手足のない丸い体と、ヒゲをたくわえた凛々しい表情が特徴の「だるま」。

年の瀬から新年にかけて買い求め、厄除けのために飾るのが一般的です。

また、だるまは大願成就の縁起物としても親しまれ、願掛けしながら片方の目を入れ、願いが叶ったらもう一つの目を入れることでも知られています。

この記事では、意外と知らないだるまの歴史や種類、飾り方から供養の仕方についてご紹介します。

だるまとは?

だるまの歴史

だるまは、張り子でできた伝統工芸品です。

およそ1400年前に中国で作られた「不倒翁ふとうおう」という重りの入った張り子人形が、だるまのルーツといわれています。

不倒翁は室町時代に日本に伝わり、「おきあがりこぼし」の名で親しまれました。

※張り子:竹や木、粘土などで作った型に紙などを張り付けたもの。

だるまに手足がないのは何故?モデルは達磨大師

江戸時代、おきあがりこぼしに禅宗の開祖・達磨大師だるまたいしの顔を描いたのが、だるまのはじまりです。

達磨大師は南インド出身の高僧で、言い伝えでは150歳で没するまでインドや中国で仏教の教えを広めました。

だるまといえば全体が丸く、手足のない姿が特徴ですが、これは達磨大師が岩壁に向かって9年間も座禅を続け、ついに手足が腐ってなくなってしまったという伝説からその姿を模したものなのです。

だるまは縁起物~七転び八起き~

達磨大師の不屈の精神と、何度転んでも起き上がるおきあがりこぼし、そして「七転び八起き」ということわざが結び付き、いつしかだるまは願いを叶えてくれる縁起物として、人々の暮らしに定着していきました。

だるまの目入れ

一部の地域を除き、だるまは目を入れない状態で売られています。

これはだるまを買った人が、願い事をしながら自分で目を入れるためです。

「願掛け」の“がん”と、目の“がん”を掛けているともいわれます。

江戸時代に、視力が低下してしまう「疱瘡ほうそう」という伝染病が流行し、人々は黒々とした大きな目のだるまを求めました。

そのうちに「自分で目を入れたい」というお客さんが増え、目を入れないだるまが売られるようになったというのが、目入れの風習のはじまりとされます。

だるまの目の入れ方

だるまの目は筆と墨を使い、願いを込めながら描き入れます。

黒の油性マジックなどを使ってもかまいません。

だるまの目、右と左どっちに入れる?

だるまの目は左目(向かって右側)から入れるのが一般的ですが、地域や叶えたい願いによって異なる場合があります。

主なだるまの目入れについてまとめたので、参考にしてみてください。

名称目入れの順番
高崎だるま(群馬県)願いを込めて左目(向かって右)から入れ、願いが叶ったら右目を入れる。
相州だるま(神奈川県)
越谷だるま(埼玉県)
白河だるま(福島県)合格祈願・就職祈願・病気平癒は右目から入れ、願いが叶ったら左目に入れる。
商売繫盛・家内安全などは最初から両目を入れる。
土肥だるま(静岡県)

ちなみに、選挙当選時のだるまは土肥だるまと同じように、右目(向かって左)から左目に入れるようですよ♪

このように、地域でもだいぶ目入れの方法が異なるのですね。

心配な方は、お店の店員さんに聞いてみましょう♪

だるまの目入れはいつ?

だるまを購入したら、願い事をすると同時に片目を入れます。

目入れを行う日は、大安・友引・先勝など、日柄の良い日を選びましょう。

もう片方の目は願いが叶ったときか、叶わなかったら購入した年の瀬に入れます。

だるまの飾り方や方角は?

だるまを飾る場所に特別な決まりはありません!

できれば、神棚や玄関に白い紙を敷いて飾ってください。

ゴミ箱やトイレの近くなど、「不浄」といわれる場所は避けたほうがいいですが、目立つ場所に置いた方がいつでも目入れをした時の気持ちが思い出せるはずです♪

また、だるまの顔は南か東に向け、明るく活気ある場所に飾るのが良いとされます。

だるまにはホコリがたまらないよう心がけましょうね。

だるまの色とその意味

だるまの色には、赤色の他に桃色、緑色などがあり、それぞれ意味が異なるようです。

それぞれの色のだるまには、一体どのような意味があるのでしょうか?

だるまが赤い理由は?

だるまが赤いのは、だるまのモデルになった達磨大師が赤い着物を着ていたことに由来しています。

また古くから赤は特別な色で、厄除け・魔除けに用いられてきました。

江戸時代に「疱瘡ほうそう」という伝染病が流行した際、赤いだるまで病原の疫病神を退治しようとしたという説もあります。

カラーだるま、それぞれの意味は?

