こんにちは!
ワゴコロ編集部の西です♪
令和6年(2024年)6月に開催された、伝統工芸品を楽しむことができるイベント「Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSION-想像を超える、伝統工芸の世界へ。-」。
東京都の伝統工芸品の魅力を発信するべく、製作体験や実演、展示販売など、さまざまなコンテンツが用意されています。
昨年に続き第3弾となる今回は、プログラムもさらにグレードアップ!
今回は、イベント当日の会場の様子や、実際に体験した内容をお届けします♪
年2回、東京都が主催する伝統工芸品を楽しむことができるイベントの開催が今年も決定!「Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSION ―想像を超える、伝統工芸の世界へ。―」と題して、令和6年(2024年)6月15日(土)~6月19日(水)の5日間行われます。開催情報をご紹介します!
Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSIONとは?
「Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSION-想像を超える、伝統工芸の世界へ。-」は、東京都が主催する伝統工芸品のイベントです。
東京駅前の商業施設「KITTE」アトリウムにて、令和6年(2024年)6月15日(土)~6月19日(水)の5日間にわたり開催されました。
イベント会場は、それぞれコンテンツごとにエリアが分かれています。
今回は例年用意されている「展示・物販エリア」、「製作実演エリア」、「製作体験エリア」のほか、能登半島地震を支援する「被災地応援フェアエリア」も設置!
東京都のみならず、北陸地方の工房も多数参加していました。
イベントにお邪魔してみた!
では、本イベントでは具体的にどんなことができるのでしょうか?
ここからは、私が実際にイベントに足を運び体験した内容を、エリアごとにご紹介します!
製 作体験エリア
このエリアでは、日替わりで登場するさまざまな伝統工芸品の製作体験にチャレンジすることができます!
今回は、従来の1階エリアに加え、土日限定で地下1階にも専用エリアを拡大!
私が訪れた土曜日には、“江戸手描提灯”、“東京洋傘”、“多摩織”などの体験のほか、新潟県の“加茂屏風”、富山県の“高岡銅器”など、全7種類もの製作体験が行われていました。
私は、その中から高岡銅器の“錫製ぐいのみ製作体験”に参加しました♪
高岡銅器とは、富山県高岡市周辺で400年前から作られ続けている金工品の総称で、国の伝統的工芸品にも指定されています。
鍋や釜などの日用品のほか、灯篭や仏具などにもその技法が用いられています。
今回作るぐいのみは、その場で溶かした錫を型に流し入れる、本格的な製作体験ができるとのこと!
ドキドキしながら会場へ向かいました♪
エプロンを付けたら、準備完了!
いよいよ体験のスタートです。
この体験では、“生型鋳造法“と呼ばれる技法でぐいのみを作っていきます。
金属枠に製品と同じ形の型を入れ、砂を入れて押し固めて原型を取り出すことで、砂の鋳型ができる、というもの。
使う道具は、金属枠とぐいのみの原型となるプラスチックのカップ、型の素となる砂、文字入れ用のシールなどです。
まずは、プラスチックのカップに、ぐいのみの内面に刻みたい、好きな文字シールを貼り付けていきます。
私は、「WAGOKORO」の文字を入れてみました♪
シールが貼れたら、プラスチックのカップを金属枠の真ん中に置き、カップに沿わせて金属のパーツを置いていきます。
この時点では、なんのための作業なのかわかりませんね……。
そして上から薄―く粉をふりかけていきます。
次に、ふるいを使って、砂を砕きながらかけていきます。
枠の上部まで砂で埋まったら、上から手のひらで中心をギュッと押さえて砂を固めます。
中心を固めたら、枠の周りから中心にむかって2周ほど表面を押し、全体を固めていきます。
この砂には少量の油が入っているそうで、すっと固まり、ほろほろと崩れる、不思議な感触でした♪
今度は、更にしっかり固めるため、棒を使って表面を叩いていきます。
金属枠の上部まで満杯になるよう、上からもう一度砂をかけ、同じように手と棒を使って固めたら、ここでさらに、専用の器具を使って上から砂を押さえます。
入念に、入念に……。
しっかりと砂を押し込んだら、固めの工程はOK!
