ブランド米・ひとめぼれや仙台牛、142の漁港から水揚げされる海産物など、豊かな自然の恩恵をうけた産業が盛んに行われている宮城県。
「独眼竜」の異名を持つ戦国武将・伊達政宗ゆかりの地としても有名ですよね。
正宗公の時代から続く仙台七夕まつりには、毎年200万人以上の観光客が足を運び、仙台市内に飾り付けられた色とりどりの七夕飾りを楽しみます。
そんな宮城県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、15品目以上の伝統工芸品が存在します。
この記事では、経済産業大臣によって宮城県の「伝統的工芸品」として指定されている宮城伝統こけし、雄勝硯、鳴子漆器、仙台箪笥をご紹介します。
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること
本記事の内容は、令和4年(2022年)1月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。
宮城伝統こけし
江戸時代末期、東北地方の温泉地などで作られはじめた人形玩具の“こけし”。
現在では全国各地で土産物としてみられるようになりましたが、その中でも唯一伝統的工芸品に指定されているのが、宮城県内で生産される「宮城伝統こけし」です。
産地によって
(1)鳴子こけし
(2)弥治郎こけし
(3)遠刈田こけし
(4)作並こけし
(5)肘折こけし
の5系統に分かれており、それぞれの表情や絵柄に個性があります。
人形として最もシンプルで洗練された造形美に加え、清楚で可憐な姿が魅力です。
ワゴコロでは、宮城伝統こけしについて紹介した記事がありますので、合わせてご覧ください。
東北を中心に作られてきた伝統こけしですが、中でも最も生産が盛んな県はどこかご存知ですか?
答えは「宮城県」。
宮城県には伝統こけし11系統のうち、鳴子系・遠刈田系・弥治郎系・作並系の4系統があります。
この記事では、宮城県内のそれぞれのこけし産地の特徴と、こけしを見たり購入できたりするスポットをご紹介します!
皆さんは、「こけし女子」略して「こけ女」をご存知ですか?
こけしの第一次ブームは昭和の初め頃、第二次ブームは戦後の高度成長期に起こりました。
そして第三次が「こけし女子」を生み出した2010年からのブームです。
空前のこけしブーム。
その陰には、若手こけし工人たちの活躍があるのです!
今回は、注目の若手こけし工人たちを、その作風や経歴と共にご紹介していきたいと思います♪
雄勝硯
「雄勝硯」は、宮城県石巻市雄勝地区で採取される上質な雄勝石から作られる書道道具です。
雄勝石は圧縮や曲げに強く、吸水率が低いという特性から、600年以上もの間、硯石として重宝されてきました。
光沢のある漆黒や、美しい天然の石肌模様といった見た目の優美さも人気です。
それもそのはず、仙台藩祖・伊達政宗も雄勝硯をいたく気に入り、その美しさを称賛したという逸話が残っているんですよ。
近年では、雄勝石の特長を利用して、石皿などのテーブルウェアなども生産され、国内だけでなく海外からも好評を得ています。
鳴子漆器
「鳴子漆器」は、宮城県大崎市(旧鳴子町)周辺で作られる漆器です。
木目を活かした塗装技術が特徴で、特に飴色の漆を用いた“木地呂塗”が代表的です。
ほかにも、“ふき漆仕上げ”や“紅溜塗”、“竜文塗”といった技法があり、しっとりとした美しさがあります。
創始は江戸時代の寛永年間(1624年~1644年)と伝えられており、温泉郷・鳴子の主要産物として発展してきました。
下地が堅牢で丈夫なことから、日用品として使いやすい点も魅力です。
仙台箪笥
「仙台箪笥」は、宮城県仙台市周辺で作られる箪笥です。
戦国時代の武将・伊達政宗が仙台に青葉城を築く際、大工の棟梁によって作られた建具の一部が仙台箪笥のルーツとされています。
仙台藩の地場産業ともなった箪笥は“野郎箪笥”と呼ばれ、刀や羽織などの着物を収納するのに使用されていました。
その後、江戸時代末期に仙台藩の武士たちが内職仕事として箪笥を制作しはじめたものが、現在の仙台箪笥の原型となりました。
飾り鉄による金具の装飾と、木目を活かした美しい漆塗りによって醸し出される高級感と重厚感が特長で、ヨーロッパ諸国などでも人気を博しました。
また近年では、仙台箪笥を作る職人たちが力を結集し『鬼滅の刃』の“禰豆子の箱”を実際に作るなど、幅広い分野で伝統の技が活かされているのにも注目です。
その他の伝統工芸品
工芸品名 | 概要 |
