は、令和4年(2022年)3月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。
砥部焼
「砥部焼」は、主に愛媛県伊予郡砥部町で生産されている磁器です。
江戸時代、伊予国大洲藩の9代目藩主・加藤泰候の命を受けた杉野丈助が、砥石を作る際に出る屑を原料にした磁器を開発し、のちに良質な陶石が発見され、技術の改良が進んだことで砥部焼が確立していきました。
明治時代には大量生産が可能となり、中国や東南アジアにまで販路を広げていきました。
砥部焼は厚みがあり丈夫で、熱い料理を入れても冷めにくいため、日常使いの器として親しまれています。
また、白い磁肌に藍色の絵模様など、その美しさも魅力の一つとされてきました。
現在は、白磁・染付・青磁・天目(鉄釉)の4つの技法で作られる砥部焼が伝統的工芸品に指定されており、いずれも実用性とデザイン性に富み、手仕事ならではの温もりに満ちています。
最近では、砥部焼のアクセサリーブランドも誕生し、器としてだけでない魅力も発信しています。
砥部焼について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください♪
砥部焼とは、江戸時代より愛媛県伊予郡砥部町とその周辺市町で作られている磁器です。「ぽってりとした厚みがあり、白磁に藍色が映える、日常使いの染付の器」という特徴を持つ砥部焼は、生活雑器として長く愛されてきました。今回は、磁器創業240年の歴史を持つ砥部焼の歴史や魅力、特徴についてご紹介したいと思います。
大洲和紙
「大洲和紙」は愛媛県の西予市や喜多郡内子町に伝えられてきた伝統的な和紙です。
伊予では平安時代にすでに紙すきが行われていましたが、江戸時代に宗昌禅定門という越前から招集した僧の指導を受け、現在の大洲和紙が確立され、大洲藩の産業として栄えました。
大洲和紙はコウゾ、ミツマタ、ガンピ、麻など自然の原料を使い、“流し漉き”の技法で丁寧に作られます。
手作りで仕上げた大洲和紙は薄くて丈夫、漉きむらがないのが特徴です。
大洲和紙はさまざまな用途の紙が作られており、筆がにじまず滑りが良い書道半紙は全国の書家に愛用され、障子紙は高級和紙として寺院や高級住宅などで使用されています。
中でも、目の粗い簀と細かい簀で漉いた2枚の厚手の和紙を重ねた“泉貸紙”は、奈良県・東大寺の『お水取り』という行事の際に僧が着用する紙衣用の和紙として選ばれています。
その他の伝統工芸品
工芸品名 | 概要 |
砥部焼 | 読み:とべやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:砥部町、松前町、松山市、東温市 指定:国、県 |
大洲和紙 | 大洲和紙 読み:おおずわし カテゴリ:和紙 主要製造地域:内子町、西予市 指定:国、県 |
水引・水引製品 | 読み:みずひき・みずひきせいひん カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:四国中央市 指定:県 |
伊予手すき和紙 | 読み:いよてすきわし カテゴリ:和紙 主要製造地域:四国中央市 指定:県 |
太鼓台刺繍飾り幕 | 読み:たいこだいししゅうかざりまく カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:四国中央市 指定:県 |
二六焼 | 読み:にろくやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:四国中央市 指定:県 |
伊予簀 | 読み:いよす カテゴリ:工芸用具 主要製造地域:新居浜市 指定:県 |
西条だんじり彫刻 | 読み:さいじょうだんじりちょうこく カテゴリ:木工品 主要製造地域:西条市 指定:県 |
周桑手すき和紙 | 読み:しゅうそうてすきわし カテゴリ:和紙 主要製造地域:西条市 指定:県 |
桜井漆器 | 読み:さくらいしっき カテゴリ:漆器 主要製造地域:今治市 指定:県 |
菊間瓦 | 読み:きくまかわら カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:今治市 指定:県 |
伊予かすり | 読み:いよかすり カテゴリ:織物 主要製造地域:松山市 指定:県 |
伊予竹工芸品 | 読み:いよたけこうげいひん カテゴリ:竹工品 主要製造地域:松山市 指定:県 |
姫だるま | 読み:ひめだるま カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:松山市 指定:県 |
姫てまり | 読み:ひめてまり カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:松山市 指定:県 |
和釘 | 読み:わくぎ カテゴリ:金工品 主要製造地域:松山市 指定:県 |
和ろうそく | 読み:わろうそく カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:内子町 指定:県 |
和傘 | 読み:わがさ カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:内子町 指定:県 |
棕櫚細工 | 読み:しゅろざいく カテゴリ:木工品 主要製造地域:内子町 指定:県 |
桐下駄 | 読み:きりげた カテゴリ:木工品 主要製造地域:内子町 指定:県 |
高張提灯 | 読み:たかはりちょうちん カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:大洲市 指定:県 |
下駄 | 読み:げた カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:大洲市 指定:県 |
筒描染製品 | 読み:つつがきぞめせいひん カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:八幡浜市 指定:県 |
伊予生糸 | 読み:いよきいと カテゴリ:工芸材料 主要製造地域:西予市 指定:県 |
節句鯉幟 | 読み:せっくこいのぼり カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:宇和島市 指定:県 |
宇和島牛鬼張り子 | 読み:うわじまうしおにはりこ カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:宇和島市 指定:県 |
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
和紙は古来から日本で作られてきました。和紙の作成技術の起源には諸説ありますが、有力な説は、日本書紀に書かれている西暦610年に朝鮮から仏教の僧によってもたらされたというものです。当時は聖徳太子が活躍していた時代でした。
ユネスコは、国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational Scientific and Cultural Organization)のことです。本記事では、日本で登録されているユネスコ無形文化遺産を一覧でご紹介します。
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日本各地には、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いて作られる工芸品や美術品がたくさん存在します。日本に数多くある伝統的工芸品のうち、ここでは四国地方に伝わる9品目をご紹介します。