次に、枠からはみ出した砂を、金属パイプを使って削り、キレイにならします。
こういう作業って性格が出ますよね(笑)
私は丁寧に、そして入念にならしました。
ここで、先生が登場!
慣れた手つきでサッと枠を上下にひっくり返してくれました。
キレイに収まったカップが、なんだか見ていて気持ちいいですね!
ひっくり返した枠に、用意されていたもう一つの金属枠をはめ、砂に埋まっている金属パーツの小さい穴に合わせて、塩ビパイプを置いていきます。
塩ビパイプがずれないようにもう一度上から砂をかけ、先ほどと同じように表面を押し固め余分な砂を落としたら、塩ビパイプをそっと抜き取ります。
ここまで出来たら、上の金属枠を外し、裏返しにして横に置きます。
キレイに形が取れていますね……感動!
そうしたら、埋まっている金属パーツの小さな穴にキリを差し込み、そっと器具を取り除きます。
これがどう型になるのか……と思っていたら、再度先生の登場です。
金具跡の部分とカップ部分を繋げるように少し削り、通り道を作ります。
なるほど、これが溶かした錫の通り道になるわけですね!
プラスチックのカップをそっと砂から外して上の枠を元に戻し、しっかりと固定したら、型の完成!!
いよいよ、溶かした錫を流し込みます。
金属の中でも錫の溶解度は低く、加工がしやすいのだそうです。
とはいえ、錫の融点は231.9℃なので、素人が扱うにはかなり危険!
少し離れたところから先生が流し込む姿を見学していました。
塩ビパイプで作った穴から錫を流し込んだら、錫が固まるまで3分ほど待機。
時間が経ったら、いよいよできたものを取り出す作業です!
枠を外し、砂を崩していきます。
すると、中からこんなものが!!
しっかりと「WAGOKORO」の文字も浮き出ていますね!
金属枠の周りに落ちた砂を片付けている間に、先生が錫の通り道部分を切り外してくれました。
そして、最後に仕上げの工程です。
やすり棒を使って、側面の凸凹を削り取っていきます。
錫は金属なのに柔らかいという性質をもっているので、手で加工を施すことができるのですが……これがなかなか腕の疲れる作業!
柔らかいとはいえ、さすが金属。
汗をたくさんかいてしまいました(笑)
大きな凹凸が取れたら、紙やすりとスポンジを使って、表面を磨いていきます。
やすりをかけると、光り方が全然違いますね!!!
内側を金だわしで納得いくまで磨けたら……ぐいのみの完成です!!
最後は、素敵な箱に入れていただきました。
世界に一つだけの、とっても素敵なぐいのみができました♪
錫を流し込む作業はもちろん、流し込む前の型を丁寧に作る、という工程の重要さと、道具を駆使しながら型を作る日本人の知恵を感じた、楽しい体験でした。
早速、帰宅した後は、こちらのぐいのみで日本酒をいただきました。
自分でつくったぐいのみで飲むお酒は、格別でしたよ♡
製作体験は、材料がなくなり次第終了で、混雑状況により体験枠が埋まってしまうこともあるため、気になる工芸品があれば早めのお申し込みがオススメ!
今回から、Webでの予約も可能になったので、サイトから事前予約しておくと安心です。
※伝統工芸品によって対象年齢や参加料(1,000円~3,300円)、体験時間が異なりますので、詳細は公式サイトまたは現地にてご確認ください。
※体験によっては衣服が汚れる場合があります。
展 示・物品販売エリア
体験が終わったら、東京都の伝統工芸品を展示・販売するエリアを見てみましょう!
