滋賀県といえば、日本一の面積と貯水量を誇る琵琶湖が有名ですね。
その大きさは、なんと県全体の6分の1を占めているそう!
実は、琵琶湖の他にも、世界文化遺産に指定されている比叡山延暦寺や天下の名城・彦根城など、国宝建築も多い注目度の高い県であることをご存知でしたか?
最近では、バラエティ番組・秘密のケンミンショーにて、滋賀県民が愛してやまない“たねやグループ”の和・洋菓子を販売する施設『ラ コリーナ近江八幡』が紹介され、大きな反響を得ました。
そんな滋賀県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、40品目以上の伝統工芸品が存在します。
この記事では、その中でも経済産業大臣によって滋賀県の「伝統的工芸品」として指定されている、彦根仏壇、信楽焼、近江上布をご紹介します。
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
本記事の内容は、令和4年(2022年)2月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。
彦根仏壇
「彦根仏壇」は、滋賀県彦根市を中心に受け継がれている仏壇で、現在は特に大型の金仏壇が多く作られています。
約350年前の江戸時代中期、武具や武器の製作に携わっていた木地の上に漆を塗る塗師や、釘を使わずに木同士を組み合わせて家具や茶道具を作る指物師らの職人が、平和産業※として仏壇製作を始めたことが彦根仏壇の起源だとされています。
※平和産業:直接的に戦争に関わりのない産業。
彦根仏壇の製造には大きく7つの工程があり、それぞれの工程を担当する専門の職人たちを“工部七職”と呼びます。
・木地師
・宮殿師
・彫刻師
・塗師
・蒔絵師
・金箔押師
・錺金具師
工部七職によって制作される彦根仏壇は、高品質で耐久性にも優れた高級仏壇として高く評価されています。
【宮殿師】
【彫刻師】
【塗師】
【蒔絵師】
【金箔押師】
【錺金具師】
信楽焼
「信楽焼」は、滋賀県甲賀市の信楽町周辺で作られる陶器です。
信楽の地では、古琵琶湖層群から焼き物に適した土が採れ、鎌倉時代に常滑焼の技法が伝えられたことで開窯しましたが、一説では奈良時代から焼き物が作られていたともいわれています。
釉薬※を施さずに焼くことで生じるざっくりとした石や砂の質感と、焼成の過程で素地が変化することで自然に生まれる色や模様が特徴です。
※釉薬:素焼きの陶器に艶を出すための薬。塗って焼くことで釉薬が溶け、ガラス質の層になる。
長い歴史の中で、室町時代には茶道具として茶人に評価され、昭和時代には“たぬきの置物”として人気を集めるなど、多様な製品が生み出されてきました。
現在も、生活雑貨からインテリアまでさまざまな製品が作られ、日本を代表する焼き物として全国で広く愛されています。
信楽焼についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください♪
NHKの朝の連続テレビ小説『スカーレット』の舞台である滋賀県甲賀市。
主人公である神山清子を、当時は女人禁制であった陶芸の道に進ませた信楽焼とはどのような焼き物なのでしょうか?
今回はそんな信楽焼についてお話します。
近江上布
「近江上布」は、滋賀県愛知郡周辺で作られている織物です。
“上布”とは上質な麻織物のことで、江戸時代には献上品として幕府に納められていました。
愛知郡が位置する琵琶湖の湖東地域には、麻の栽培に適した湿度の高い環境があり、室町時代から麻織物の産地として知られていました。
近江上布は、水気を良く吸う涼しげで爽やかな肌触りや、上品な絣模様が特徴で、生産に手間がかかることから“幻の上布”とも呼ばれています。
浴衣をはじめ、夏物の着物の生地として使われるほか、現代ではハンカチや掛け布団カバーなどの日用品も作られています。
その他の伝統工芸品
工芸品名 | 概要 |
彦根仏壇 | 読み:ひこねぶつだん カテゴリ:仏壇 主要製造地域:彦根市 指定:国 |
信楽焼 | 読み:しがらきやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:甲賀市 指定:国 |
近江上布 | 読み:おうみじょうふ カテゴリ:織物 主要製造地域:愛荘町 指定:国 |
網織紬 | 読み:あみおりつむぎ カテゴリ:織物 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
楽器糸 | 読み:がっきいと カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
鼻緒 | 読み:はなお カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
特殊生糸 | 読み:とくしゅきいと カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
輪奈ビロード | 読み:わなびろーど カテゴリ:織物 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
提灯 | 読み:ちょうちん カテゴリ:竹工品 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
ろくろ工芸品 | 読み:ろくろこうげいひん カテゴリ:木工品 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
浜仏壇 | 読み:はまぶつだん カテゴリ:仏壇 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
錺金具 | 読み:かざりかなぐ カテゴリ:仏壇 主要製造地域:長浜市 指定:県 |
近江真綿 | 読み:おうみまわた カテゴリ:工芸材料・その他の繊維製品 主要製造地域:米原市 指定:県 |
上丹生木彫 | 読み:かみにゅうもくちょう カテゴリ:木工品 主要製造地域:米原市 指定:県 |
