日本最大級の砂丘があることでも有名な鳥取県は、北に日本海、南に中国地方の最高峰・大山を有し、自然に恵まれた県です。
春から秋にかけて温暖な気候が続き、お米や“二十世紀なし”をはじめとした果実を育むなど日本屈指の農業県でもあります。
また、11月上旬~3月にかけて水揚げされる“松葉ガニ”は、身がぎっしりと詰まっており、噛みしめるたびに上品な旨味が口の中に広がることから、この時期に松葉ガニツアーが組まれるほどの人気です!
そんな鳥取県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、40品目以上の伝統工芸品が存在します。
この記事では、その中でも経済産業大臣によって鳥取県の「伝統的工芸品」として指定されている、因州和紙、弓浜絣、出雲石燈ろうをご紹介します。
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
本記事の内容は、令和3年(2021年)12月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。
因州和紙
「因州和紙」は、かつて因幡国と呼ばれていた鳥取県で1300年以上も前から作られている和紙です。
起源ははっきりしないものの、奈良時代の正倉院文章に因幡の国印を押した紙があることや、平安時代に編纂された『延喜式』という法典に因幡の国から朝廷へ和紙を献上した記録があることから、この頃には製造されていたことがわかります。
因州和紙は筆の滑りが良く、筆につけた墨がなかなかかすれないのが特徴で、“(因州)筆きれず紙”という言葉まであるほど。
今でも書道や絵手紙、ちぎり絵用として広く愛用されています。
因州和紙は、和紙としては全国ではじめて伝統的工芸品に認定されました。
さらに、「因州和紙の紙すき」は平成8年(1996年)に当時の環境庁(現在の環境省)により、『残したい“日本の音風景100選”』に選ばれています。
弓浜絣
「弓浜絣」は、藍色の地に白い模様を織り上げる織物です。
江戸時代中期以降、鳥取県北西部にある弓ヶ浜の砂地で綿が生産されるようになりました。
伯州綿と呼ばれる弾力性にも優れた良質な綿を用いて、周辺農家の女性たちの手により作られるようになった綿織物が、弓浜絣の起こりとされています。
素朴でざっくりとした風合いの弓浜絣ですが、製作工程でポイントとなるのが紡いだ糸を染める前に白く残す部分を作る“括り”という作業。
この括りを作ることで藍色の地に白い模様ができるのですが、“括りさえしっかりしていれば目をつむっていても絣が織れる”といわれるほど重要な工程なのです。
さらに、さまざまな模様を織り出す“絵絣”という技法も特徴的です。
模様には動植物や生活道具が選ばれ、中でも松竹梅や鶴亀など縁起の良いものが題材にされることが多く、弓浜絣は“山陰の三絵絣※の一つにも数えられています。
※山陰の三絵絣:山陰地方の代表的な絣織物の総称で、倉吉絣(鳥取県倉吉市)、広瀬絣(島根県安来市広瀬町)、弓浜絣(鳥取県弓ヶ浜地方)の三つの絵絣が該当する。
出雲石燈ろう
「出雲石燈ろう」は、昭和51年(1976年)に石工品の中で最も早く伝統的工芸品に指定された、島根県を代表する特産品です。
その昔、出雲国といわれていた島根県東部の出雲市および松江市や鳥取県北西部の境港市で古くから作られてきました。
古墳時代から石棺などに用いられてきた島根県松江市宍道町来待周辺で採ることができる “来待石”を原料としており、製作のはじまりは奈良時代ともいわれていますが、盛んになったのは江戸時代とされています。
吸水性の高い来待石を用いた出雲石燈ろうは、雨を含みやすいため苔むすのが早く、色合いも数ヶ月ほどで趣ある黄みをおび、自然とよく調和するのが最大の魅力でしょう。
出雲石燈ろうの気品ある優雅な佇まいに、茶人・千利休も魅了されたのだとか。
また、出雲石燈ろうには熱や寒さにも強いという特徴があり、江戸時代初期に作られた作品が現存するなど耐久性にも優れています。
明治以降も造園・室内外のインテリアで活躍する出雲石燈ろうは、石の“美術品”として国内だけでなく海外からも高く評価されている工芸品です。
※来待石:1,400万年前の火山灰が固まって形成された砂岩で、加工しやすく、古来より石段や彫像、庭園石材や竈など多岐に渡り利用されてきた。
江戸時代には松江藩主が“御止石”と名付け、藩の許可を得られなければ藩外への持ち出しを禁止されていたこともあり、良質な石材としても知られている。
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和紙は材料の選定、準備、そして工程に至るまで、一つひとつに職人の技術が込められています。