ここでは、職人の技術を駆使したバラエティに富んだ工芸品が展示されていて、実際に気に入ったものをその場で購入することができます。
東京都の工芸品の数々が集結しており、ものによっては工房の方が商品を案内してくれることもあるので、直接魅力を伺える貴重な機会となっています♪
さらに今回は、北陸地方の工房もイベントに参加していました。
地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市で、輪島塗のアクセサリーを製作・販売している“ヌシヤ”の代表・浦出さんは、今回の地震で工房が倒壊。
現在は、倒壊した建物の中から材料を拾い集め、なんとか製作活動を行っているとのことでした。
まだまだ復興には時間がかかる状況ですが、そんな中でも、こうして商品を見て購入することで、着実に復興への道が繋がっていきます。
思いもよらぬ災害があっても、復興に向け、前を向いて活動を続けられている職人の方々の作った作品の数々から、感動をいただきました。
実 演エリア
こちらのエリアでは、伝統を守り続ける職人の精鋭たちが、工芸品の製作を実演します。
この日は、東京洋傘と東京手植ブラシを製作している職人さんが実演をしていました。
職人さんから直接話を聞きながら技法を間近で見ることができる機会はめったにないため、必見のエリアとなっています!
こちらも製作体験エリアと同様に、イベント中は日替わりでさまざまな職人さんが登場します♪
職 人トークショーエリア
会場の端では、伝統を担う職人によるトークショーも開催。
私が訪れた時は、江戸切子を製作・販売されているGLASS-LAB株式会社の代表取締役・椎名隆行さんがお話をしていました。
GLASS-LAB株式会社は、平面研磨をする江戸切子の技法「平切子」と、砂を使ってガラスへ彫刻を施す「サンドブラスト」の技法を使い、まったく新しい江戸切子「砂切子」を開発したことで有名な工房です。
GLASS-LABの砂切子は、グラスに飲み物を注ぐと、底の模様がグラス側面のカットに反射して浮かび上がるように見えるデザインが特徴です。
桜や紅葉、富士山など日本の四季や風景の模様が施された色とりどりの江戸切子が、食卓を華やかに彩ってくれます。
トークショーでは、実際にグラス水を注いで模様の広がりを披露したり、椎名さんの工芸品に対する想いをお話されていました。
またトークショーの最後には、最後まで聞いた人が参加できる、じゃんけん大会も実施。
じゃんけんに勝った人は、GLASS-LABの江戸切子をもらえるという、なんとも贅沢なイベントでした♡
ワゴコロの公式Instagramに当日の様子を載せていますので、こちらもぜひご覧ください♪
おわりに
今回は、「Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSION-想像を超える、伝統工芸の世界へ。-」の様子をお届けしました。
今回の訪問でも、さまざまな職人の方からお話を伺い、伝統工芸品の魅力をさらに感じることができました。
中でも、トークショーで椎名さんがおっしゃっていた、「飾るのではなく、使ってほしい」という言葉が、心に残りました。
日本の工芸品は、飾るだけでなく“実際に使える”工芸品であることが魅力の一つです。
こういったイベントに足を運び、その目で、手で工芸品に触れたら、きっと皆さんもご自身の生活に工芸品を取り入れたくなることでしょう♪
次回のイベントは11月1日(金)~5日(火)に開催予定なので、皆さんもこの機会に、ぜひチェックしてみてくださいね!
開催情報
イベント名 | Traditional crafts of Tokyo WONDER SESSION -想像を超える、伝統工芸の世界へ。- |
日程 | 令和6年(2024年)6月15日(土)~6月19日(水) |
会場 | KITTE アトリウム 1階 東京都千代田区丸の内2丁目7-2 |
主催 | 東京都 |
会 場(KITTE アトリウム)アクセス
JRからのアクセス
・「東京駅」徒歩約1分
・「京葉線東京駅」徒歩約3分
・「有楽町駅」徒歩約6分
東京メトロからのアクセス
・丸の内線「東京駅」地下道より直結
・千代田線「二重橋前<丸の内>駅」徒歩約2分
・有楽町線「有楽町駅」徒歩約6分
都営地下鉄からのアクセス
三田線「大手町線」徒歩約4分
アクセスマップ
今回は、2023年11月に開催されていた、伝統工芸品を楽しむことができるイベント「Traditional crafts of Tokyo SESSION WEEK 芸術の秋~東京の伝統工芸品を楽しむ6日間~」に行ってきました♪会場の様子や、新しくできたコンテンツも詳しくご紹介します!