彦根繍 | 読み:ひこねぬい カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:彦根市 指定:県 |
(再興)湖東焼 | 読み:(さいこう)ことうやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:彦根市 指定:県 |
秦荘紬 | 読み:はたしょうつむぎ カテゴリ:織物 主要製造地域:愛荘町 指定:県 |
近江刺繍 | 読み:おうみししゅう カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:愛荘町 指定:県 |
太鼓 | 読み:たいこ カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:愛荘町 指定:県 |
愛知川びん細工手まり | 読み:えちがわびんざいくてまり カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:愛荘町 指定:県 |
手織真田紐 | 読み:ておりさなだひも カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:東近江市 指定:県 |
長村梵鐘 | 読み:おさむらぼんしょう カテゴリ:仏具 主要製造地域:東近江市 指定:県 |
小幡人形 | 読み:おばたにんぎょう カテゴリ:人形 主要製造地域:東近江市 指定:県 |
江州よしすだれ | 読み:ごうしゅうよしすだれ カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:東近江市 指定:県 |
押絵細工 | 読み:おしえざいく カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:近江八幡市 指定:県 |
八幡丸竹工芸品 | 読み:はちまんまるたけこうげいひん カテゴリ:竹工品 主要製造地域:近江八幡市 指定:県 |
木珠(高級木製数珠玉) | 読み:もくじゅ(こうきゅうもくせいじゅずだま) カテゴリ:木工品 主要製造地域:近江八幡市 指定:県 |
木製桶樽 | 読み:もくせいおけたる カテゴリ:木工品 主要製造地域:竜王町 指定:県 |
神輿 | 読み:みこし カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:野洲市 指定:県 |
正藍染 | 読み:しょうあいぞめ カテゴリ:染色品 主要製造地域:湖南市 指定:県 |
近江下田焼 | 読み:おうみしもだやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:湖南市 指定:県 |
草木染手組組紐 | 読み:くさきぞめてぐみくみひも カテゴリ:その他の繊維製品 主要製造地域:大津市 指定:県 |
膳所焼 | 読み:ぜぜやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:大津市 指定:県 |
近江雁皮紙 | 読み:おうみがんぴし カテゴリ:和紙 主要製造地域:大津市 指定:県 |
大津絵 | 読み:おおつえ カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:大津市 指定:県 |
いぶし鬼瓦 | 読み:いぶしおにがわら カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:大津市 指定:県 |
綴錦 | 読み:つづれにしき カテゴリ:織物 主要製造地域:守山市 指定:県 |
高島扇骨 | 読み:たかしませんこつ カテゴリ:竹工品 主要製造地域:高島市 指定:県 |
雲平筆 | 読み:うんぺいふで カテゴリ:文具 主要製造地域:高島市 指定:県 |
和ろうそく | 読み:わろうそく カテゴリ:その他の工芸品 主要製造地域:高島市、長浜市 指定:県 |
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。
指物とは、釘を使わずにホゾや継ぎ手で木材を組み、且つ外側に組み手を見せない細工を施した木工品をいいます。指物と言うよりは和箪笥、和家具と言った方が、想像しやすいかもしれません。
指物と言われる由縁(ゆえん)は、物差しを多用し、木を組んで制作することから来ています。
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
2019年後期の連続テレビ小説スカーレット。主人公の神山清子(戸田恵梨香)が作る信楽焼は、土中の鉄分と釉が焼成することにより緋色へと発色し、牧の灰に埋まる部分が黒色になることが特徴の味わい深い焼き物です
信楽焼は、滋賀県滋賀県甲賀市信楽町周辺で作られている陶磁器です。その肉厚で素朴な土の風合いは、自然の豊かさをそのまま表しているとも言われています。火色や灰、そして焼き数ある釉薬が生み出す様々な色合いが素朴さに個性を与え、飽きのこない信楽焼のマグカップ。ぜひ、お気に入りの1点を探してみてください。
信楽焼とは日本の伝統工芸品で1200年以上の伝統を誇り、滋賀県甲賀市信楽町を中心に作られてきた陶器で、日本六古窯の一つでもあります。信楽焼で作られる花瓶は信楽焼の特徴でもある自然な土の色合いが、生ける花をより一層引き立ててくれる魅力があります。今回は、生ける花をより美しく見せてくれる信楽焼の花瓶をご紹介していきます!
織物とは、経糸と緯糸を交差させて作る布地のことをいいます。日本の織物は、古くから受け継がれる伝統的な手法によって職人の手で一つずつ丁寧に作り上げられる、非常に奥深い工芸品です。この記事では、織物の種類や歴史など、日本各地の織物についてご紹介します。
日本には多くの種類の織物があります。どの織物も素晴らしい技術を使って織られますが、その中でもこの記事では国によって伝統的工芸品に指定されている38種類の織物を紹介します。材料や織り方、染め方など、地域の特性を生かして織り出される布は、どれも独特な個性があるので比べてみると楽しいかも知れません。