昭和になると、今までの赤いだるまの他に、「カラーだるま」と呼ばれるカラフルなだるまが作られるようになりました。

主な色とその意味をご紹介します。

赤色のだるまの意味
厄除けや魔除けの他、家内安全、無病息災のほか、必勝祈願などにも用いられます。

桃色のだるまの意味
桃色(ピンク)は、愛情を表す色です。
恋愛成就、結婚祈願にオススメ♡

緑色のだるまの意味
緑色は、健康や安らぎ、生命を表す色です。
病気平癒や一年の健康を祈願します。

金色のだるまの意味
金色は、財宝を表す色です。
商売の成功祈願や、優勝祈願などに求められます。 

白色のだるまの意味
汚れのない白色のだるま。
真っ白な状態から目標に向かって染めていくということから、受験合格や目標達成の祈願に使われます。

黒色のだるまの意味
「黒字を招く」ともいわれ、商売繁盛や事業繁栄にオススメです!

その他、青色のだるま(学業・才能向上)や黄色のだるま(金運アップ)、紫色のだるま(健康長寿)など、いろいろな意味を持つカラーだるまが出ています。

売り場によって意味が異なる場合もあるので、購入時にチェックしてみると良いですね♡

だるまの供養について

願いが叶っても叶わなくても、だるまは新年または年度の一年を一区切りとして供養し、新しいだるまに買いかえます。

だるまの供養はいつするの?

お役目を終えただるまはゴミとして捨てず、お寺や神社で「おき上げ」という供養をします。

時期は地域によって異なりますが、新年の恒例行事として1月に行うところが多いようです。

だるまを供養してくれる場所

だるまは、購入したお寺や神社に返して供養してもらうのが原則です。

だるま作りが盛んな地域では年中行事として「どんと焼き」というお焚き上げを行っていて、そこで供養することもできます。

多彩なだるまの種類

ひと口にだるまといっても、地域によって顔のつくりや色、絵柄はさまざまです。

いくつか代表的なものをご紹介します。

高崎だるま(群馬県高崎市)

だるまというと、この「高崎だるま」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

「高崎だるま」は、別名“福だるま”、“縁起だるま”とも呼ばれます。

200年以上前、高崎の“少林山達磨寺だるまじ”というお寺で、繭の形に似せた張り子の“縁起だるま”が誕生しました。

現在も「高崎だるま」は日本一の生産量を誇っています。

眉が鶴、ひげが亀を表し、お腹に大きく「福」の文字が入ります。

姫だるま(愛媛県松山市)

珍しい女性のだるま「道後の姫だるま」です。

日本初の女帝・神功皇后が松山市の道後温泉に立ち寄り、そこで懐妊したことを祝って作られたといわれ、愛媛県松山市の伝統工芸品とされています。

姫だるまは他に、大分県竹田市でも有名ですよ♪

白河だるま(福島県白河市)

陸奥国白河藩3代藩主・松平定信が城下町の繁栄と人々の幸せを願い、旧正月14日の「市神祭いちがみさい」でだるまを売らせたのがはじまりとされます。

現在は2月11日に白河だるま市として、市内目抜き通りに多くの露店が立ち並びます。

白河だるまは顔の中に縁起物の「鶴亀松竹梅」が描かれます。

松川だるま(宮城県仙台市)

松川だるまは伊達藩の藩士・松川豊之が天保年間に作ったとされています

鮮やかな群青色と立派な眉が目を引くだるまで、宝船や梅の枝、米俵など、多くの縁起物を模した豪華な装飾が特徴です。

最初から両目を入れた状態で販売されています。

干支だるま

歳神様を迎えるための正月飾りとして、その年の干支を模した人形を飾る風習がありますが、いつしかこれがだるまと融合し、縁起物として人気を博すようになりました。

全国のだるま市

だるまは各地で開かれるだるま市で買うことができます。

代表的なものとして、日本三大だるま市をご紹介しましょう。

日本三大だるま市

①深大寺だるま市(東京都調布市)
東京都調布市にある深大寺(東京都調布市)で毎年3月に開かれるだるま市です。

②高崎だるま市(群馬県高崎市)
だるまの一大産地・群馬県高崎市で開催されるのが、「高崎だるま市」です。
「日本一早いだるま市」として、1月1・2日に高崎駅前大通りで開かれます。

③毘沙門天大祭だるま市(静岡県富士市)
静岡県富士市の「毘沙門天大祭だるま市」も、日本最大級のだるま市です。
各地のだるまが集結するだるま市なので、機会があればぜひ足を運んでみたいですね♪

おわりに 現代のだるま事情

だるまの歴史を紐解くと、だるまは庶民の心の拠り所として、長きにわたり愛されてきたことがわかります。

時代の流れを受け、後継者不足や購入者の減少に悩まされている地域もありますが、その一方で「ブライダルだるま」や「デザイナーズだるま」など、暮らしやインテリアにマッチするだるまも登場し、新たな購入者を増やしています。

多くのだるまが手作りなので、よく見ると表情が少しずつ異なります。

ぜひお気に入りのだるまを探し、願いをかけてみてください。