宮城伝統こけし | 読み:みやぎでんとうこけし カテゴリ:人形・こけし 主要製造地域:仙台市、白石市、蔵王町、大崎市 指定:国 |
雄勝硯 | 読み:おがつすずり カテゴリ:石工品 主要製造地域:石巻市 指定:国・県 |
鳴子漆器 | 読み:なるこしっき カテゴリ:漆器 主要製造地域:大崎市 指定:国・県 |
仙台箪笥 | 読み:せんだいたんす カテゴリ:木工品・竹工品 主要製造地域:仙台市、塩竈市、東松島市、富谷町、大衡村、柴田町、涌谷町、利府町、亘理町 指定:国・県 |
白石和紙 | 読み:しろいしわし カテゴリ:和紙 主要製造地域:白石市 指定:県 |
堤焼 | 読み:つつみやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
埋木細工 | 読み:うもれぎざいく カテゴリ:木工品 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
岩出山しの竹細工 | 読み:いわでやましのだけざいく カテゴリ:竹工品 主要製造地域:大崎市 指定:県 |
中新田打刃物 | 読み:なかにいだうちはもの カテゴリ:金工品 主要製造地域:加美町 指定:県 |
松笠風鈴 | 読み:まつかさふうりん カテゴリ:金工品 主要製造地域:登米市 指定:県 |
堤人形 | 読み:つつみにんぎょう カテゴリ:人形 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
切込焼 | 読み:きりごめやき カテゴリ:陶磁器 主要製造地域:加美町 指定:県 |
仙台張子 | 読み:せんだいはりこ カテゴリ:人形 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
仙台釣竿 | 読み:せんだいつりざお カテゴリ:竹工品 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
仙台平 | 読み:せんだいひら カテゴリ:織物 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
仙台御筆 | 読み:せんだいおふで カテゴリ:筆 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
玉虫塗 | 読み:たまむしぬり カテゴリ:漆器 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
若柳地織 | 読み:わかやなぎじおり カテゴリ:織物 主要製造地域:栗原市 指定:県 |
仙台堆朱 | 読み:せんだいついしゅ カテゴリ:木工品 主要製造地域:仙台市 指定:県 |
「伝統的工芸品」とは、『伝統的工芸品産業の振興に関する法律』に基づいて経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。それぞれの産地では、伝統的工芸品の技術を継承し発展させるべく、さまざまな取り組みが行われています。今回は、北海道・東北地方の伝統的工芸品を紹介します。
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。
部屋の中にひっそりとたたずみ、独特な表情をたたえるこけし。
そのなんともいえない魅力にひかれ、こけしをコレクションする「こけ女(こけし女子)」も増えているといいます。
また、古くからつくられてきた伝統的なこけしだけでなく、モダンで新しい創作こけしや近代こけしも人気を集めています。
「漆器(しっき)」とは、木や紙の表面に漆を塗り重ねて仕上げる工芸品です。丈夫で耐久性があり、加飾技法も多種多様で、日常の漆器から代表的な建築、仏像、芸術品までさまざまな用途に用いられてきました。この記事では、漆器の歴史や特徴、全国の有名な漆器の種類や技法などをご紹介します。
指物とは、釘を使わずにホゾや継ぎ手で木材を組み、且つ外側に組み手を見せない細工を施した木工品をいいます。指物と言うよりは和箪笥、和家具と言った方が、想像しやすいかもしれません。
指物と言われる由縁(ゆえん)は、物差しを多用し、木を組んで制作することから来ています。
仙台七夕祭りは青森のねぶた祭り、秋田の竿燈(かんとう)まつりと並ぶ、東北三大祭りのひとつです。宮城県仙台市で8月6日~8日にかけて行われ、派手な「吹き流し」をつけた3,000本を超える笹かざりが商店街をいろどります。